サードクエスト?
5 サードクエスト?
「いいですか・・・盾はすでにある天空のものとしても、僕の場合を考えても上級者の弓に超鋼の胸当てに超鋼の兜と、超硬シリーズだけでも3点は必要になるわけです。
この上の魔神シリーズとなると・・・アイテム1点取得するだけでも、とても1週間でコインを稼ぐのは困難と考えます・・・さらに・・・大魔神シリーズなんて言う最上級アイテムも存在するのですよ・・・。
ですから・・・持ちコインがあるうちにもう少し粘って、アイテム取得に専念してもいいのではないかと考えているわけです。」
源五郎の弁論がようやく終わった・・・バニーガールからもらったのか、景品交換のレート表を見せながらの説得なので、かなり分かりやすい。
まあ確かにそんなことは重々承知の上だ・・・しかし、パチンコやパチスロで地道に稼いでいたって、到底魔神シリーズのアイテムには届きそうもない。
あれは・・・リセットが効く状態で、ルーレットの番号ひとつにでも全額かけて、当たったら記録して外れたらリセットという事を繰り返し、大枚をゲットするくらいしか方法はない。
それができないから地道な方法を選んでいるわけだから・・・そのことを嘆いていても何も解決はしないのだ。
「また戻ってくればいいのですよ・・・冒険を続けていくと・・・どこかで先の見通しが立たなくなる時があります・・・そのような時にこの地へ戻ってきて、いい案が浮かぶまで遊園地で遊んだりカジノへ行ったりすればいいのです・・・鍵がないので立ち寄りませんでしたが、ペレンの街の近くに賢者のトンネルがあります。
あそこからなら中継車で1日もあればアレヘスまで来られますよ。
本来そのような時のために、このような施設が存在しているのではないでしょうか?
今までの皆さんの言動を見ていると、カジノや遊園地ありきで、本末転倒のような気がしていました。」
ツバサが厳しい表情で苦言を述べる・・・まさにその通りなのだが・・・目の前に景品がぶら下がっていると・・・つい・・・悲しい性だな・・・。
「まあ・・・そういうことだ・・・とりあえず、悔いを残さぬよう今日1日頑張ろう。」
源五郎は不満顔だったが、それでも頷いて俺とともにカジノへ向かった。
いつものように確変機に座ってハンドルを回す・・・大当たりして数回連荘すれば今日は終了だ・・・とりあえず2人分のアイテムゲットして、あとはのんびりと過ごすとしよう・・・。
とか考えていたのだが・・・今日は全然回らない・・・250玉で10回も回らないのじゃないのか?
仕方がないのでカニ歩きして、少しでも回りそうな台を探してみる。
どの台も回転率は悪いのだが・・・それでも何とか250玉で19回回る台を見つけ、そこで勝負をかけることにする・・・が、当たらない・・・。
熱いリーチアクションもまったくなく500回はまり、ようやくつかんだ当たりが単発。
それでも台の調子が上向かないため、また別の台を探す・・・そういったことを繰り返し・・・、
「今日は調子が悪いはねえ・・・日が悪いのよ・・・また改めて勝負した方がいいかも・・・。」
いつもは帰るというとまだまだと引き留めるバニーガールたちも、流石に今日はもう帰れという・・・無理もない、せっかく貯めた貯玉が3万発失えてしまった・・・。
「そうだな・・・これ以上粘っても仕方がない・・・交換できる景品に交換して、これで終了だ・・・。」
交換可能な景品・・・400コイン分の金券は使っていないので、身代わりの指輪を2個と交換してカジノ三昧の生活に終止符を打つ。
「台の調子は悪くなかったのに・・・引きがいまいちだったわね・・・でも・・・折角台がざわめき始めても、すぐに隣の台に移ってしまったりしたでしょ?あれは結構もったいなかったんじゃあない?」
カジノの出口へと向かうと、源五郎もバニーガールたちと一緒に出てきた・・・どうやら向こうもあまり振るわなかった様子だ・・・やはり勝ち続けるという事は難しいという事だな・・・。
「どうだった?」
「はい・・・貯メダルはほとんど使い果たしてしまい・・・残りは400コイン分の金券と1500メダルに減りました・・・何とか100コイン分にしたかったのですが戻せませんでした。」
源五郎はそういいながら頭を掻く。
「そうか・・・俺も同じようなものだよ・・・まったく鳴かず飛ばずで、貯玉は1万発を切った。
それでも400コイン分の金券には手をつけていなかったので、それで身代わりの指輪を2個交換した。
源五郎もそうするといい・・・当面この地を離れるわけだからな・・・。」
源五郎にも景品交換を促す・・・。
「いえ・・・もう1週間勝負をしませんか?
400コイン分あれば、また盛り返すことも可能ですよ・・・。」
よほど悔しいのだろう・・・源五郎は引き続きこの地に残ってカジノへ通い続けることを希望した。
「だめだ・・・これはツバサたちとの約束だからな・・・レイにもしっかりと言い含めたことだから、今更撤回もできない。
俺も悔しいのは山々なのだが、あきらめよう。
ツバサも言っていたけど、ペレンの街の近くの賢者のトンネルのカギが手に入れば、それほど時間もかけずに戻ってこられるみたいだから、また戻ってこようじゃあないか・・・アイテムにはとても交換できないが、それなりに打てるくらいは持ち玉も残っているし、源五郎もそうだろう?」
移動手段である賢者のトンネルとは距離があるようなので、しょっちゅう立ち寄るわけにはいかないだろうが、それでも2度とこられないという場所でもない。
次を期待して今回はここまでとする・・・と、強い意志を持って源五郎を説得する。
「はあまあ・・・僕一人だけ残るという訳にもいかないので・・・仕方がないですね・・・。」
なんだか源五郎らしくないことを口にしたが、渋々身代わりの指輪2個に交換させた。
「悪い・・・結局身代わりの指輪しか取れなかった・・・。」
宿に帰って、レイの授業の前にツバサに身代わりの指輪ひとつを手渡す。(源五郎はレイに指輪を手渡した。)
「いえ・・・アイテムがひとつでもとれてよかったですよ・・・あたしとレイちゃんはずっと遊園地で遊んでいただけです・・・十分に楽しめましたし、アイテムはなくても結構ですと言っていたくらいですから。
でも、身代わりの指輪も少し消費したみたいですから、補充ができてよかったですね。
これでまた、冒険をスムーズに進めて行けそうですね。」
ツバサは満面の笑顔で迎えてくれた・・・早々にアイテムと交換だなんて自信満々に息巻いて行った割に、あえなく撃沈して予定外の小物に変化してしまったのに、嫌みの一つも言わない・・・・ううむ・・やさしい。
「あたしもー・・・ダーリンから指輪がもらえるなんてうれしいっ・・・ダーリンありがとうっ!」
レイも嬉しそうに源五郎から指輪を受け取る・・・それはあくまでも冒険者アイテムの身代わりの指輪だからな・・・、何か別の指輪と勘違いしていないよな?
この日は、源五郎以外は上機嫌で修行を終え就寝した・・・ところが翌日、予想外の展開が・・・。
「リっ・・リーダーー・・・みっ・・・見てください・・・。」
いつものようにギルド中央の柱にクエスト票を探しに行っていた源五郎が、数枚のクエスト票を手にして、驚いたように目を丸くしたまま戻ってくる。
うん?・・・なんだと思ってそのうちの1枚を手に取って中身を見ると・・・
「なんだ・・・アレヘス東の富士山脈西南洞窟に生息する四菱草の採取3・・・先週に引き続き、サードクエストという事だろ?
先週セカンドクエストだったんだから別に驚くようなことでもあるまいに・・・少し落ち着いたらどうだ?」
いかにも度肝を抜かれましたなんて・・・わざとらしく大げさな表情を見せる源五郎を、落ち着かせようとなだめる。
「いえ・・・それだけじゃあないんです・・・クエスト褒賞の中身を見てください・・・ほらここ・・・。」
源五郎はそれでも息荒いままで、俺の持つクエスト票の下の方の記載事項を指さす。
「なんだって・・・宝箱の中身1・・・遊園地の乗り物券。
宝箱の中身2・・・カジノの100コイン券どういうことだ?
先週は乗り物券しか出てこなかったが、実はどちらかが出てくる仕掛けで、たまたま乗り物券ばかりが出てきていたという事なのか?」
記載内容に疑問を呈する・・・1/2の確率であるならば、あまりに乗り物券に偏りすぎていた。
「いえ、そうではないようですよ・・・宝箱は2つあるとも記載があります・・・つまり、先週のクエストは宝箱がひとつしか出てこなかったわけですから、あれはあれで正常だったのでしょう。
ですが今週のクエストは、また宝箱が2つずつ出てくるようです・・・1週おきなのですかね・・・」
源五郎が、目をキラキラと輝かせながら告げる・・・ううむ・・・こんな情報は今までのどのクエスト票にも記載がなかった事項だ・・・どうして今になって・・・?
「ふむ・・・これでまた今度この地を訪れたときには、クエストをこなすことによってカジノのコイン券を取得できるという事が分かったわけだ・・・まあよかったな・・・。」
理由はどうあれ、カジノのコイン券を手に入れる方法が見つかっただけでもラッキーだ・・・何せちょっと値は張るが、遊園地の乗り物券はGで購入可能だが、カジノのコインに関してはレート表もなく、いくらGを持っていても交換できそうもない・・・コイン券と貯玉頼みなのだ。
「いえ・・・コイン券を取得できる時とできないときがあるのですよ・・・これはこのチャンスを逃すと次はいつになるのか・・・次回この地を訪れたときには、同じクエストの褒賞にコイン券はないかもしれないわけですよ・・・今しかチャンスはないと思います。」
源五郎がいつになく力説する・・・ふうむ・・そうまでしてパチスロをやりたいかね・・・まあ俺だってパチンコは好きだから打っていられるのであれば打っていたいのだがな・・・更にカジノには美人のバニーガールたちが居て、遊戯中ずっといい香りを漂わせてくれているのだから・・・俺だっていやではない・・・。
「だがなあ・・・そうでない場合だってあり得るわけだろ?
次回来た時も乗り物券とカジノの金券両方をゲットできる可能性だってあるわけだし、更には宝箱がひとつだけでも、その中身はカジノの金券だけということだってあり得るわけだ・・・。」
あくまでも可能性の話ではあるが、次回に託して絶対にダメという事でもないはずだ。
「だめぇー・・・乗り物券なくしちゃあ・・・絶対にだめぇー・・・!」
ところが俺の意見に反応して、レイが大声で否定する・・・。
「いっいや・・・俺は別に乗り物券がなくなればといったわけではないぞ・・・宝箱がひとつの場合だってカジノの金券だけという可能性だってあり得ると・・・。」
焦ってレイをなだめようとする・・・あくまでも可能性の話をしているだけで・・・。
「同じことですよ・・・せっかく今回のクエストには乗り物券とカジノ券両方が付いてくることが分かっているのに、むざむざ無駄にしてしまう事はないのではないでしょうか?
このチャンスを逃すと・・・強力な魔物に対抗できる格好のアイテムを取得する事が出来なくなってしまいますよ・・・!」
源五郎は俺が返そうとしたクエスト票の受け取りを拒否して、強く主張する。
「そうよそうよ・・・ダーリンが言う通り、せっかく乗り物券が付いてくることが分かっているのに、それを無駄にしてしまう事はないんじゃない?
あたしはー・・・まだまだここに残ってクエストを続けることに大賛成ー・・・。」
更にレイも加わって、強く推してくる・・・ううむ参ったなあ・・・。
「どうする・・・?」
困り果ててツバサに助けを求める・・・。
「あたしは・・・この異常な世界を早く取り戻すためにも、冒険を先へ先へと進めるべきだと思っています。
ですが・・・源五郎さんの考えも確かに否定できないとは思います・・・強力な武器防具を入手することで、冒険がよりスムーズに進むのでしたら、ここでの滞在が無駄にはならないと考えます・・・。」
レイと源五郎・・・2人のあまりに強い姿勢にあきらめたのか、ツバサは先へ進むことを主張はしなくなった。
「わかった・・・じゃあ、こうしよう・・・もう1週間だけこの地に留まり・・・今度こそアイテムをゲットして強力な装備で次の地へと向かう。
だがまあ・・・今までの2週間で浮き沈みはあったが、一度も2人分のアイテムを取得できるだけの出玉を得られなかった・・・そうもそうも勝ち続けるという事は至難の業という事だ・・・。
今回頑張って、それでも出玉が達成しなければ、この後どれだけ繰り返しても無理という事と考えあきらめよう。
クエストを繰り返してコイン券を集めてもいいのだが・・・恐らくある一定以上のコイン数に達すると、配給が停止されるのではないかな・・・だから、持ちコインがほとんどなくなった今は、またクエストをこなせば金券が支給されるようになったと考えた方が自然だ。
だから、ある程度以上コイン券を集めてからカジノで稼ぐ以外に、アイテムの取得はできないと考えた方がいいだろう・・・。
それはどのタイミングでも同じなわけだから、3度トライして無理ならあきらめるとしよう。
まあ・・・今後、行先を見失ってさまよっているときの時間つぶしにという事はあり得るだろうがね。
今回上手いことアイテムを取得できれば・・・そうして来週も同様にカジノの金券が取得できるという事になったなら・・・その時はもう一度全員で話し合おう・・・いいね?」
今後の展開も含め、今のうちに全員に確認しておく・・・今週だめになってもまた来週こそはと、粘られても困るからだ・・・。
「はーい・・・今週遊び溜めしておくからいいよ・・・。」
「僕も、今週やってもだめとなれば・・・流石にあきらめますよ・・・。」
「あたしは・・・皆さんの考えに従います・・・。」
まあ・・・今週どうなるか・・・というより、クエスト内容も微妙に変わって、どんどん難しくなってきているから、簡単にクエストをこなせるという事もないのだがな・・・まあ全員の意思を尊重する事にして・・・というか、ツバサには申し訳ないがもう一週間だけわがままを聞いていただく。




