クエスト→カジノ→クエスト
10 クエスト→カジノ→クエスト
「いやいやいや・・・ちょっと待ってくれ・・・今回のクエストは、アンヘス湖の湖底に潜むタコ真珠貝の採取だったはずだぞ・・・確かに真珠は入っていない・・・なにせ、その真珠を発射して攻撃されたわけだからな。
それでもあの湖に生息していたタコ真珠貝は、残らず採取してきたわけだ。
これはクエスト題目を額面通り解釈すれば、成功と言えるはずだ。
そもそもだな・・・生もの相手というのに、捕獲用の袋を渡さなかったそちらの落ち度なわけだろ?
捕獲用の袋に捕獲のたびに入れてさえいれば、真珠の攻撃なんてことも墨を吐かれることもなかったわけだ。
だから・・・クエストは完了のはずだ・・・。」
帰りの中継車の中で、真珠が入っていないことを指摘された場合の言い訳を、源五郎と2人で一生懸命考えていたのだ。
あくまでもギルド側のミスであり、冒険者側に落ち度はないと主張し続けるつもりだ。
「それはそうなのですが・・・私としましても、クエスト内容から捕獲用袋を持参していただくのが当然とご用意するつもりでしたが、本部の方から不要という通達がありましたもので・・・。
そのため、捕獲用袋がなくても十分に完遂できるクエストと考えておりました。
事情を聞いてまいりますので、少々お待ちください・・・。」
そう言われて受付嬢は少し困ったように眉をひそめたが、そのままもう一度奥へと引っ込んでいった。
ううむ・・・受付嬢もお人形のような受け答えするだけではなく、それなりに自我を持つようになっていて、おかしな点は疑問を持つようになっているのだろうが、それでも中央の本部とやらの指示には逆らえないという事なのだろう。
目の前に受付嬢しかいないので、一方的に不満を並べたが、ちょっと気の毒だったな・・・。
「了解いたしました・・・クエストは完了と認定されました。
ですが・・・真珠が入っていなかったという事で、報奨金は減額されます。」
『パンパカパーンッ』「おめでとうございます、ツバサ様はXJにレベルアップされました。」
『パンパカパーン』「おめでとうございます、サグル様は奥義・・・無想斬撃を取得されました。
攻撃力は特AAです。」
『パンパカパーン』「おめでとうございます、源五郎様は奥義・・・無想射撃を取得されました。
攻撃力は特AAです。」
クエスト成功を認定したためか、ツバサのレベルアップと、俺と源五郎の奥義取得を告げられる。
なんだかちょっと気持ち的に、もやもやとしたところが残るが、まあいいことにしよう。
「じゃあ、まだ日も高いから昼めし食って、遊園地へ向かうとするか・・・。」
「やったぁー・・・。」
レイが飛び上がって喜ぶ。
なんだかんだ言って、このところクエスト終了が非常に早い・・・近場のクエストという事はあるのだが、それにしても、常に危ない目には合っているのだが、短時間でこなしている。
まあ・・・昨日も今日も・・・そういえば一昨日も・・・それぞれ奥義がさく裂しているからかな・・・。
攻撃力が格段に上がっていると言えるのだろう・・・これも修行の成果か・・・?
「きゃあっ・・・また来ていただけたのねぇー・・・うれしいわぁー・・・チュッ」
「あっずるい・・・じゃあ、私も・・・チュッ」
「私だって・・・チュッ」
遊園地でレイとツバサと別れ、いつものようにカジノへ向かうと、バニーガールたちのキッス(もちろん・・・頬にだが・・・)の雨の歓迎・・・うーん・・・これだけで昇天してしまいそうだ。
「じゃあ僕は・・・昨日と同じくパチスロをやります。」
「ああそうか・・・俺は変わらずにパチンコで攻めてみる。
お互い頑張ろう・・・。」
源五郎とバニーガールたちを引き連れホール中央を歩いていき、源五郎たちはさらに奥へと入っていく。
本日もデジタルの確変機を選択する。
昨日の稼働状況や大当たり回数のデータが何もないので、台の選択には非常に苦労する。
なにせ客は当たり前だが、俺と源五郎しかいないのだ。
台も選び放題ではあるのだが、過去データがないため、この台がどれくらい出ているのかすら把握できない。
1日粘っても、1度も当たらないなんてこともあり得るわけだが、取り敢えず2日間は大当たりはしたので、釘をがちがちに締めているとかプログラムに細工をしているようなインチキ台でないことは確かだ。
その割に勝てていないのはなぜなのか・・・ちゃんと250玉当たり20回以上回ることを確かめているのだが・・・。
「あっ・・いやん・・・。」
「今日は調子が・・・。」
背後からの黄色い悲鳴が今日は多いような気がする・・・。
回ることは回るし、当たらないことはないのだが、どうにも連荘しないし持ち玉が増えていかない。
気が付けば200コイン使って残り100コイン・・・昨日はこの辺りで源五郎がやってきたのだったな・・・。
「今何時かわかるかい?」
「えっ・・・、今は・・・6時半になりますけど・・・?」
バニーガールの1人が腕時計を確認してくれる。
ううむ・・・もうそんな時間か・・・仕方がないな・・・。
「悪いが、今日はここまでだ・・・連れを迎えに行く・・・。」
そう言って、パチスロの島へと歩いていく。
「えーっ・・・・そうなの?」
「これから出そうなのに・・・。」
「帰っちゃうの?」
後ろからバニーガールたちの悲鳴のような声を聞きながら歩いていくと、源五郎の台が何かきらびやかに明るく光っていた。
「おお・・・大当たりか?
やったじゃないか・・・。」
見ると下皿にメダルがあふれかかっている。
「いやあ・・・200コインを使い切ったところでようやくARTにボーナスがからんだのですよ・・・でもこれで終わりです・・・ARTの引き戻しもできず、今度はビッグボーナスだけで終わりました・・・。
どうにもメダルもちもよくはないし・・・この台の設定はあまりよくないようです。
もう時間ですか・・・?メダルはどうしようか・・・。」
源五郎が小さく首を横に振りながら愛想笑いをする。
ううむ・・・こっちも負けのようだな・・・。
「あらん、持ちメダルは貯玉ができますよ・・・。
ちょっと待ってください・・・・。」
『ザッザッザッ』そう言ってバニーガールは、下皿のメダルを箱に入れると奥のカウンターへもっていった。
『ガラガラガラガラ』メダルカウンターが回り、レシートが出てくる。
「はい・・・662枚貯玉しますね・・・。」
そう言ってレシートとともに、源五郎にカードを手渡す。
そうか・・・昨日も残った玉を打ち切らずに、貯玉できたという事か・・・その日に景品に交換しなくても、翌日合算して交換という事もできるわけだな・・・。
「おかえりー・・・今日も乗り物券を使い切ろうとしたけど、やっぱり20枚使ったところで6時半になっちゃって・・・あきらめてそのまま帰ってきた。
パパたちは粘っていたようだけど・・・今日は勝ったの?」
宿に帰ると、レイとツバサが食堂で待っていた。
「いやあ・・・パパは今日もだめさ・・・源五郎は最後の方は少し出ていたけど・・・まあ時間切れだな・・・。」
「いえ・・・出たなんて言うほどではないですよ・・・200コイン使って33コイン分戻しただけですからね。
言ってしまえば大負けです・・・リーダーと変わりませんよ。」
源五郎が頭を掻きながら、恥ずかしそうに下を向く。
「まあまだ2人とも100コインずつ残っているから、明日もまた時間があれば、雪辱戦という事になるな・・・。」
「ふうん・・・あたしたちも乗り物券が10枚余ったままだからねー・・・明日せつじょくせんだね・・・。」
いや・・・レイよ・・・遊園地の乗り物に雪辱戦はできないぞ・・・。
「ついに、教科書が届きましたよ・・・やはり両親ともに冒険放送を見ていて、こちら側の世界に教科書を届けられるよう、願ってくれたようです。」
ツバサが、数冊の教科書と笛や太鼓などの楽器を食堂に運んできた・・・部屋で荷をほどいていたのだろうな。
夕食後、冒険放送までの時間をレイの授業に当てる。
その後放送を見てから奥義のための特訓を開始・・・本日のクエストで奥義を披露できたためか、また一段と精神集中に力が・・・というか、無の境地になり神経を張り巡らせることが実感できた・・・。
それからまたレイの授業という・・・当面は忙しいが仕方がないな・・・。
「これなんてどうですかね・・・アレヘス北西のペレヘス峠の樹氷の採取・・・ただしこれは3日のクエストになりますね・・・いかに中継車で行っても半日で帰ってくるのは厳しいでしょう。
半日で戻ることを考えると・・・、アレヘス北のアレパカ平原に巣くうアリモグラの女王捕獲・・これなら1日のクエストですが・・、北へ行くとなるとまた戻ってくるのに抵抗がありますね。」
源五郎が2枚のプラチナクエスト票を手に戻ってきた・・・最早半日で終えることが前提となって来たな・・・。
本来なら2枚とも引き受けて、この町を離れるつもりで順にこなしていくのだろうが・・・まだ居続けなければならないのだ・・・ちょと悩むな・・・。
「そうだな・・・金券も乗り物券も余っているのだから、使い切ってしまうつもりで今日も半日で帰ってこられそうなクエストをこなすことにしよう。
次の順路は北方面なのだが・・・防具の修理が終わらないのだから、仕方がないとあきらめて戻ってこよう。
半日のクエストの移動だと中継車で1時間くらいの距離だろうから、そんなに大きなロスという事はないはずだ。」
源五郎から北方面のクエスト票を受け取りカウンターへもっていく。
「アレパカ平原に巣くう、アリモグラの女王の捕獲ですね・・・リーダーの変更はございませんか?
では、頑張ってきてください。」
受付嬢に捕獲用袋を渡される・・・よかった・・・何もなければ請求しようかと思っていたところだ。
『ブロロロロッ・・・キキッ』「アレパカ平原に到着しました・・・と言ってもこの平原は広いので、どこを目標にしますか?」
1時間ほど中継車で走ると、木々の緑が豊かな並木道が突然開けて広大な平原に変わる。
ところどころ木々は生えているのだが、森とか林とかいった感じではない・・・見渡す限りひたすら続く平原だ。
「ううむ・・・名前の通りだとすると・・・こういった平原や砂漠地帯に住むアリなどは、アリ塚と言って大きな土でできた塔を作ると聞いたことがある。
アリモグラなんて言う位だから、モグラ並みに大きなアリだとしたら、結構巨大なアリ塚ができているんじゃあないかと予想ができる。
だから・・・そういった大き目の土の塔を見かけたら、そこで停めてくれ。」
まああくまでも名前から想像しただけの目標で、もしかするとモグラのように木々の根のあたりに生活用のトンネルを構築するタイプかもしれないのだが・・・、それだと表面的には確認しようがないから、とりあえず分かりやすい方の目標物を頼りに捜索する。
『ブロロロロロッ』「ああ・・あれじゃあないでしょうか・・・?」
10分ほど走って中継車のドライバーがさす方向に、細長く巨大な塔が数本林立しているのが見える。
ううむ・・・確かにあれっぽいな・・・。
『キキィッ』『ガチャ』危険なので、土の塔とは少し距離を置いて中継車を停めてもらう。
「ふうん・・・あの土の塊の中にアリモグラの女王がいるの?」
レイが、数十メートルの高さの塔を見上げながら尋ねてくる。
「いや・・・これはこの下の地面を掘った時のいらなくなった土を積み上げたものだ。
これだけの土の量ともなると、かなり大きなコロニー・・・いわゆる村のようにたくさんの家々がこの下に作られているという事だ。
女王探しも・・・結構大変そうだな・・・。」
ふうむ・・・1日のクエストというのは・・・どうやらフェイクのようだな・・・かなり深くまで地面を掘り進まなければ、アリモグラの女王にまでたどり着けないだろう。
更に・・・これだけ大きなアリ塚を形成させるわけだから、アリモグラという魔物も結構な大きさがあるだろうし、それなりに抵抗してくることだろう・・・到着してから1日がかりを覚悟せねばならんな。
「念のためにクエスト票を確認しよう・・・。
アリモグラ・・・アレパカ平原に巣くう。
地下深くまで達する巨大な巣を形成・・・巨大なアリ塚が目印。
単体攻撃力ZZ、集団攻撃力AZ、単体防御力ZZ、集団防御力AZとなっている。
やはりアリ同様、数で押してくるタイプの魔物のようだな・・・他にどんな特技を持っているかわからないから、十分に気を付けてくれ。
数を頼りに攻撃されれば、防ぎきれないことも十分考えられるからね。」
あまりあてにはできないにしても、やはりクエスト票は確認しておいた方が良い。
一応集団で攻撃防御するタイプと認識できただけでもよしとする。
どうやらツバサの世界最強は、通用しない可能性が高い・・・単体であれば弱いのだがな・・・。




