カジノとクエスト
5 カジノとクエスト
「あのー・・・1コインが100玉という事は分かった。
もしかすると玉をコインに交換するときも100玉を1コインなのかもしれないが・・・コインの使い道はあるのかい?まさか・・・Gに交換なんてことはないよね?」
ダンジョンに出てくる魔物たちが強力なだけに、冒険初期のクエストにもかかわらず結構な報奨金が出て溜まっている。
その割に武器防具屋は依然として初期アイテム程度しか販売してはいないので、使い道が今のところはないのだ。
ここで2000玉をGに交換したところで何の意味もないわけだ。
「はい・・・100玉1コインと交換できます。
コインは景品と交換可能となっておりまして、これが交換可能な景品リストでございます。」
美人で巨乳のバニーガールが、1枚のボードを見せてくれる。
ほう・・・剣士用の交換レート表のようだが・・・500コインで超鋼の剣か・・・レートから行くと5万玉必要という事だな。
更に魔神の剣や大魔神の剣という、いかにも強力そうな武器や防具が・・・しかし、3000コインとか10000コインとかだと・・・何玉必要になるのだ?
ついでに魔法使いや格闘家、射者のレート表も見せてもらう。
カジノ景品交換レート
各職共通・・・1―ドリンクorおつまみ、200―身代わりの指輪
剣士・・・・500―超鋼の剣or超鋼の盾、1000―超鋼の鎧or超鋼の兜、3000―魔神の剣or魔神の盾、5000―魔神の鎧or魔神の兜、10000―大魔神の剣、15000―大魔神の鎧
格闘家・・・500―超鋼の爪or超鋼の盾、1000―超鋼の胴着or超鋼の鉢金、3000―魔神の爪or魔神の盾、5000―魔神の胴着or魔神の鉢金、10000―大魔神の爪、15000―大魔神の胴着
射者・・・・500―上級者の弓or超鋼の盾、1000―超鋼の胸当or超鋼の兜、3000―魔神の弓or魔神の盾、5000―魔神の胸当or魔神の兜、10000―大魔神の弓、15000―大魔神の胸当て
魔法使い・・500―魔道の杖or超鋼の盾、1000―超鋼のローブor超鋼の髪飾り、3000―魔神の杖or魔神の盾、5000―魔神のローブor魔神の髪飾り、10000―大魔神の杖、15000―大魔神のローブ
「きゃっ・・・いやん・・・おしいっ!」
「あらー・・・2ラウンド?」
「あんっ・・・寄りが悪いわね・・・。」
プラスに転じたので、とりあえず自分用とバニーガールたちのドリンクを注文して、その後も打ち続けていると、背後で見つめるバニーガールたちの黄色い声援や悲鳴が一段と盛り上がってきた。
なんだかうれしくて、せっかくの出玉をのまれても、更に貸し玉ボタンを押してコインを消費していき・・・。
「あらんっ・・・もうコインがないようですよ・・・。」
台の残コインカウンターが0になり、100コイン全て使い切ってしまったようだ。
黄色い歓声が妙に心地よくて・・・残コイン数も見ずに延々と遊戯を続けていた。
たったの1コインだからと・・・バニーガールたちにドリンクを何杯もお替りさせたしな・・・。
「ありゃりゃ・・そうか・・・まあ仕方がないな・・・勝負は時の運だ、今日はここまでにしておくよ。」
あれから、たまにV入賞したのだが、ほとんどが2ラウンド当選で、7ラウンド当選がごくまれにある程度。
15ラウンドに当選することは1度もなかった・・・ううむ・・・惜しかったというか、あまりにも2ラウンドに偏りすぎだ・・・2ラウンドだと200玉ちょっとしか出ないからな。
1500玉以上出る15ラウンドに比べると実に1300玉もの差があるわけだ。
2ラウンドを7回当てても15ラウンド1回に及ばないわけだから悔しい・・・。
今日はここまでというか・・・俺の取り分の100コインは使ってしまったから、もう遊戯はできない。
後は源五郎がどうかという事と、レイとツバサの100コインを勝負するかどうかという事になる。
彼女たち用のアイテムもあるだろうから、ギャンブルは大人の社交場なんて言っていないで、巨力なアイテム獲得のチャンスなのだから、挑戦するよう勧めてみるか・・・。
その時は・・・バニーガールの代わりに後方で応援してやらねばな・・・。
そんなことを考えながら、バニーガールたちとホールの出口へと向かう。
「いやんッ惜しかったわね・・・たったの1番違いで36倍だったことがなんどもあったわー・・。」
「いやあ・・・これが僕の実力ですよ・・・当たったのは最初の方の赤黒の2倍だけで、ちょっと確率をあげようとしたら、すぐに呑み込まれてしまって・・・。」
途中ホールの左側からバニーガールたちに囲まれて歩いてきた源五郎と出くわす・・・ううむ・・・会話の内容からすると・・・向こうもだめだったようだな・・・。
「ようっ・・・100コインすべて使っちまったよ・・・。」
なるべく明るい笑顔で話しかける。
「僕もです・・・最初は堅実に賭けていたのですが・・・獲得景品とレートの関係から倍率の高い1点賭けに走ってしまい、すぐにコインが尽きてしまいました。」
源五郎も少し笑みを見せながら後頭部を掻く。
まあ、ギャンブルなんてぇのはこんなものだ・・・。
特に魅力的な女性と一緒に遊戯すると、見栄を張って大盤振る舞いなんてことになってしまうようだな。
「そういえば・・・今は何時なんだい?」
時を気にせず遊戯を・・・という事なのか、カジノ内には時計がなく時間が分からない。
「今は・・・まだ夕方の4時ですよ・・・。」
美人で巨乳のバニーガールが腕時計を確認してくれる。
ああそうか・・・意外と時間はつぶせていないようだな・・・まあそうだな・・・2ラウンドあたりが多すぎてじり貧だったからな・・・。
「そうか・・・まだ早いのだがコインが尽きたのだから、もう帰らなけりゃあならん!
また機会があれば、寄らせてもらうよ。」
『はーい、お待ちしております。』
美女たちが愛くるしい笑顔で見送ってくれた。
ううむ・・あまりにも楽しすぎて、時間の経過という事を意識していなかった。
出たり入ったりで、結構時間も経過したつもりでいたのだが・・・やはりギャンブルで1日つぶすには金がかかるという事だな。
100コインは1万玉分だから十分あると考えていたのだが、それでもつぶせたのは3時間ほどだ・・・しかも大当たりはしていたわけだからな・・・今度はもう少し玉持ちのいい台を選択するか・・・若しくはイチかバチかかけてみるかだが・・・まあそれもこれも次の機会があればのことだがな・・・。
「あっパパたちも帰って来たんだー・・・乗り物券10枚じゃあ、すぐに終わっちゃったよー・・・。
全然物足りない気持ちー・・・。」
レイが不満げに頬を膨らませる。
門限を区切るまでもなかったという事のようだ・・・まあそうだな・・・ひとつの乗り物の遊戯には何分もかからないわけだし、しかも待ち時間なしだから・・・そうなると10枚だけじゃあ1時間くらいしか持たなかったんじゃあないかな・・・。
俺と源五郎の分をあげておけばよかった・・・まあ明日使ってもらえばいいさ・・・。
余りに早く用事を済ませたので、夕刻からレイの勉強を始めた。
その後食事をして冒険放送を見てから、もう一度奥義のための特訓をする。
そろそろ第2段階へ進むと言って、ツバサに奥義の効果をイメージしながら瞑想するよう指導された。
なんだか後ろの方で、レイと源五郎がごちゃごちゃとやっているようだが・・・何をやっているのだろうか?
冒険放送の時に、ツバサたちにカジノの景品に強力なアイテムがありそうなことを告げると、2人とも興味を示したが、レイの奴はやはり遊園地で遊ぶ方がいいといいだす。
それでも明日のクエストが早めに終われば、ツバサたちももらった100コインで挑戦してみるという事になった。
『パンパカパーンッ』「おめでとうございます。ツバサ様はXRへアップされました。」
ギルドへ入る早々ツバサのレベルアップを告げられる・・・毎回のクエストごとに上がることにももう慣れた。
「これはどうですかね・・・アレヘス南のアンヘス海岸に漂着する流木の撤去。
たかが流木ですからね・・・確かに海岸線の美観を損ねるという事はあるのかもしれませんが・・・どうしてこれがクエストになるのか、ちょっと疑問ではありますけどね。」
翌朝、源五郎が首をかしげながら、1枚のクエスト票を手にギルド中央の柱から戻ってくる。
まだこの地に滞在する必要がある・・・防具の修復が終わらなければならないことと、レイとツバサがカジノへ行くために、どうしても戻ってくる必要性があるわけだ。
そのため先へと進む方向となる、北方面のクエストはなるべく避けたいのだ。
「まあ、そのあたりの事情は分からんが・・・以前の冒険の初期では草刈りや掃除なんていうクエストもあったくらいだから、あっても不思議ではない・・・実際まだ冒険は始まったばかりと言えるからな。
だが・・・クエストレベルがAZという事から魔物がらみであることは間違いがない。
ただの流木の清掃作業でないことは確かだ・・・行ってみるとするか・・・。」
源五郎からクエスト票を受け取り、受付へ差し出す。
「アンヘス海岸に漂着する流木の撤去のクエストですね・・・リーダーの変更はございませんか?
では、頑張ってきてください。」
今日は髪をツインテールにしている・・・一段とかわいらしさが増した受付嬢が、笑顔で送り出してくれる・・・ふと源五郎の方を見やるが、受付嬢には何の興味もない様子・・・。
どうやら、ここの受付嬢も夢の中に出てくる人ではないようだ。
『ガチャッ・・・バタンッ』『ブロロロロッ』ギルド前で待ち合わせた中継車に乗り込み、一路南のアンヘス海岸を目指す。
『ブロロロロロッ・・・キキィッ』1時間も走ると潮の匂いが感じられてきて、すぐに砂浜の海岸が見えてきて、砂浜手前の道路わきに中継車が停車する。
「ありゃりゃ・・・結構流木で埋め尽くされていますね・・・。」
先頭で中継車を降りた源五郎が、はるか続く海岸線を眺めながらつぶやく。
確かに波打ち際から道路端まで、至る所に流木が散らばっている・・・どれも直径が2から30センチで長さが1から2mくらいの大きさで、人一人でなんとか持ち上げられる程度のものばかりだが、いかんせん数が多すぎる・・・。
幅十数mの海岸線の見える範囲は流木で埋め尽くされているから、恐らく数キロにわたっているだろう。
これは魔物がらみでなくてもかなり厄介だぞ・・・これだけの量を撤去するとなると、大型のダンプを何台準備しなければならないのだろうか・・・。
「じゃあ・・・ここでクエスト票を確認する。
海岸線を埋め尽くす流木の撤去・・・攻撃力Z、防御力Z・・ただしその量が多いため総合AZとなっているな。
いってみれば・・・過酷な肉体労働という事のようだ。
ううむ・・・魔物がらみでもないのにクエストとは・・・俺たちを使って海岸清掃したいだけとは呆れるね。
俺たちが攻略に苦労するようなクエストも、尽きてきたという事なのかな・・・?
まあ仕方がない・・・、焼却するにしても波打ち際じゃあ潮の満ち引きで海水に浸かってしまうから乾かせない。
道路近くまで運んで、そこで乾燥させて燃やしてしまおう。」
ふぅー・・・思わずため息が出てしまうな・・・これだけの量があるとすると、かなりハードなクエストになってしまうな・・・肉体的に・・・。
「よいしょっと・・・。」
砂浜に降りて、一本の長めの流木を肩に担いで道路端まで運んでいく。
『ポンッ』『ポンッ』『ポンッ』『ポンッ』途中何かがはじけるような音がして、目の前を靄のようなものがよぎるが、いちいち構ってはいられない・・・なにせ、何千何万本という数の流木をたったの4人で撤去しなければならないのだ。
流木を担いでは運び担いでは運び・・・を繰り返す事・・・いったいどれくらいの時間が経過したことだろう。
いつの間にか辺りはすでに夕刻となっているようで、すっかり暗くなり冷え込んできた。
「おーい・・・村木君・・・そろそろ今日は終わりにしよう。」
作業着姿の課長が海岸端の道路から声をかけてくる・・・おおそうだ・・・今日は営業課の行事で大口の取引先である役場近くの海岸を大掃除しに来ているのだった。
「やあ、ご苦労様です・・・皆様のおかげで放置ごみの多かった海岸も随分ときれいになりました。
本当にありがとうございました。」
役場の助役さんが、禿げあがった頭を低く下げてお礼を言ってくれる。
「いえいえそんな・・・我々だって憩いのひと時に使わせていただいている大事な海岸ですから、気持ちよく過ごすためにも清掃するのは当たり前ですよ・・・。」
課長が、我々の行為はあくまでも自分たちのためのボランティアであるという事を強調する。
「じゃあ、本日はご苦労様でした・・・現地解散となりますが、皆さん気を付けて帰宅するように。
清掃作業で疲れただろうが、電車で寝てしまい乗り過ごしてしまわないよう、十分に注意するようにね。
じゃあ、解散!」
最後は課長のあいさつで終わり、皆と別れて帰路に就く。
さあ・・・、最愛の妻と娘に・・・生まれたばかりの息子の待っている家に帰るぞ・・・。
「・・ぐるさん・・サグルさん・・・あたしの声が聞こえますか?
サグルさん・・・目を覚ましてください・・・。」
すると突然、耳元に若い女性の声が・・・しかもこの声は聞きなれた声のような印象だが誰だったか・・・いや、俺のことを本名で呼ぶ奴は俺の知り合いの中ではただ一人だけ・・・だが彼女は遠い遠い星に住んでいるはずだ・・・。
どうして彼女が地球に・・・???




