アレヘスのカジノ
4 アレヘスのカジノ
意外とあっけなく終わったと思っていたら、開いた壁の奥には巨大な影が・・・同じように菱形の花弁が4方向に延びている花ではあるが、先ほどまでの四菱草とは比べ物にならない位でかい・・・十数メートルは高さがあるだろう・・・茎だって人一人分よりも太そうだ。
『こぉー・・・』「危ないっ・・・皆避けろっ!」
『ダダダダッダッ・・・』巨大な四菱草は、その大きな花弁中央部から白い息吹を吐き出したので、ダッシュでドーム端へと飛びのく。
『ピッキィーンッ』一瞬でドーム中央部分は、半分以上の面積が凍り付いてしまった。
「うーむ・・・、レイの冷気攻撃より威力はなさそうだが、源五郎の予想通り巨大なだけに効果範囲もかなり広いな・・・恐らく直径二から三十メートルはあるだろう。
『ジュルジュルジュルジュル』「おわっ!」『ドーンッガッゴォーンッ』
すると今度は花弁がまたもや手裏剣状に変化し、分離して襲い掛かってきた。
危うく避けたが、巨大なだけにその衝撃も絶大だ。
『タッシュタッタタッ』「とうっ!」
ツバサが地面に突き刺さった巨大な手裏剣を昇っていき、中空へと大跳躍する。
『こぉーっ』すかさず巨大四菱草は強力な冷気を吐き出した。
「奥義・・・真空の壁!とうっ」
『シュパッ・・・タッ』ツバサは手刀で中空を切ると、そこを足場にさらに高みへと跳躍した。
「奥義・・・鰐襲旋風脚!」
足を一直線につま先まで伸ばすと、両手を横に広げ回転を始めた後に、両手を伸ばしたまま頭上で合わせると、すさまじいまでの回転スピードに加速して、つま先から魔物の口へと突っ込んでいく。
『ズガッゴォーンッ』耳をつんざくような衝撃音とともに、ツバサの足が巨大四菱草の花弁中央部分に突き刺さった。
「ようし今だ!一斉攻撃だ!」
しばし呆然と見とれていたが、ふと我に返り剣を振りかざして、ぶっとい茎へと挑んでいく。
『シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ』『グザザザザザザザザザザザザッ』すぐさま目の前の茎が源五郎の矢でハリネズミ状態に変わっていく。
「神の裁き!神の裁き!神の裁き!神の裁き!」
『ゴロゴロッ・・・ドーンッ』『ゴロゴロッ・・・ドーンッ』『ゴロゴロッ・・・ドーンッ』『ゴロゴロッ・・・ドーンッ』レイの雷撃が、高く伸びた茎の中央部分に炸裂していく。
「おりゃあっ!」
『シュパパァーンッシュパンパンッパパンッパァーンッパンッ』俺は俺で鋼鉄の剣を振り回し、太い茎を袈裟懸けに切り刻んでいく。
『シュパッシュポッ』『ズゴンッ』『シュパシュポンッ』『ドゴンッ』『シュッパッ』長く伸びた太い茎を斜めに切り裂いていっているので、途中から切り裂いた部分が抜け、上から本体が降りてくるという、いわゆるだるま落としのような状態になり、そのまま構わずに斬り続けた。
『ズッ・・・シュタッ』どれだけ斬り続けただろう・・・やがて巨大な花弁まで降りてきて、中央部に突き刺さっていたツバサを助け出してやる。
『ふしゅー・・・』そのまま巨大魔物は消失した。
「ふうー・・・何とか倒したな・・・。」
「ええ・・巨大でしたが、意外と簡単に倒せましたね。」
源五郎が笑顔で駆け寄ってくる。
「いや・・・そうでもないぞ・・・あのまま広範囲に冷気を吐きまくられて、更にあの巨大な花弁の手裏剣攻撃を続けられたら、魔物に近づくことすらできなかっただろう。
ツバサのおかげだ・・・魔物の出現とほぼ同時に跳躍して奥義を使って魔物の口へ突っ込んだから・・・あれで冷気攻撃も手裏剣への分離も両方ともできなくなったわけだ。
いかに巨大でも、その攻撃の手段をふさがられていれば、後は切り刻んでいくだけだから簡単だ。」
「そっ・・・そんなことはありません・・・鰐襲旋風脚はワニのローリングのように、敵の急所を破壊する攻撃ですが、あまりに強烈すぎて敵内部へ突っ込んでしまい、動きが取れなくなってしまうという欠点があります。
あたし一人だけの時には使えない技ですが、皆さんの加勢を信じて攻撃しました。」
ツバサが恥ずかしそうに顔を赤らめながらうつむく・・・おおそうか・・・団体戦での技のようだな。
そのような仲間のサポートを期待した奥義というのもありだろう。
「ううむ・・・気になるからクエスト票を再確認してみよう。
四菱草・・・その花弁を剥離させて手裏剣のように攻撃する。物理攻撃力AX。」
畜生・・・後だし情報だよ・・・先ほど洞窟に入るときにはこんな情報書いてなかったからな。
「さらに・・・巨大四菱草・・・洞窟内の四菱草を倒しきった後に出現。
手裏剣による物理攻撃AA、冷気攻撃AA・・・じゃないか・・・道理で・・・おかしいと思ったんだよ・・・これまでの魔物のレベルに対して、今回のクエストの魔物はあまりにもレベルが低すぎるような情報しかなかったものなあ・・・。
これは俺たちの油断を誘って、あわよくば全滅を狙おうという作戦だな・・・せこいなあ・・・。
魔物の攻撃レベルがAAとか特AAとか事前に分かったところで、俺たちが何かできるかと言ったら・・・とりわけ準備できるわけじゃあないからな・・・無駄なことをやっているだけとしか思えんがね・・・。」
中央の奴らは何を考えて、こんな嫌がらせ的なことをやってきているのか、魔物の情報を正確に知っていたとしてもうまく対処できていたとは到底思えないのだが、後だしは、はなはだ不快でしかない。
「あっ、宝箱!」
巨大魔物がいたあたりに宝箱を見つけ、レイが駆け寄っていく。
「やったあ!乗り物券だ!」
レイが金色に輝くチケットを満面の笑みとともに掲げる・・・アレヘス遊園地の乗り物券のようだ。
「こっちは・・・あれ・・・100コインと書いてありますね・・・アレヘスカジノ金券となっています。」
源五郎がもう一つの宝箱を開けて、こちらも紙片を取り出した・・・。
「ああ・・・そういえば遊園地の中にカジノもあるといっていたな・・・ようし・・・帰ったら行ってみよう。」
遊園地の乗り物券10枚綴りが4枚とカジノの金券100コインが4枚入っていた。
ううむ・・・このところ宝箱に防具や武器が出てこなくなったな・・・。
「どうせ1週間はここを離れられないわけだから、まだ時間はあるが今日の午後は自由時間とするか・・・。
がつがつクエストをこなしたところで、やることがなくなっても困るからな。
じゃあレイとツバサは遊園地で遊ぶわけだな・・・俺と源五郎はカジノへ行ってみる。
どれだけ遅くなっても宿に夕食の時間までには帰ること・・・まあ俺たちも100コイン使ってしまったら遊園地へ戻ってくることになるだろうがな。」
半日でクエストを終え、昼食後に遊園地へ到着し、午後は自由時間とした。
カジノは大人の社交場だから、ツバサはともかくレイは連れていくわけにはいかない。
非行に走る原因となってしまうからな・・・。
「ルーレットとかカードゲームが主流ですかね・・・。」
源五郎と連れ立って、ネオンきらめく中世の城をイメージさせるような建物の中へと入っていく。
「いらっしゃいませー・・・あらん、いい男!」
重厚そうな入り口ドアを開けると、すぐにバニーガール姿の長身の美女たちに取り囲まれる。
そこは吹き抜けの高い天井からクリスタルのシャンデリアがいくつも吊り下がっている、明るい空間だった。
「おっ・・・おう・・・この金券があるのだが・・・どのゲームができるのかな?」
ツバサやレイと一緒に来なくてよかったぁー・・・恐らく鼻の下は相当に伸びていることだろう、大きな胸の上半分ほどがあらわな美女に、宝箱でゲットした金券を見せる。
「あらぁ・・・VIP様ですね・・・どのゲームも大丈夫ですよ・・・。
ルーレットでしたら、1コインで100枚のチップと交換できます。
ポーカーやバカラなどのカードゲームも同様です。
競馬ゲームやビンゴカードを購入することもできます。
他にもパチンコやパチスロがありまして、こちらの場合は1コインで100玉若しくは20メダルと交換して遊戯できます。」
美人で巨乳のバニーガールが笑顔で説明してくれる。
なんとパチンコもあるというのか・・・しかも100コインあれば1万発分の玉と交換可能という事だ。
それだけあれば1回くらいは当たりを引けるのではないか?いや、甘デジであればもっと簡単に・・・。
「じゃあ、パチンコをやりたいのだが・・・どんな台があるのかな?」
まずはパチンコをやってみよう・・・釘の締めがきつくて回転が悪ければ、スロットという事もありだな・・・。
「羽根物からデジタル・・・ドラム式までいろいろとありますよ・・・一緒に見に行きましょうね。」
バニーガールに誘われ、ホールの奥へと入っていく。
パチンコは学生時代にはまって、当初休日のみの楽しみだったのが、授業のない平日の昼間時間にまでも行くようになったことがある。
時間はつぶせたが、やはりかけ事で蔵が立つことはなく、恐らく収支としてはマイナスだったろう。
それでもバイト代の大半をつぎ込むなんて無茶なことはせず、あくまでも娯楽として楽しんでいた。
たまに儲けが出たときは、仲間達と豪華なディナー・・・といってもせいぜい回転ずしか大衆酒場なのだが・・・で、儲けた奴のおごりで・・・という一種の仲間内のレクレーションのようなものだった。
就職してからもパチンコを続けてはいたのだが、俺の名前のせいで一旦は遠ざかっていたRPGの方へのめり込むようになり、結婚してからは家庭を持ちこづかいも限られた範囲となり、たまにしか行かなくなった。
今では深夜のパチンコ番組で、今はやっている機種などを見ているだけが多くなったが、基本的に嫌いではない。
「ぼッ・・・僕は・・・ルーレットをやりたいな・・。」
「はーい、こちらですぅー・・・」
源五郎も数人のバニーガールと連れ立って、ホール右側のルーレット場へと歩いて行った。
「こちらですー・・・お気に入りの台はございますでしょうか・・・。」
案内された先は、1列15台のパチンコ台が10列ほど背中合わせで並んでいる、小規模ホールのような場所だった。
パチンコ台の奥には、これまた15台のパチスロ機が10列ほど並んでいる。
ううむ・・・、まさに日本のパチンコ屋だ・・・。
どれどれ・・・どんな台があるのだろうか・・・と思って見てみると・・・あまり見慣れない機種ばかりのような気が・・・ふうむ・・・このゲーム用のオリジナルか?
5台ずつ同じ台が並んで、1列に3種類ずつの島に分かれているようだ。
権利物のような台に液晶にデジタルの数字合わせの台や、ドラム式のスロットタイプのような機種もあるようだ。
とりあえず小さな液晶画面では楽しみが少ないので、大きなアームが左右についたいわゆる羽根物に座る。
そうか・・・10年間通信ができていないわけだから、この台は10年以上前のものだな・・・そういえばこんな羽根物をやっていたような記憶が・・・。
『ジャラジャラジャラ』金券を台横の差込口に挿入し貸し玉ボタンを押すと、1カウント減らされ100玉が上皿に供給されてきた。
『タンッタンッタンッタンッタンッ』右手でハンドルを操作すると、玉が順に打ち出されていく。
『カチャカチャカチャ・・・スコッ』『チンッジャラジャラ』『ファンッ』盤上の釘の間を飛び跳ねながら順に下方へと落ちていく玉が、左側の落としにあるスタートチャッカーに入ると、盤中央の大きな羽が左右に1度開く・・・がしかし、玉を拾うことはできなかった。
「あんっ!惜しいー・・・」
すぐさま後方から悲鳴が上がる・・・3人のバニーガールたちと一緒にやってきたわけだが、彼女たちは俺が案内されたパチンコ台に座った後も後方に立っている。
応援のつもりなのだろうか・・・、ううむ・・・美女を従えてパチンコ三昧とは贅沢だ・・・。
そういえば盤上の釘の天の左側にある、通しを狙うんだったな・・・上手く拾わせるには通しより少し弱めの方がよかったような気が・・・はるか10年前を思い出し、少しハンドル調整をする。
『ジャラジャラジャラジャラ』『タンッタンッタンッタンッタンッ』『カチャカチャカチャ・・・フシュッ』『ファンッ』玉がなくなったら貸し玉ボタンを押して補給し、時折狙いが変わる玉の軌道をハンドル操作で微調整しながら打ち続けると・・・、
『カチャカチャカチャ・・・スコンッ』『チンッジャラジャラ』盤中央下部の2回スタートチャッカーに玉が入った・・・。
何とか拾ってくれー・・・と願っていると・・・『ファンッ・・・ファンッ』『フシュッ・・タンタンッスコッ』
『パンパカパーン・・・』1回目の羽根が開いたときに玉が飛び込み、そのまままっすぐ役物中央部を降りてきて前方のVアタッカーに入賞した。
盤面中央のドット表示がぐるぐると動き出す。
そういえば2ラウンド、7ラウンド、15ラウンドとあって、V入賞後に抽選されるんだったな・・・。
ドット表示には途中UFOがふわふわと飛んできて全消灯の後Vの文字が・・・やったあー・・・15ラウンドだー・・・。
「きゃあっ!やったわ15ラウンド大当たり・・・おめでとうございます。」
「おめでとうございます!」「おめでとうございます!」
後方で見守ってくれているバニーガールの面々が、飛び上がって喜び祝福してくれる。
貸し玉のカウンターを見ると、残りが90コインとなっているから、およそ1000玉使っての初当たりだ。
『チンッジャラジャラチンッジャラジャラ』ラウンド中は、羽根が連続して開閉動作を繰り返し、10玉拾うと次のラウンドへ移行する。
1玉が羽根の内部に入賞するたびに10玉が払い出される仕組みだ。
15ラウンド終了して、ドル箱の8分目ほどが埋まる・・・おおよそ15,6百玉といったところだ。
すべての玉が羽根に拾われるという訳ではなくロスもあるが、同時に役物天釘部分と左右の端にも入賞口があり、ラウンド中にも入賞するので、実際の出玉は計算よりも多くなる場合が多い。
その後も少し打ち込むとV入賞して今度は7ラウンド・・・あっという間にドル箱が満タンになった。




