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Anomie  作者: 椎葉
第1章 我らアンデッド殲滅部隊
3/40

3:新任務

「福島……ですか?」

朝日が窓から差し込む部屋。

僕は今、1週間後の大型任務の詳細について東京都JUCGトップの、渡部(わたべ) 義宗(よしむね)から聞かされていた。

「そうだ。アンデッドの襲撃により深刻な人員不足に陥っているそうだ」

「はあ………」

内容を要約すると、人員不足の福島県に行ってゾンビを倒してこい、といったところだろうか。

「でもなんでわざわざ東京から」

「ここが日本で1番の戦力だからだろう、東北はどこも手一杯だ」

面倒なことになったな、と思った。東京から福島といったら移動は飛行機だろうか。

東京拠点にはパイロットの隊員がいるし、他所から派遣されている整備士もいる。


また母さんのところへ足を運んでおこう。

「それと、これは今の福島の状況だ」

そう言って義宗は僕に資料を渡した。

「ありがとうございます」


 僕は福島の資料を見ながら廊下を歩いていた。

写真がついているのだが、はっきり言って分かりづらい。

「もっといい写真とかないのかな……」

東京のJUCGを仕切る義宗だが、性格は穏やかで少し天然っぽいところがある。

いざという時はやるのだが……。


「あっ」

突然、誰かにぶつかってしまった。

相手は小さな女の子で、しりもちをついている。

「ごめんね……怪我は無い?」


「大丈夫です………って」

「あ、ヒナ」

どうやらぶつかった相手は妹のようだ。

「どうしたの?こんなところで」

「お兄ちゃん探してたの」

どうやら僕に用事があったらしい。

「どうかしたの?」

「これあげる」


 そういってヒナが差し出してきたのは、折りたためられた紙だった。

「………?」

開いてみると、絵が描かれていた。 男の人と(おそらく僕だろう)、母親と女の子が描かれいた。

「ありがとう」

「お兄ちゃん最近、元気じゃなさそうだもん」

おそらく班のことで、悩んでいたからだろう。子供らしいプレゼントだが、今の僕にはありがたい。


「これで元気になったよ」

「本当?」

「うん。ところで、母さん今いる?」

「いるよ!」


 部屋に入ると、母さんが食器を拭いていた。

「母さん」

母さんは僕を見ると、微笑んだ。

僕は1週間後の任務について母に話した。


「そうかい………気をつけなよ」

「うん、ありがとう」

すると母は何かに気付いたようで、

「そうだ」

と言った。

母は机の中に置いていたものを手にとり、僕に渡した。

「これは……?」

「御守りだよ」

刺繍が施された美しいバングルだ。

「ありがとう」

僕は大事にポケットにしまった。


 僕は母さん達の部屋を出て、今度は如月班の部屋に行った。

任務のことを伝えるのだ。


 部屋のドアをノックすると、「はーい」と声が聞こえた。

「入るよ」

部屋に入ると、3人揃ってベッドに寝そべっていた。

こうしてみると少し笑える。

「任務の詳細を伝えるから起きて」

そう言いながら僕は、3人に資料を配った。


 しばらく3人は資料に目を通していたが、やがて晋平が

「福島ぁ!?」

と叫んだ。


 僕は頷き言った。

「うん、今回は結構ハードな任務になりそうだよ」

その言葉を聞いた晋平の顔は死んでいた。

「任務に参加する班は、僕らと、今河班、あと最上班だね」

「たった3班!?」

晋平は納得できないというように首を振った。

「東京の戦力も手薄にできないから」


 晋平はもう絶望した顔になっている。どう接したらいいのか分からない。

「お前のその肉団子体型を治すのには良い機会だろう」

だが遼はいつも通り毒舌だ。

「如月さん、敵はどれだけいるんでしょうか」

唯一武子が真面目に質問した。

「ざっと100くらい?」


 晋平はおろか、武子も表情を失った。

遼だけがそれを聞いてワクワクしている。

「ひゃ、ひゃく………」

晋平がその場に倒れた。

「晋平、大丈夫か」と武子が聞くが、晋平は「無理……」と言うだけだ。

なんとかして晋平のやる気を出させる方法は無いだろうか。

そこで僕はあることを思い出した。

「そういえば最上班には女の子がいたな」


 それを聞いた晋平は突然起き上がり、僕に再び訊いた。

「今、なんて?」

「そういや最上班には女の子がいたなーって」

晋平は元気が出たらしく、急にはりきりだした。

「よーし、お前ら、次の任務は協力して頑張るぞ!」

武子は強く頷いたが、遼は「単純」と呟いた。



 僕は自分の部屋に戻り、内心ガッツポーズをした。

一番厄介な晋平のやる気を出させることはできた。

あとは遼にどう言うことを聞かせるか。

晋平は単純だが、遼は難しそうだ。優秀だし。


 ふいに、部屋のドアが勢いよく開いて、誰かが入ってきた。

「修也?」

入ってきたのは修也だった。修也は僕に「ちょっと来てくれ!」と言った。

「どうしたの」

僕は修也があまりにも焦っている様子なので不安になり、急いでついていった。


 僕らは修也の部屋に入った。

「見てくれ」

修也は僕に資料を見せた。

「これ、僕貰ってないんだけど」

「今緊急で配られたんだ。それはお前の分だ」

そういって修也は自分の資料を取り出した。

どうやら今回の任務についての追記らしい。


 僕は資料を読んでいたが、ある文字に目が留まった。

「嘘だろ………」

そこには、『福島のJUCG隊員が全滅』と書かれてあった。

修也は言った。

「たった今入った情報らしい」

僕は改めて事の重大さを理解した。

「ということは、それだけの敵がいるってこと?」

修也は頷いた。

「もっと下の方まで読んでみろ」

僕はさらに読み進めた。

そこには、『派遣する班を5つ増やす』と書かれてあった。

「相当ヤバい状況になってきたぞ」


 僕は頭を抱えた。

チームをまとめる事すらできない僕の班が、果たしてこの任務で生き残れるだろうか。

登場人物プロフィール


今河 修也

アンデッド殲滅部隊所属 今河班班長

23歳 B型

身長:180cm 体重:85kg

誕生日:4月27日

好きなもの:麺類、やりがいのある事、親友

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