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Anomie  作者: 椎葉
第3章 謎のウイルスとアンデッド
21/40

21:新しい武器

 「だから、ADはほんまは寄生虫のような存在なんやって!」

「あ、初めからそう言ってくれれば分かりやすいよ」

僕は今、任務報告会議に出席していた。

今河班は緊急任務で欠席、渡部はウイルス追跡チームの指揮に回っている。


 報告会議は通常、各区担当班ごとに分かれて行うので、元中央区担当で出席しているのは今は橋根と僕だけだ。


 橋根の報告は専門的な用語が多すぎて分かりにくかったが、なんとか掴みは理解することができた。

「本当はウイルスじゃ無かったってこと?」

「いや、出来損ないの寄生虫って感じで、ウイルスには違いない」

「意味分かんないよ」

「まぁ、いずれもっと判明されたら分かってくるやろ」


 橋根の報告が終わったので、今度は僕が報告を始める。

「僕らの班は今河班とともに上野駅での任務。多数のアンデッドに襲撃されるが、これを駆逐。中には蜘蛛の姿をした巨大なアンデッドもいた」

「蜘蛛?」

「うん。毒と糸を兼ね備えていて、相当強かったよ」

「ほぉー、で、みんな無事だったんやな」

「うん」


 「ほな、行こか」

報告も終わり昼時になったので、僕らは会議室を出た。


 「それにしても橋根は相変わらず言葉訛りがすごいな…」

「え?別にすごくはないやろ」

「上京して結構経つんだからそろそろ標準語に慣れると思うんだけど…」

「なんや?馬鹿にしとるやろ?別に通じひん訳じゃないんやから」

「馬鹿にしてるんじゃなくて……」

橋根はムスッとした顔で腕を組み、先を歩いていく。


 「あれ、君は」

廊下に座っている人がいたので見たら、いつかのギター青年だった。

「確か……進くん」

「はい、そうです」

橋根が「知り合い?」と訊いてきた。

「うん、阿島進くん。修也の班の軌琉くんのお兄さん」

「ほー、軌琉の兄さんか。なんやあんまり似てへんな」

「ええまあ、いつも軌琉がお世話になってます」


 「ほな、うちはもう行くで」

「うん、じゃあね」

橋根は部屋へ戻っていった。

橋根の後姿を見て、進は「彼女さんですか?」と訊いた。

「まさか。ただの友人だよ」

「モテそうなお顔してますよ。えっと……」

「あ、如月透。透でいいよ」

「透さん、彼女さんとかいそうですね」

「いないよ。作る暇も無いしね」


 「大変そうですね」

「軌琉くんは隊に入ってるけど、進くんは入らないの?」

「ええ。僕は軌琉と違って、運動神経とかあまり良くないですから」

進はそう言っているが、本当は軌琉がヘマしないか不安なんじゃないだろうか。

なんとなく、そんな気がする。

「隊に入ったからといって、必ずしも戦うわけじゃない。渡部さんのように指令を出したり大きな作戦の指揮を執る役目もあるんだよ」

進は俯いた。

「僕には荷が重いです……」

「そんなことない、君は一生懸命で真面目だから、どんなことでもきっと上手くいくよ。それに、軌琉くんを見守ることだってできる」

そう言うと、進はハッとした顔で頭をあげた。

「考えてみます……」

僕は微笑んで頷いた。


 青年と別れ廊下を歩き、1階に降りると、洋館のドアが開いて誰か中に入ってきた。

「あ、修也」

「ゼェー…ゼェー……あ?なんだ透か」

「どうしたの」

「いや、任務を終えて帰ろうとしたら雨降ってきて、急いで………」

そういえばさっきから雨が降っていた。ドアを開けて見てみると、すごい土砂降りだった。

「タオル持ってきてくれないか」

「いいよ」

僕は部屋に戻り、タオルを数人分持ってまた玄関に来た。


 「助かった」

今河班はタオルで雨水を拭いた。

「あ、そうだ。刀が折れたから武器庫いかねぇと」

「刀折れたって、一体何と戦ったんだよ」

「ケルベロスの大群だ」

「なるほどね」

僕はとりあえず隼人に修也の分のタオルを預けて修也と一緒に武器庫に向かった。

武器庫は洋館“地下”にある。


 階段を下っていくと、たくさんの扉が並ぶ道がある。

「えーと、刀は…こっちか」

修也は刀が置いてある部屋に入っていった。

僕は刀ではなく、銃火器の部屋に入った。

そろそろ実戦に銃を取り入れようかと思っていたところだ。


 「どれを使えばいいんだ……?」

自分は銃には詳しくない。事前に誰かに聞いてくれば良かったと、後悔した。

「とりあえずコレ使ってみるか……」

僕は『デザートイーグル』と書かれた棚にあった拳銃を手に取った。


 そこに、扉を開けて誰かが入ってきた。

「あ、最上さん……」

入ってきたのは最上だった。最上は僕のことを忘れていたのだろう、一瞬不思議そうな顔をしたがすぐに気づいたようだ。

「ああ…如月班の」

「福島ではお世話になりました」

「いやいや。それより、銃を使えるのかい?」

「まぁ、初心者ですけど……」

僕はJUCGに所属した当初、訓練を受けていたから一応は使える。


 「初心者にその銃は厳しいと思うな」

「えっ」

最上は僕の隣に立ち、僕が握っていた銃を手に取った。

「この銃はね、威力はすごくデカいけど反動が大きくてね」

そしてその銃をしまうと、他の棚を見た。


 「これなんてどうかな」

最上は『S&W M19』と書かれた棚から銃を取り出した。

「これはさっきのとは違ってリボルバー式。コンバットマグナムといって、なかなかに威力が高い。映画でも結構使われてるんだけど、知らない?」

僕はなんのことだかさっぱり分からかった。

「それかコレかな」

最上は別の棚からも銃を取り出した。『M1911』と書かれている。

「これはさっきの『デザートイーグル』と同じ自動拳銃。これはコルトガバメントっていうんだけど、並のアンデッドなら頭狙えば一撃だ」

そう言った後に、「ちなみに俺のオススメ」と付け足した。


 僕は正直あまり理解できなかったが、とりあえず最上のオススメを使うことにした。

「じゃあ、これにします……」

最上は頷いた。

「慣れてきたら、いろんなタイプを使い比べてみればいいよ。拳銃に限らずね」

「分かりました」

僕は「ありがとうございました」と礼を言ってから部屋を出た。


 「どうだった?なんかいいのあったか?」

修也が訊いてきた。

「良く分かんないけど、とりあえず選んだよ」

これからの任務では、刀と拳銃を使い分けなくてはいけない。


 単純なものかと思ったが、武器にもたくさん種類があり、奥深い。

僕ももっと勉強しなければいけないと感じた。


 とりあえず、これが明日からの任務に役立てば良いのだが。

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