【第二分隊・迷子】2
涼風和奏は、刀鍛冶、鉄堂光泉の工房を探し、方向音痴はそのままに、小走りで町中を回っていた。
「うん。この商店街、もう三往復してますね」
方向音痴は明後日の方向へ走り出すだけではない。同じ所をぐるぐる回ることもあるのだ。
今回、涼風和奏の仲間は実に頼もしい程揃っている。不知火も和川も番場も、盗人ごときにどうこうされるような柔な魔術師ではない。
ならば、自身の魔力の温存にそこまで気を取られる必要もないだろう。
制服姿の涼風は、内ポケットから折り紙を取り出し、建物の陰に入った。
『〈我、雲上人なり〉』
詠唱――魔術師が魔術を行使する際に用いる、魔術への鍵。
涼風は、ボクサーのようにその場で二、三跳ねた。小ぶりな胸とスカートがその度に揺れて、三度目。アスファルトにひびを入れるかのような勢いで地面を蹴り、涼風和奏の体は電柱をも超える高さへと跳んだ。
景色が一気に広がる。住宅街も商店街も駅も田畑も、一面に広がる景色を一人占めするかのごとく、その視界に収めた。
「おや、あそこに魔力の塊が……行ってみましょうか。目を離さなければ大丈夫でしょう!」
というと、満面の笑みでふわりと着地し、「あ」と声を漏らしながら、早速目を離してしまったことに気付いた涼風は、またも目的地に向かうことなく歩き始めた。
しかし明後日の方角というわけではない。ただ、別の目標に切り替えただけなのだ。
そちらを追う方がいい、と、判断したのだが。
(最後まで行けるか……それが問題ですね!)
少なくとも、上手くいったことはさほどないので、期待は出来ない。
涼風の胸は小ぶり。小ぶりなのです。次回もよろしくお願いします!




