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異世界で家庭菜園やってみた  作者: 藤原ゆう
家庭菜園事始め
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30.若さゆえの過ち(2)

ウリエルの手を引いたまま、悠理は闇雲に歩き、気付けば遠くに見えていた林の近くまで来てしまっていた。


新緑の芽吹いた木々の下を、小川が流れている。


この小川がなければ、悠里はまだ先まで、進んでいたかもしれない。


「ユーリ。どうしたんだ?」


小川の方を向いたまま、ウリエルを見ようとしない。


「ウリエルさん」


それは消え入りそうな声だった。


「うん」


いつもより一層儚く見える悠里の後ろ姿に、ウリエルの頭に嫌な予感が過ぎった。


「お願いが、あるんです」


「うん」


「やっぱり、もう、わたしにかまわないでもらえますか?」


「……」


悠里の言葉の意味を理解しようとするのに、頭がジンジン痺れて何も考えられない。


すぐ近くで流れている小川の音が、やけに遠くに聞こえた。


「どう、して?」


ウリエルがやっと絞り出した声は、とても掠れていた。


「側にいることも、許してくれないの?」


「わたし、いい子じゃないです。自分が傷付きたくないから、本音を言わないだけで。ほんとは、いろんな事、心の中で文句言ったり、愚痴ったりしてる。ウリエルさんが側にいると苦しいんです。自分の嫌なとこにばかり気付かされるんです」


「知ってるよ。そういうとこも全部、好きだって言ってるんだけど、それでもダメなの?」


悠里がくるりと振り返った。


赤く充血した目に、見る間に涙が浮かんだ。


「どうして、そんなに簡単に好きだなんて言えるんですか?わたしは言えない。拒絶された時のこと考えたら、怖くて、言えません……」


ウリエルは痛みを堪えるように目を閉じ、深く息を吸い込んだ。


それからゆっくり吐き出すと、自嘲的な笑みを浮かべた。


「俺の想いが、ユーリの重荷になるなら、俺はもう、お前の側にはいられない。そんな辛そうな顔、させるつもりはないんだ。ごめん……」


「……」


「野菜作りは?」


「ジョーさんやアルバートさんがいるから」


「ああ……そうだな」


何とか悠里の心を繋ぎ止める手立てはないかと考えたが、こんな明らかに拒絶されたのだから何も浮かばなかった。


「悠里が落ち着くまで待ってようと思ってたんだけど、やっぱり無理だった?」


「……」


悠里がコクリと頷いたのを見て、ウリエルは胸に走る痛みに耐えながら、「分かった」と言った。


「それじゃ」


一言言い残し、悠里はウリエルの脇を走り抜けて行った。





「とうとう言われたな……」


人に気を遣うばかりの子が、ああもはっきり迷惑だと言ったのだ。


「これから、どうすっかなあ」


途方に暮れたように、ウリエルはしばらくその場に立ち尽くしていた。




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