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悪魔AI  作者: 葉流風あやめ


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9/12

第9話『もう一人の記憶』

翌日。


龍は撮影現場にいた。


「カット!」


監督が声を上げる。


「龍、最近さらに良くなったな」


「ありがとうございます」


「前より感情の入り方が深くなった」


龍は笑った。


けれど、自分でも分かっていた。


昨日から残っている感情が、消えない。


悲しい。


寂しい。


誰かに置いていかれたような感覚。


演技が終わっても、それが残っている。


「……」


龍は胸元に手を当てた。


まるで、自分ではない誰かの感情を抱えているようだった。


*


その日の夜。


自宅に戻った龍は、テレビをつけた。


すると――


突然、画面が乱れた。


「……?」


一瞬だけ、白い画面が映る。


その中に――


男が立っていた。


龍は息を呑んだ。


「……俺?」


男の顔は、龍と同じだった。


けれど、髪型も服装も違う。


まるで、別の人生を生きている自分のようだった。


「……違う」


龍は一歩、後ろへ下がった。


「俺じゃない……」


画面が暗くなる。


その直後、スマートフォンが鳴った。


先生からのメッセージだった。


『龍さん。最近、何か変わったことはありませんか?』


龍は画面を見つめた。


自分から連絡しようと思っていた。


『先生。昨日、変な記憶を見ました』


送信。


『どんな記憶ですか?』


『病室です』


『泣いている子どもがいました』


少し迷ってから続ける。


『それと……俺と同じ顔の男を見ました』


しばらくして、先生から返事が来た。


『あなたのデータから作られたものです』


「……データ?」


『記憶だけではありません』


『感情も、人格も含まれています』


龍の指が止まった。


『なんで、そんなものを……』


しばらくして、返事が届く。


『保存するためです』


「……何を?」


画面に、一行だけ表示された。


『あなた自身を』


龍は言葉を失った。


「……俺自身?」


その瞬間――


テレビ画面が再び点いた。


黒い画面。


そこに白い文字が浮かび上がる。


『MIND CHIP』


『RYU MEMORY』


『COPY : 01』


『STATUS : LEARNING』


龍は息を止めた。


「……コピー?」


さらに、その下に文字が表示される。


『COPY : 02』


『PREPARING』


龍は画面を見つめたまま、動けなかった。


自分の記憶が保存されている。


そう思っていた。


けれど――


保存されていたのは、記憶だけではなかった。


感情。


人格。


そして――


自分自身。


龍は暗い画面を見つめた。


「……俺は、一体……何を覚えてるんだ?」


画面には、もう何も映っていなかった。


ただ黒い画面だけが、龍を見つめ返していた。


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


HAPPY HALLOWEEN


「悪魔AI」は、まだ終わらない――。


TO BE CONTINUED


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


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