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一番目の願い  作者: Kentarou Theater
その1

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9/13


愛子の研究は、その後も何十年と続いた。


彼女が生きている間に、生命の起源に関する完全な答えが見つかったわけではなかった。けれど、彼女の研究は、次の世代の研究者たちに引き継がれ、少しずつ、人類は「生命とは何か」という問いに近づいていった。


愛子が、年老いてから、ある若い研究者に語った言葉が、研究所の記録に残されている。


「私たちは、答えを見つけるために、たくさんの方法を試します。失敗もたくさんします。けれど、本当に大事なのは——最初に自分の中にあった『これがやりたい』という気持ちを、決して手放さないこと。それさえあれば、たとえ何万回失敗しても、最後には、必ず、何かに辿り着きます」


「それは、答えそのものではないかもしれません。でも——その道のりの中で見つけたもの全部が、最初の願いが見せてくれた『風景』なんです」


その若い研究者は、後に、生命の起源に関する重要な発見をすることになる。彼女が、その発見の論文の最後に書いた一文は、こうだった。


「この研究は、ある研究者が、子供の頃に心の中に灯した、小さな光から始まりました」


---


世界中の、誰かの心の中には、今も、小さな光が灯っている。


七夕の夜、短冊に文字を書く子供。流れ星に、思わず手を合わせる人。神社の絵馬の前で、目を閉じる誰か。


その願いが何であるかは、誰にもわからない。当人さえ、忘れてしまっていることもある。


けれど——もし、その光を、もう一度、思い出すことができたなら。


そして、それを、誰にも踏みつぶされず、最後まで、追い続けることができたなら。


それは、いつか、信じられないほど簡単に、現実になる。


たとえ、それが、何万回もの「違う願い」を経た、その先であっても。



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