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一番目の願い  作者: Kentarou Theater
その1

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4/13


愛子は、自分の部屋で目を覚ました。カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいる。


「夢……」


頭の中に、まだ光の感触が残っていた。あの言葉。一番目の願い。二万通りの電球。そして——母。


愛子は布団から出て、台所に向かった。母は既に起きていて、味噌汁を作っていた。


「おはよう、愛子。早いね」


「おはよう、お母さん」


愛子は、しばらく母の背中を見ていた。エプロン姿で、いつも通り、丁寧に出汁を取っている母。けれど、愛子はふと、その背中に、何かを感じた。長い時間をかけて、何かを丁寧に「畳んでしまった」人の背中。


「お母さん」


「なに?」


「お母さんは……昔、何になりたかったの?」


母の手が、一瞬、止まった。


「どうして、そんなこと聞くの?」


「なんとなく」


母は、少し笑って、また鍋をかき混ぜ始めた。


「昔のことだから、もう覚えてないなあ」


その答え方が、あまりに静かで、あまりに自然で——逆に、愛子には、それが「触れてはいけない場所」であることが、よくわかった。


愛子は、それ以上聞かなかった。けれど、心の中で、そっと決めた。


——いつか、知りたい。お母さんの一番目の願いが何だったのか。そして、それが、どうして「手放された」のか。


それは、夢の中の光が見せた「電球」とは違う形をしているけれど、愛子にとって、確かに——「真実を確かめたい」という気持ちは、強く、消えなかった。



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