第7話「ふわふわクッションのくもじま」
キッチンの奥へ続いていた光の道。
あずきちゃんとだいふくくんは、わくわくしながらあとを追いかけました。
ところが、光の道は途中でくるりと曲がり、リビングへと続いています。
「キッチンじゃなかったんだね。」
だいふくくんが不思議そうに言いました。
「きっと光るボタンには考えがあるんだよ。」
あずきちゃんはにっこり笑います。
ふたりがリビングへ着くと、いつものソファが月あかりに照らされていました。
そのときです。
ふわり。
ふわり。
ソファのクッションが、まるで息をするようにゆっくり膨らみ始めました。
「えっ?」
「あずきちゃん、見て!」
クッションはどんどん大きくなり、やがて真っ白な雲のような形になりました。
ふわふわ。
もこもこ。
気がつくと、ソファの上には雲の島がいくつも浮かんでいます。
「くもじまだ!」
あずきちゃんは目を輝かせました。
「行ってみよう!」
ふたりはぴょんと飛び乗りました。
すると雲の島はとてもやわらかく、まるで綿あめの上を歩いているみたいです。
「気持ちいい~。」
だいふくくんは思わずごろんと寝転びました。
見上げると、天井には月の光がきらきらと反射しています。
まるで夜空を旅しているようでした。
そのとき。
遠くの雲の島から、小さな声が聞こえてきました。
「たすけてー。」
「あれ?」
あずきちゃんは耳をすませました。
「今、聞こえたよね?」
ふたりは声のするほうへ急ぎます。
ぴょん。
ぴょん。
雲の島を渡っていくと、一番小さな島の上で、ふわふわの綿毛のような子が困っていました。
「どうしたの?」
あずきちゃんが尋ねると、その子はほっとした顔をしました。
「ぼく、くもっこ。」
「くもっこちゃん?」
「風に飛ばされて、おうちの島へ帰れなくなっちゃったんだ。」
見ると、くもっこのおうちは少し離れた場所に浮かんでいます。
小さな子には、ひとりで飛び移るのは難しそうです。
「だいじょうぶ!」
あずきちゃんは笑顔で言いました。
「いっしょに帰ろう。」
だいふくくんも大きくうなずきます。
ふたりはくもっこの手をそっと握りました。
そして――
ぴょん!
ぴょん!
慎重に雲の島を渡っていきます。
最後の大きなジャンプを越えると、
「着いたー!」
くもっこは大喜びです。
「ありがとう!」
すると、おうちの島からたくさんのくもっこたちが集まってきました。
みんなふわふわ笑っています。
「お礼にこれをどうぞ。」
くもっこたちは、小さな雲のしずくを渡してくれました。
そのしずくは、月の光を受けてやさしく輝いています。
「きれい!」
だいふくくんは大切そうに受け取りました。
その瞬間――
ぴかり。
光るボタンがまた輝きました。
すると雲の島が少しずつ薄くなり、いつものソファへ戻り始めます。
「そろそろ朝が近いのかな。」
あずきちゃんがつぶやきました。
「でも、まだ冒険は終わってないよね?」
だいふくくんが光るボタンを見つめます。
ボタンが照らした先には、本棚の上にある小さな木箱が見えました。
「あそこだ!」
ふたりは顔を見合わせて笑いました。




