第4話「おもちゃばこの王さま」
月あかりの差し込む窓辺へ向かっていたあずきちゃんとだいふくくん。
ところが、光るボタンは途中でくるりと向きを変えました。
ぴかっ。
ぴかっ。
光の道は、お部屋のすみっこにある大きなおもちゃ箱へ続いています。
「あれ?」
だいふくくんが首をかしげました。
「窓辺じゃないの?」
「あの光にも、きっと理由があるんだよ。」
あずきちゃんはにっこり笑いました。
ふたりはおもちゃ箱のふたによじ登り、そっと中をのぞきました。
すると――
「わあ!」
そこには、おもちゃたちの世界が広がっていました。
積み木のおうち。
ミニカーの道路。
ぬいぐるみの森。
色とりどりのブロックでできた広場。
月あかりに照らされたその景色は、まるで小さな王国のようです。
「こんな場所があったなんて!」
だいふくくんは目を丸くしました。
そのとき。
コツ、コツ、コツ。
どこからか足音が聞こえてきました。
ふたりが振り向くと、小さな積み木の馬車が近づいてきます。
そして馬車の上には――
小さな王冠をかぶった、木のお人形が立っていました。
「ようこそ、おもちゃの国へ。」
お人形はぺこりとおじぎをしました。
「ぼくは、この国の王さまだよ。」
「あっ、王さま!」
あずきちゃんとだいふくくんはびっくりです。
でも王さまは、とてもやさしそうな顔をしていました。
「今日は特別なお客さまが来ると聞いていたんだ。」
「えっ?」
「光るボタンが知らせてくれたんだよ。」
王さまはそう言って、ふたりの持つボタンを見つめました。
「やっぱり!」
あずきちゃんは思わず声をあげます。
「このボタン、お友だちがいるんだね!」
王さまはうなずきました。
「このおうちには、いくつもの不思議なボタンがあるんだ。みんな夜になると、冒険者を導いてくれる。」
ふたりは顔を見合わせました。
知らないことが、まだまだたくさんあります。
そのとき。
広場の時計が、
カラン。
と小さな音を鳴らしました。
「おや?」
王さまが空を見上げます。
「もうすぐ夜風の時間だ。」
すると、おもちゃの国のみんなが忙しそうに動き始めました。
積み木たちはおうちを支え、ぬいぐるみたちは木の葉を押さえています。
「たいへんそう!」
だいふくくんが言いました。
「手伝おう!」
あずきちゃんも元気よくうなずきます。
ふたりは積み木を運んだり、転がったブロックを元の場所へ戻したりしました。
しばらくすると、
ふぅーっ。
やさしい夜風が窓から吹き込みました。
でも、みんなで準備したおかげで、おもちゃの国はびくともしません。
「ありがとう!」
王さまはうれしそうに笑いました。
「おかげで今日も平和な夜になったよ。」
そして王さまは、小さな銀色の星をふたりに手渡しました。
「次の冒険で役に立つかもしれない。」
その瞬間――
ぴかり。
光るボタンが再び輝きました。
光の道は、おもちゃ箱の外へ伸びています。
その先に見えるのは、月あかりに照らされた窓辺でした。
「あっ!」
「今度こそ、窓辺だね!」
ふたりは王さまに手を振りました。
「また遊びに来てね。」
「うん!」
あずきちゃんとだいふくくんは、胸をわくわくさせながら次の場所へ向かいます。




