第13話「きえたおつきさまクッキー」
おもちくんからの手紙を読んだ次の夜。
あずきちゃんとだいふくくんは、窓辺で星の道を見上げていました。
「いつかおもちくんに会えるかな。」
だいふくくんが言いました。
「きっと会えるよ。」
あずきちゃんはにっこり笑います。
そのとき――
とことこ、とことこ。
誰かが急いでやってきました。
「たいへんです!」
やってきたのは、ぬいぐるみたちのひみつかいぎで出会ったくまさんです。
「どうしたの?」
あずきちゃんが尋ねました。
くまさんは困った顔で言います。
「おつきさまクッキーがなくなってしまったんです。」
「おつきさまクッキー?」
だいふくくんは首をかしげました。
「今夜のおやつにみんなで食べるはずだった、大切なクッキーなんです。」
「それはたいへん!」
あずきちゃんは目を丸くしました。
「どこでなくなったの?」
「ひみつかいぎのお部屋です。」
くまさんは小さな袋を見せました。
中にはクッキーがひとつも入っていません。
「さっきまであったんです。」
「うーん。」
あずきちゃんは少し考えました。
すると、だいふくくんが胸を張ります。
「こういうときは名探偵だ!」
「あっ!」
あずきちゃんも笑顔になりました。
「じゃあ今夜は探偵さんだね!」
こうして、あずきちゃん探偵とだいふく探偵のクッキー捜索が始まりました。
まずふたりは、ひみつかいぎのお部屋を調べました。
テーブルの下。
いすの後ろ。
本のすきま。
でもクッキーは見つかりません。
そのとき。
「あれ?」
だいふくくんが床を見つめました。
そこには小さな粉が落ちています。
「クッキーのかけらかも!」
ふたりは粉を追いかけました。
粉は棚の横へ。
さらに窓辺へ。
そして――
ぬいぐるみの森の入り口まで続いています。
「犯人はここを通ったんだ!」
だいふく探偵が言いました。
「追いかけよう!」
森の奥へ進むと、
しくしく。
小さな泣き声が聞こえてきました。
「あれ?」
木の葉の陰に、丸くなっている小さな子がいます。
それは、まだ幼いねずみのぬいぐるみでした。
「どうしたの?」
あずきちゃんが優しく聞きました。
すると、その子はうつむいたまま言いました。
「ごめんなさい……。」
その手には、半分だけ残ったおつきさまクッキーがありました。
「ぼく、おなかがすいていて……。」
「ひとつだけのつもりだったの。」
「でも、おいしくて……。」
言いながら、また泣き出してしまいました。
あずきちゃんとだいふくくんは顔を見合わせました。
そして、にっこり笑います。
「ちゃんと話してくれてありがとう。」
「あやまれたのはえらいよ。」
だいふくくんも優しく言いました。
ねずみくんはびっくりした顔をしました。
「おこらないの?」
「だって、わざと困らせたかったわけじゃないんでしょ?」
あずきちゃんが言うと、ねずみくんはこくんとうなずきました。
みんなでひみつかいぎのお部屋へ戻ると、
くまさんは優しく言いました。
「次からは、ひとこと言ってくれればよかったんですよ。」
すると、うさぎさんやねこさんも笑顔でうなずきます。
「おなかがすくこと、あるよね。」
「今度は一緒に食べよう。」
ねずみくんはほっとした顔になりました。
そのとき。
りん。
あずきちゃんが持っていた星のベルが鳴りました。
するとテーブルの上に、小さな包みが現れます。
中には――
まんまるのおつきさまクッキーがたくさん!
「わあ!」
みんなは大喜びです。
どうやら夜の不思議が、優しいごほうびをくれたようでした。
クッキーを分け合いながら、
あずきちゃんとだいふくくんは窓の外を見上げました。
そのとき。
ぴかり。
光るボタンがまた輝きます。
今度は、お部屋のすみにある古いオルゴールを照らしていました。
「次の冒険だ!」
だいふくくんが目を輝かせます。
「あのオルゴール、どんな音がするんだろう。」
あずきちゃんもわくわくしています。




