第10話「おふろばのにじいろしずく」
ぬいぐるみたちのひみつかいぎを終えたあと。
あずきちゃんとだいふくくんは、窓辺にある星のベルを探しに向かっていました。
ところが――
ぴかり。
ぴかり。
光るボタンが、いつもとは違う方向を照らし始めます。
「あれ?」
だいふくくんが首をかしげました。
「窓辺じゃないの?」
光の道は廊下を通り、おふろばへ続いています。
「あっちにも何かあるのかも!」
あずきちゃんはわくわくしながら歩き出しました。
ふたりがおふろばに着くと、そこはしんと静まり返っています。
大きな鏡。
白い浴槽。
きれいに並んだボトルたち。
月あかりが窓から差し込み、おふろば全体が青白く輝いていました。
「なんだか別の世界みたい。」
だいふくくんがそっと言いました。
そのとき――
ぽちゃん。
小さな音が聞こえました。
「あっ!」
浴槽のふちに、ひとつのしずくが光っています。
しかも普通の水滴ではありません。
赤。
青。
黄色。
みどり。
虹のように色が変わっているのです。
「にじいろだ!」
あずきちゃんは目を輝かせました。
すると、そのしずくはころんと転がり、
ぴょん!
と跳ねました。
「逃げた!」
だいふくくんがびっくり。
にじいろしずくは、まるで生きているみたいに浴槽のふちを走り回ります。
「待ってー!」
ふたりはあとを追いかけました。
ぴょん。
ころん。
きらり。
にじいろしずくは、鏡の前へ。
次は洗面台の上へ。
そして窓辺へ。
追いかけるたびに、しずくは小さな光を残していきます。
やがて、おふろばのすみっこにある小さな棚の前で止まりました。
「どうしたのかな?」
あずきちゃんが近づくと、しずくは棚の下を照らしました。
そこには、小さな銀色の鈴が落ちています。
「あっ!」
だいふくくんが声をあげました。
「これって、星のベルじゃない?」
よく見ると、鈴には小さな星の模様が刻まれています。
ぬいぐるみたちが話していたベルに違いありません。
「こんなところにあったんだ!」
あずきちゃんはそっと鈴を持ち上げました。
すると――
りん。
やさしい音が鳴りました。
その瞬間、にじいろしずくはふわりと空へ浮かびます。
そして、たくさんの小さな光に分かれて消えていきました。
まるで役目を終えたみたいです。
「ありがとうって言ってるのかな。」
だいふくくんが微笑みました。
「あのしずくがベルを見つけてほしかったんだね。」
あずきちゃんもにっこり。
そのとき。
りん。
りん。
星のベルがもう一度鳴りました。
すると光るボタンが輝き、ベルの光と重なります。
そして床の上に、新しい光の道が現れました。
今度の道は、廊下の先にある大きな鏡へ続いています。
「あっ!」
「次の冒険だ!」
ふたりの目がきらきら輝きます。
大きな鏡の向こうには、どんな不思議な世界が待っているのでしょう。
あずきちゃんとだいふくくんは、星のベルを大切に抱えて歩き出しました。




