コミステース・ヒッポス
拷問のお時間です。
ヴァンデッタ帝国において皇帝に逆らうことは死を意味する。
帝国内で主立って皇帝に対して反抗や徒党は組めないが、皇帝に対しての反抗心は帝国内に多く存在している。
ヴァンデッタ帝国建国当初は大陸中に小国が200以上存在していた。
しかし皇帝は3000年の月日をかけてその全てを蹂躙し、一つの帝国として成立させた。
それも完全なる武力で、だ。
神話では生まれた時から神であった皇帝が地上に生まれた人間を憐れに思い、姿形を人間の姿に変えた上で自ら戦い抜き愚かな指導者を誅し、人々が困らないように国を作ったというのがザックリとした神話だ。
だが、帝国貴族のみが知っている史実は違う。
皇帝は建国当初から1000年にかけてひたすらに自身が先頭に立ち戦闘を行ってきた。
理由は単純。強くて楽しいからだ。
実際ヴァンデッタ帝国は力を手に入れた皇帝の娯楽で生み出された。
別に皇帝は神ではなく、ただの人間だった。この世界の平均寿命通り100歳前後で死ぬような普通な人間だった。しかしながら齢5歳にしてダンジョンの攻略を成し遂げてしまった。
ダンジョンとは本来生と死の狭間をさまようような死闘を繰り広げ、苦労したうえで報酬を得るようなものだ。そしてダンジョンは攻略されても残り続ける。
しかし、皇帝が生まれた時代。つまりは人類の起源の際、攻略が可能な「人類」という存在が生まれた時にダンジョンは発生し始めた。それもまだ村も街も国もない時代だ。
当然人々はその存在を認知も理解もしていなかった。
しかし、皇帝は狩猟の最中に偶々穴倉に入った。その穴倉は形成最中のダンジョンで、何も知らずに入った少年は、手持ちのハンドアックスで追っていたウサギを駆った時に、形成途中のダンジョンだったために緊急防衛機構として出された魔物のスライムをウサギを負い開けてる最中に踏んづけて倒してしまった。
そのため、彼はウサギを倒してそのまま報酬部屋へと案内され、訳も分からずダンジョンの報酬を手にした。
報酬の名は「戦神武装」こと戦闘において最強と成る鎧だった。
その鎧は呪いのアイテムと言っていいほどのアイテムで、所有した瞬間自動的に装備して外れることはない。
そして肉体はそのものの人生における最盛期で成長を止め、いつか戦いに負けるまで不老で、不死である。
そして本能のまま暴れまわる。
こどもながらの無邪気な本能によって皇帝となる少年は、万能感に溺れ動物を狩り始めた。
最初は狩の実力が高くなったことに喜んだ。ただそれで収まらず他の人間に対して力を誇示し始めた。
それの積み重ねで、できたのがヴァンデッタ帝国だ。
それすなわち帝国の歴史には大陸中の血が流れている。
もちろんそれは帝国に吸収されていった他の国々の民も含まれている。
帝国貴族には民族などは特に関係はない。
強ければいいのだ。戦闘でも良い。戦術でも良い。
故にもとは別の国出身だった帝国貴族も現在は存在している。
最初とは別勢力で打倒皇帝を掲げるレジスタンスを名乗る者達に組みする者たちだ。
そのうちの一人。「コミステース・ヒッポス」は帝国貴族の中でも有数の情報屋である。
もう数十年前にはなるが、彼の一族はある国の貴族だった。
それが大陸統一を果たそうとした帝国の手によって滅ぼされ合併された。
辛うじて生き延びた彼は侯爵に拾われ、自らの有用性と力を示して伯爵の地位まで上り詰めた。
そうして彼は帝国内に存在する元々帝国の人間ではないものを集めて勢力を拡大する。
そうしてできたのは帝国内において皇帝に対しての反逆を目論む集団だった。
その集団を巧みに扱いついに皇帝の身近まで情報が近づいてきた所で今回の沙汰となってしまった。
♦
「さて、コミステース伯爵。今回君が犯した罪状はご理解しているかな?」
帝国城地下にある拷問施設にて椅子に縛られ拘束されているコミステース・ヒッポス伯爵を正面に見据えながらノーマンは問いかける。
伯爵の見た目は前回のボレウス伯爵とは違い、華奢な体で整った美形の顔だった。ギリギリ中性と言えなくはないが、どちらかと言えば美人な女性の顔をしている。色艶の整ったエメラルドグリーンの髪色も美しいものだ。
「聞いていた話だと、君は男性と主張していたし、酷い火傷のあとのせいで何かしらの被り物をしているという風に伺っていたのだが。」
今回の拷問に際してこの部屋に通される際に被り物は外されている。
帝国内にある一部施設は拷問部屋に直通できるようになっており、ノーマンの許可さえ下りればこの場所に直接送り込むことができる。その際に被り物は不要ということで外された。
ノーマンとしては酷い火傷痕で気にしているのだからこそ被り物をしていると思っていあたので、トラウマを刺激していく形で精神をズタボロにしていこうとしていたのだが、計算が狂ってしまった。
「私は正真正銘の男だ!それに何故だ!私は先ほどまで騎士たちに囲まれた取調室で取り調べを受けていただけだったぞ⁉何故私が帝国の地下にあるという拷問部屋に居るのだ!」
「おや、帝国貴族でも一部しか知らない拷問部屋の場所を知っているとは随分と踏み込んだところまで情報を掴んでしまったようだね。残念だ。」
「ふ。なんだ。当たりか、やっぱり地下にあったんだな拷問施設は、どこを探しても見つからないものだからあの宰相はどこに隠しているのか、もしくは噂だけで存在していないのか、あまりに苦労したぞ。」
ノーマンは自分のミスを理解した。
ひとえに帝国貴族と言っても大陸中に存在しているため、かなりの数が居る。彼?も元は他国の人間。いくら協力者がいるとは言えども元から知っている情報や帝国については詳しくはない情報もあったかもしれない。それにこの施設に関しては鉄の一族や宰相と私の部下程度しか場所を知らない。
場所を漏らしてしまったのは失態と取っていいだろう。あくまで無事に返してしまったときに限るがね。
「この場所がバレたらいくら宰相やお前でさえも侯爵閣下の手によって殺されるだろう!私に手を出しても出さなくてもな!」
そう言って伯爵は高笑いする。
「どうする?私を。殺すか?それとも拷問か?煮るなり焼くなり好きにしろ!私は何をされても何も喋らないし、侯爵閣下を裏切るようなことはしない!じきに私の部下が私の居場所を見つけるだろう!」
伯爵は自身が作り出したキメの一手によって勝ちを確信していた。
どうあがいてもノーマン子爵の手によってこの勝利や状況を覆すようなことは出来ないと。
「そうか。であれば今回の拷問は手を抜かずにいこうか。改めて聞くが君は男性か女性かどっちなんだ?」
「だから男だと言っているだろう!無駄な質問を!」
「あっそ。じゃあいいよね。男同士なんだからさ。」
ノーマンがそう言ってすぐに機械のアームが椅子に拘束されている伯爵の服を破り裂いた。
「な、やめろ!離せ!」
椅子に拘束されている伯爵はジタバタ藻掻くものの、特に動けるわけもなく、着ていた服の全てをビリビリに破かれた。
するとそこにはある種都合のいいことに上も下もさらしを巻いて露出を防いでる状態の裸が見れた。
「では改めて聞こう、伯爵。君は男性か?女性か?」
「っ!ああ、分かったよ女性だ。女性。これでいいだろ。」
ノーマンは多少の観察眼に優れていたため、声色やちょっとした男性との体系の離れ方、筋肉や姿勢などでなんとなく女性のではと察していた。
「そうか、女性か。何もかも計算が狂ってしまったな。男性ならともかく女性に拷問するのは苦手なんだ。」
「なんだ。初心なのか、なら少し良いことでもしてやるから私を見逃してくれよ!なあ!」
コミステースはノーマンが女性に対して初心なのではと思い込み、誘うような素振りを見せた。もちろん拘束が解けた瞬間に逃げだすつもりだ。
それに事前にぶつかる可能性のある貴族を調べていた最中にノーマンが目に入った。
『裏の裁判官』などと嘘か本当か分からない称号の上で、噂程度の職業の『拷問官』というモノもあった。宰相邸に頻繁に行き来しているので、少なくとも何かしら起きた際には敵対する者だと思って調べていたが、平民出身で宰相に才能を見込まれ帝国貴族になったということ。かなりの数の亜人奴隷を所有しているが、使用人の誰にも手を出していなかったということ、そして一番奇妙な報告は、自身の屋敷の中でのみ丸い鋼色の球体を持ち歩いていることのみだ。
そんな報告内容しか上がらないため、怪しいから警戒しておくが、いくらでも対処は可能という判定をしていた。せいぜいちょっと頭のネジが外れている人間だと。
「ないを勘違いしている?私は苦手と言っただけだぞ?男性と違って下手をすると簡単に死んでしまうからな。」
伯爵は自身の思い違いに少し気づいた。対処可能な人間ではない可能性と思った以上にタガが外れている可能性に。
「くっ!殺せ!」
「嫌だね。さあ、では拷問を始めようか。と言っても先日、自白剤を切らしてしまってね。少々腹が立つ相手だったから用量を間違えて多くしてしまってね。彼は自身の体の中はどうなっていたか気づいてなかったけど、ほとんどの内臓が一度破裂していたんだよ。死なれても困るからあの時点では回復魔法で生き残らせたけど。おかげさまで体中の穴という穴から色々な体液があふれ出ていてね。あれはわりと見物だった。もう見たくはないけど。」
そういってノーマンは手元にあったボタンを押した。
するとコミステース伯爵の横がスポットライトで照らされ、先ほどまでノーマンと伯爵しか映らなかった空間に寝台に寝かされている焼死体が照らされた。
「ヒッ!これはまさかボレウス伯爵⁉」
そこには先日行方不明となっていたヒュース・ボレウス伯爵の遺体があった。
辛うじて人の肉体であったということのみがわかる程度の黒焦げの遺体。元々がかなりのメタボであったが故に一見豚の丸焼きにも見える彼は特徴的なおなかが故に知っている人間なら一目で分かるような大きさだった。全ての皮膚は焼けただれ、ところどころ体がかけてしまっている。そしてなぜか又の股関節部分だけ完全に削り取られている。
「おえええ。」
それを見た伯爵は吐いてしまった。元々は帝国周辺にあった王国で育てられた箱入り娘だった伯爵は国が滅ぼされて以降、成り上がるために性別を隠して過ごしてきた。戦場に出たこともあった、死体も見たことはある。しかし、こんなにも人の悪意しか感じられない要以上に嬲られたであろう惨い遺体を見たことはなかった。
それと同時に私は今、それと同じようなルートに居ることを理解した。
死にたくない。死にたくない。
まだ私は何もしていない。出来ていない。誰かに恋をしたこともないし、誰かと愛を囁きあったこともない、それに処女だ。
それに、そうだ。まだ私はまだ誰も幸せにしていないし、誰にも…褒められていない。
そうして感情が爆発してしまった伯爵は吐きながら泣きだしてしまった。それに少しアンモニア臭もする。
「ふむ、思った以上の反応だな。はっきり言っておこう。君の罪は帝国上層部を舐めていたことだ。侯爵など目でもない。あの皇帝が即位してから3000年もたっているのだ。それまでに反抗した人間が居ないわけではないのは当たり前だろう。全く。少しだけ哀れだな。尿臭いのもかなわん。少し拘束を緩めてやろう。」
ノーマンがそう言うと天井から機械のアームが降りてきて伯爵を縛り付けていたロープを緩めた。
その瞬間、ロープをほどいた伯爵が勢いよく逃げ出した。
最初の威勢の良かった彼女であればきっとノーマンに襲いかかったのであろう。
しかし今の彼女は眼前迫っていた死の恐怖。いや惨たらしい死の恐怖に耐えきれず、この場から逃げ出すことを本能で優先していた。
もともと、自分自身で情報収集をしており、華奢な体なためかなりのスピードで走ることが出来た。帝国で最速と呼ばれる貴族と負けるとも劣らずと言われるくらいには、特に今はさらしだけで服を着ていなければ持っていくべき荷物もなく、身軽だった。
「とにかく、出口を。出口を見つけないと。出口さえ見つかれば、全部終わる。そうだ。出口さえあれば。」
ある程度この空間で過ごした時間も長かったため、目が慣れてきて多少なら空間の把握が出来るようになってきた。
後ろから足音もしなかったため、私のスピードについていけず諦めたものだと思った。
「はっ!こちらを憐れんで縄を緩めたのが間違いだったな!しかし、あのなぞの物体は一体何なのだ。上から触手のようなものが伸びてきたが、器用に縄をほどいていたな。とりあえずはその考察も地上に出て侯爵に報告してから考えよう。」
伯爵は一度余計な思考をしたが、すぐに辞めとりあえずは脱出することを一番に考えることにした。
「しかし、やけに広いなこの空間は。壁や床に天井は感じられるし、音が反響している以上作りは石造りなのだろうが…なんだ?」
元々居た拷問が行われるであろうスペースからはある程度離れ少し落ち着きだしていた伯爵。
自身の走っている前の道から足音と何かを引きずる音が聞こえてきた。
一度そこで伯爵は止まり、隠れるようなスペースもなかったため、正面でいつでも魔法を放てるように構えていたところ、急に暗かった空間の全体が明るくなり、急な明るさにまぶしく感じ目を抑え、慣れてきたので視界を確保した。
先ほどまで、石で出来ただけの殺風景な空間のように感じていた空間が明かりがついたことで露わになる。
そこで初めて気づいたが、この空間は全体が白で構成されていた空間だった。
全てが白い空間という所に方向感覚や自身の足場などの不安定さが出てきて、精神的にも感覚的にも混乱してきそうだという風に考えていたが、この白い空間になる前に聞いていた足音を思い出し、いや意図的に忘れていたものの現実を観なければいけなく、そっちの方を見た。
すると、自身の居る空間から少し先。
自身より2倍の高さをした血だらけの巨漢が経っていた。
ただ、それだけで見た目の情報は完結しておらず、服はズボンのみ着ているため、見えるのだが、体中の至る所に手術痕があり、腕は4本生えて、顔は2つが並んでいる。足の長さも正直Hとの足の2倍分だ。
明らかに人でキメラを作った結果であろう化け物が2本の右腕で巨大な出刃包丁を持っている。
目が合ったことに気が付いたのだろう。血走った目でこちらを4つの目が見て、その上で口角が歪に上がった。
伯爵は走った。
それはもう全力で。魔物との戦闘経験はある。気持ち悪いと思うような生物もいた。しかし、人造な上で人間を材料に使った魔物は聞いたことはないし、見たことはない。
生理的に無理なんて言葉で表現できない本能的な気持ち悪さ。
伯爵は吐きながら、来た道を少し戻って、先ほどまで見えなかった別通路であろう空間を走り抜けていった。
そのまま何時間も何時間も恐怖と精神的な同様でまともな思考のないほぼ無意識下の状態で走り続けた。
幾度も吐いたりしながら、出口を探して走り続けた。
何時間も走り続けてようやく気付いた。
何処を探しても出口などないのだと。
そして何より恐ろしいのは体感とは言え何時間も走り続けられた自分だ。速さやスタミナは魔法や技術である程度補助が出来る。にしても限度があるのだ。異常なスピードとスタミナ。何時間も維持するにはずっと魔法を唱える必要があるが、まずまず魔力が絶対的に足りない。個人でそれをやっても普通は30凄くて1時間だろう。
それに何よりだ。私は一度も魔法を使ってはいない。今の今まで忘れていたのだ。
なればこそ何故。
思考の中を混乱と恐怖が駆け巡り、自身が何をして何のために居るのか、今はいつなのか。何もかもが理解できなくなってその場にへたり込んだ。
「おや、鬼ごっこはもう終わりかい?流石に時間かけすぎるのも手間だから助かるがね。」
そう言って突然ノーマンが現れた。
ノーマンは何も居ない空間に指示を出した。
すると先ほどと同様の機械のアームが伯爵を拘束し、そのまま別の場所から移されたのであろう椅子にまた縛り付けられた。今度は縄ではなく、機械のアームで。しかしながら今度は緩いなんてものではなく、形式上拘束という形でただ単に伯爵の周りをアームが囲んでいるのみだった。
「い、一体この空間は何なんだ⁉時々新しい通路とかが出てきたが、結局どこに進んでも真っ白い壁と床と天井が広がっているのみで何の変化もない。抜け出せるようなスペースもだ。それにあの、化け物。わ、私もあのようになってしまうのか…。それになんで私はずっと走って入れたんだ!魔法の存在すら忘れて、自衛の手段を忘れたことなんて今までなかったのに。それに先ほども使っていたが、私を取り囲むこの触手は何なのだ!」
伯爵は心底絶望していた。もう侯爵だとか復讐だとか反逆だとか、どうでもいい。
生きて地上に出れるか、いっそ殺してくれるのか、その二択しかない。そう考えていた。
「まあ、可哀相だし全部答えてあげようか。ヒュース・ボレウス氏の親衛隊のことは知ってるな。彼らはそのなれの果てさ。彼らには私怨があってね。まあ仕事である拷問官のことも兼ねて彼ら自身にも私にも都合がいいから改造させていただいたのさ。私の命令には忠実だし、度々ある死体処理にもちょうどいいのさ。」
ノーマンは聞きながら恐怖の色に染まっていく伯爵の顔を見ながら淡々と答える。
「そして君が気になっていた空間や触手についてだな。これらは私の能力のようなものだ。先ほど君に帝国の地下に拷問室はあると言ったが、厳密には違う。地下に拷問室に繋がる道。あるいはポータルのようなものがあるというのが答えだ。私は昔、皇帝陛下と同じようにダンジョンを攻略したことがあるんだ。別に死闘を繰り広げたわけでも全力を尽くしたわけではないのだけれどね。この空間もそこの触手もその副産物。『終末兵器』というらしい。私の支配領域であるこの空間と私が自由自在に操れる、君が触手と呼んだ『機械』という物体を自由に操れる能力だ。君は調べている際になぜただの、まあせいぜい成金でしかない人物が宰相に拾われたのか疑問に思っていたことだろう。私はこの力を後天的に手を入れて拾われたのだとも。」
伯爵はその力の規模に絶望した。自身がその能力の片鱗に触れたことでどれだけ底なしで恐ろしい能力なのだと力の差を感じてしまったからだ。
あるいは伝説の皇帝にも届きうるのではとさえ感じている。
「こんな力が、な、ならば何故皇帝を打倒するために動かない⁉侯爵閣下に恨みがあるのかもしれないが、命令を出したのも含めて元を辿れば全て皇帝が悪いのだぞ⁉」
ノーマンはその発言を聞いて心底呆れたような表情を見せた。伯爵はその姿に一度ビクッと体を震わせたものの、ノーマンが喋るまで待った。
「皇帝にはいずれ罰を下すさ。しかしな、私の妻に情け容赦なく手を出したのは別に皇帝ではない。起承転結という流れとしては最後に皇帝を持ってくるさ。まあ罰すべき対象は既にある程度決まりきっている。終わりよければすべて良しってやつさ。」
それを聞いた伯爵は少し安心した。もちろん侯爵には感謝していたし、祖国のことや家族のことも思い浮かべはしたが、なによりも皇帝が憎い伯爵は皇帝がいずれ破滅に向かうのであればもうどうでも良くなった。絶望して、自身の生を放棄するほどには。
「そうか、皇帝はいずれうち滅ぼされるのだな。お前の能力を目にして私はその力が皇帝にも届きうるのではないかという希望を目にした。最悪の鑑賞方法だがな。だから私は満足だ。侯爵閣下には申し訳ないし、感謝はしているのだがな。道半ばにはなるが拷問官の仕事として私を殺すといいさ。」
そう言って伯爵は目をとじた。
それを見たノーマンは一度憐れむような視線をした後にこう言った。
「そうか。では本日最後の業務に取り掛かるとしよう。」
♦
仕事を終えて自身の屋敷に戻ったノーマンは寝室に戻り、ベットの枕元にある自身の能力で初めて生成した物体である機械の球体に対して語り掛ける。
「なあ、フィオ。私はこれでよかったのだろうか、拷問官は別に殺しまでは必要ではない。自分たちの自己判断によって処罰できるのだが、なかなか自分自身の判断が間違っていないのか不安になる。別に善悪を説くつもりはないさ。そんなのいくら考えても人によっていつも変わりゆくものを定義づけなんてしないさ。とか何とか言っていても何も始まらないか。私は終わりよければすべて良し、満足できる終わりになるようにあがくだけだな。」
そう言って優しく球体に向かって笑いかけた。
先日、小中学校時代の友人と遊んだのですが、大学での飲みのあとで酔っ払っている私を山岡家まで連れていき、ネギチャーシューラーメン大盛濃いめ固め多めと、マヨなんたら丼もつけて食わされました。朝の2時頃だったこともあって本当に死にかけました。
無事に2週連続木曜オールです。若いから出来ること。もはやあれが拷問だったのかもしれない。
それではまた次の拷問で。




