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賛成

 次の日、俺たちは約束の時間に集まった。人数が多いので、馬車を二台借りて、二チームに分かれて乗ることにする。


 一台目は俺とネル、ジル、リリーの四人だ。二台目は、レオとシオ、アランとユア、シアの五人が乗ることになっている。



 早朝の空気はほんのりと冷たく、登りかけの太陽を見て少し高揚した。みんなで挨拶を交わした後、各々が馬車に乗り込んで、村へと出発する。



「しかし、アランが告白かぁ……うまくいくかなぁ?」



 馬車に揺られながらジルがつぶやく。それを聞いたネルは、小さな声で言う。



「ここだけの話……ユアさんからね、アランくんのことが気になってるっていう相談を受けたことがあるんだ。つまり、二人は両思いだけどタイミングがないっていう状態なんだよ」


「両思いだけどタイミングがない、か……」



 ジルが俺のほうを見て言った。



「そのままだとちょっと切ないよな、クロード?」


「え? まぁ、確かに切ない話だな。だからこそ、今日の作戦は成功させなければならない」


「……」



 ジルは何か言いたそうにしていた。なんだろう。


 ふと、リリーが俺に言った。



「ねぇクロードくん。作戦……本当にあれでよかったのかな?」


「わからない……ただ、アラン本人が提案したんだし、俺たちは全力で成功させるしかないな」


「そうだよね。通称……なんだっけ?」


「〝肝試しで二人の仲を縮める作戦〟」


「それだ」



 肝試しで二人の仲を縮める作戦とは、つまり肝試しで二人の仲を縮めるという作戦のことである。みんなで行く旅行において、アランがユアに告白するためには、まず二人きりになる状況を作らなければならない。


 そのため、二人一組で肝試しをすることによって、ドキドキ感を演出しつつ、自然に二人きりにさせることができるのだ。



 しかし、二人一組だと一人余るよな……などと考えていると、同じ事を思ったのかジルが言った。



「シアはどうするんだ?」



 シアが余る前提なのか……確かに、いつもの流れだとそうなるのか。俺とネルはペア……であってほしいし、ジルとリリーは確実にペアだ。後はレオとシオとシアがいるわけだが。


 まぁそこは三人で行動してもらえばいいか。シアは実質レオ・ファミリーだし。



 すると、ネルが言った。



「そういえば、シアさんはその時間、やりたいことがあるから肝試しはパスだって」


「そうか。何をするんだろうな」


「確かに、気になるね……」



 馬車は村を目指して、ひたすら進み続けた。頭上から聞こえる魔獣の鳴き声、ガタガタと揺れる台の音、すき間から吹く風……何もかもが高揚感に満ち溢れていた。




 俺はふと、ネルのほうを見た。彼女もまた、俺のほうを見ていた。



「ネルは怖いのほ得意か?」


「うーん、そうだね……まぁ、苦手ではないかも」


「そうか。なら、肝試しと言いつつ二人で森を歩くだけになりそうだな」


「それも楽しいよ。クロードといれば、何をしていても楽しいんだから」


「そうか。俺もだ」



 ふと、ジルとリリーからの視線を感じた。見ると、半笑いのジルが言う。



「からの?」


「は? からのってなんだよ」


「ほら、ネルさんはお前といると楽しい。お前はネルさんといると楽しい……からの?」


「だからなんだよそれ」


「はぁ……まぁいいや。とにかく、今日は遊び倒すぞ!」


「それには賛成だ」



 俺たちはそんな会話をしながら村へと向かった。

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