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旅行気分

 魔法学園の大規模改築のため、急遽五日間の休みに入った。時期に次の試験が訪れることを見越して、俺たち勉強会組は全員で旅行に行くことにした。


 提案者であるジルが、代表して全メンバーに声をかけていき、休暇の初日に行き先を決めるためいつもの自習室へ集まった。



 そして、いつもはネルがいる位置にジルが立ち、全員に向かって声を上げた。



「お前ら、今日集まってもらった理由……分かるか?」



 すると、レオが答えた。



「旅行の計画ってお前が言ってただろ」


「あぁ、そうだ。旅行の計画だ。我々勉強会組は、来たる試験に備えて日々勉強をしてきた。しかし! この五日間の休みの間くらいは遊びたい!」



 その言葉に、各々が頷いて同意した。



「というわけで早速、旅行先を決めようと思う。現在、候補に挙がっているのが俺とリリーの故郷付近か、アランの故郷あたりかな」



 俺は、そこで補足する。



「しかし、アランの故郷には最近行ったばかりだ。あの時はリリーとレオ、アランもいたっけな」



 そして、シアが少し冷たい視線を俺に向ける。



「私もいたけどねぇ」


「そうだな」


「一緒に村を救ったんだから忘れないでよ」


「忘れてはいない」



 そう、あの時は村を救うことに夢中で旅行気分ではなかった。


 すると、リリーが言う。



「私とジルの故郷はね……結構田舎だからやることあんまりないかも。別の場所のほうがこのメンバーなら楽しめるんじゃない?」



 これで、二つだけあった候補が消えた。


 すると、ユアが言う。



「ネルさんの故郷はどんなところなの? 観光とかできない?」


「私の故郷かぁ……近いけど、見るところはあまりないかな。湖はあるけど」


「湖かぁ。釣りとかしたいな」



 それを聞いて、シオが言った。



「なら、前にクエストで行ったあの村は? 湖が近くにあって、クエスト中なのにも関わらずみんなで釣りしたでしょ」



 俺は、その時の帰りに「また来よう」と話していたことを思い出した。



「あの湖なら、魔力溜まりが誰かさんのせいで消えたのもあるし、釣りとかなら楽しめるんじゃないか? なんなら村長に頼めばあの小屋も借りれそうだぞ」



 アランがムッとした表情を浮かべる。



「誰かさんが湖から出てきた大型の魔獣に一人で立ち向かわないか心配だよ」


「それについては反省している」


「ただ、あの湖ならちょうどいい距離なんじゃないか? 釣りだけじゃなくて、色々なこともできそうだし」



 すると、ジルが大きめの声で言った。



「決定だな! 行き先は、その村と湖にしよう。次はそうだな……日程でも決めよう」



 俺たちは明日の昼過ぎから馬車に乗って村に向かい、例の小屋をレンタルして荷物を置く。それから、釣りをして夕食をとることになった。二日目は、村で買い物などをして、その日の夕方から馬車で魔法学園に帰る予定だ。



 予定がある程度決まったところで、リリーが立ち上がった。



「あ、そうだ! ユアさん、ちょっといい?」


「え、どうしたの?」


「ちょっとね、演劇部について訊きたいことがあってさ」


「今? いいけど、何かな?」


「ここだとちょっとアレだから、広場とか行かない? ほら、行こ」



 そう言ってリリーは、半ば強引にユアを連れ出していった。何が起こったのか理解できないといった顔の勉強会組だったが、アランが説明した。



「すまない、その……あらかじめリリーに頼んでおいて、ユアを連れ出してもらったんだ」



 それを聞いてネルがハッとした。



「それって、明日……とうとう?」


「まぁそのための計画を、みんなで考えて欲しいってところかな」


「なるほどね、応援してるよ!」



 すると、ジルが首を傾げた。



「明日何かするのか?」


「そうだ。明日俺は、その……ユアに告白しようと思う」


「え! マジ?」


「マジだよ、だからみんなに協力してほしいんだ。絶対に成功させたいから」


「おう! 任せろ、俺たち勉強会組が成功に導くぜ」



 そして、俺たちは明日の夜、アランとユアを二人きりにする方法を考えた。



 自分のことじゃないのに、何故かとてもワクワクした。アランがついに告白か。

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