表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
87/112

間接的



間接的


 今日は久々に全員集合して、勉強会が開催された。前半はいつも通り、授業の予習や個人に合わせた復習をして過ごした。学年が上がった今、次の試験のことも考え始めないといけない。


 しかし、後半は、またリリーが考えた謎のゲームが行われた。そのゲームに負けた者は、誰か一人を選んで〝日頃の感謝を伝える〟というものだ。なんとも変わったゲームだったが、意外にもヒリついた。



 結局、負けたのはネルとシオだった。シオはその場でさらっとレオに感謝を伝えており、ネルは……帰り道に俺に言ってくれるとのことだった。



 そして、外が暗くなり勉強会が解散した後……俺はネルと二人きりになった。いつも通り寮を目指す中、彼女はずっとソワソワしていた。



「ねぇ、クロード。勉強会組でクエストを受ける件だけど、メンバー決まったね」


「あぁ。俺とネル、それからジルとレオだったか」


「レオくんも参加してくれたから、かなり高い難易度でも大丈夫そうだね」


「そうだな。いっそダンジョンにでも潜るか」


「いいかも。私ダンジョンとか行ったことないなぁ」



 するとネルが立ち止まって、俺の目を見た。



「どうした?」


「いや、その……今日のゲームで負けたから、約束通りクロードに感謝を伝えなきゃなと思って」


「無理に言わなくてもいいぞ、別に」


「無理にとかではないよ! むしろ、この機会に言いたいこと言えるなって……」



 そもそも、ネルが俺に感謝することなんてあるのだろうか。逆ならまだ分かるが……。



「あの、クロード。いつも私と一緒に帰ってくれてありがとう……私、ずっと一人だったし。ほら、変な噂のこともあって誰かと帰るなんてできなかった」


「それは……どういたしまして?」


「うん。とにかく、私なんかと一緒にいてくれてありがとう」



 「私なんか」か……そんなこと思わなくていいのにな。むしろこっちが感謝を伝えたいくらいだ。



「それに、クロードはいつも私に優しくしてくれるしさ。だから、その────」



 その瞬間、俺たちを呼ぶ声が聞こえた。



「おーい! クロード、ネル!」



 振り返ると、サヤの姿があった。どうやら俺たちを探していたみたいだ。



「どうした? サヤ」


「ごめん、もしかして邪魔しちゃった?」


「まぁ、ネルの話を遮ってはいたな」


「それは悪かった。ただ、噂で聞いたんだけど、今度勉強会組でクエストを受けるらしいね?」


「あぁ、その予定だ」



 サヤは強く頷いて言った。



「なら、私も参加させてくれないかな? それに、受けたいクエストもあるんだけど」


「ほう? 参加したいし、クエストも選ばせてくれということか」


「そうなるね」


「でも何故?」



 そこまでして受けたいクエストって一体なんだ?



「実は、とあるダンジョンに隠されたアイテムを使えば、クロードの呪いについてなにか分かるかもしれないんだ」


「本当か? ……いや、しかし。無茶なことをすればまた前回のようになるんじゃ」


「それなら安心してくれ。今回のアイテムはクロードの呪いを無理やり消そうとするあの魔道具と違って、もっと間接的なんだ」


「間接的?」


「そう」



 よくわからないが、確かに気になるな……そう考えていたところ、横にいたネルが心配そうに言った。



「そのアイテムって使っても身体に害はないの? またクロードが倒れたりしない?」



 すると、サヤが答えた。



「そのアイテムは〝モノ〟を依り代にして記憶を引き出すものだ。かつて、クロードと同じく記憶をなくした魔法使いが、自分が何者かを知るために開発した魔道具の一種らしい」


「それ、本当なの?」


「さぁ。嘘かもしれない。ただ、試してみる価値はあるはずだ。そのダンジョンを攻略すれば、普通に報酬も貰えるし」


「うーん……」



 しばらく考えていたが、デメリットが浮かばなかった。



「なら、俺から勉強会のみんなに頼んでみる」


「あぁ、それは助かる。また日程が決まったら教えてくれ」


「わかった」



 ネルはやはり心配そうにしていた。前回のことがあったから仕方ないだろう。しかし、やはりどうしても自分の過去が知りたいみたいだ。断れなかった。



「そういえばサヤ、今回の件でお前にメリットはないはずだが?」


「いや、あるんだよね、実は。その魔法使いが残した魔道具は他にもあって、そっちを私がもらう代わりにクロードたちにダンジョン攻略を手伝ってもらう寸法だ」


「なるほどな。で、その魔道具ってのは?」


「それはあえて、見てからのお楽しみということで」


「なんだそれ」



 サヤは「邪魔して悪かったね」と言って手を振ると、翻った。彼女がどこかへ行ったことを確認すると、俺はネルの方を見て言った。



「で、さっき何を言おうとしていたんだ?」


「え! それは、その……えっと。なんでもない」


「でも、確かに何か言おうとしてただろ? サヤに遮られてたけどさ」


「何も言おうとしてないよ! 多分クロードの勘違いだから……」


「そうだったのか」



 少し気がかりだったが、本人がそう言うなら仕方ないか。



 ダンジョン攻略か。今まで受けてきたクエストとは一味違うものになりそうだな。楽しみだ。


 それに、今回は魔道具を入手するという目的もある。気合を入れて挑もう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ