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料理じゃなくて状況が

 その後、昼の部までまだ時間があったので、何か楽しいことはないかと学園中をうろうろしていた。すると、出店に並んでいる最中のアランとユアに遭遇した。俺も慌ててその後ろに並び、二人に声をかけた。



「二人とも、楽しんでいるか?」



 アランは振り返ると、すぐさま質問してきた。



「お前、うちのクラスにちゃんと顔を出したか? ネルに会えたのか?」


「あぁ、それなら行って食事もしてきたぞ。メイド喫茶とは……随分と変わった出し物だったな」


「確かにな。でも、あぁ見えてこの学園祭の定番の出し物らしい。メイド服も本格的だったろ?」


「まぁな。で、お前は着ないのか? あの服」


「は?」



 すると、隣にいたユアが笑った。



「確かに! アランくんが着たらおもしろいかもよ?」



 アランはそれを聞いて、嫌そうな顔をしながら首を横に振る。



「あのなぁ……クロードって本当にこう、普通じゃないところがあるんだよ。常識がないというか」



 俺は普通だぞ? 何故ならネルに教えてもらいながら普通の人間であろうと努力しているからな。


 すると、ユアが思い出したように言った。



「そうだ! クロードくんのクラスの劇だけど、アランくんと一緒に夜の部を見に行こうと思うんだけど」


「来なくていいぞ……別に」


「いやいや、せっかく演技のことを教えてあげたんだから、見に行くのは当然でしょ。弟子の活躍を見に行く、的な?」



 いつから弟子になったんだよ……まぁ、見に来られるのは緊張して嫌だが、誰も見に来ないのはもっと嫌だな。俺は渋々承諾することにした。



 すると、背後から賑やかな声が聞こえてきた。見ると、レオとシオ、それからシアと他複数名の集団が俺の後ろに並び始めた。どうやらレオ・ファミリーが参上したらしい。


 それを見たアランがレオに聞く。



「なんでみんなぞろぞろ並び始めるんだよ」


「アランとクロードが並んでいるのが見えたからな。楽しそうだなって」


「まぁいいけどさ」


「で、アランの隣にいるのは勉強会の新メンバーか?」


「ユアのことか?」



 ユアは慌ててそれを否定した。



「勉強会組ってあの有名な……? 私はただ、ダメ元でアランくんを誘ってみたら、なんだかんだで一緒に回ることができるようになった一般人だよ?」



 レオはそれを聞いて何を思ったのか、ユアを勉強会に勧誘し始めた。



「そのアランと一緒に勉強できるのが勉強会の強みだぞ。しかも、紹介制だから滅多に加入できない」


「そ、そうだよね……」


「どうだ?」



 すると、アランもそれに同意した。



「ユアが入ってくれるなら、俺も少しはやる気が出せそうだ。前回の試験で惨敗してから少々勉強への意欲が下がっていたからな」


「本当? なら入ろうかな」


「それにほら、前にクエストを受けて演劇に使う衣装を買いたいと言ってただろ? 勉強会組を誘ってクエストに行ってもいいな」


「勉強会ってそういうのもやるんだ」


「まぁな。だから、どうだ?」


「いいかもね……私でよければ勉強会に入れてほしい」



 こうして、勉強会に新たな仲間が加わった。しかし、以前俺がユアに告白されたことによって、ネルの態度が急変したことがあった。ネルと仲良くできるか心配だな……いや、この二人なら大丈夫か。


 すると、とうとうアランとユアが注文する番になり、出店で食べ物を買っていた。


 そしてアランが、去り際に俺とレオに言う。



「クエストを受ける時、お前らは強制参加な」



 俺は「ネルがいるなら」と答え、レオは「俺がいないと不安か?」と煽っていた。この二人は絶妙にライバルのような雰囲気でやってるな。仲が良さそうでなによりだ。



 俺の番が回ってきたので、とりあえず色々と注文した。こんなに沢山の美味しいものが食べられるなんて……学園祭はいいな。



 沢山食べて昼の部に備えようと考えていたが、食べても食べても腹が空いた感覚が消えなかった……これは、すこしマズいかもな。料理じゃなくて状況が。

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