努力家
努力家
勉強会は、しばらくの間休止することになった。試験直後の疲れきった身体を休めるためもあるが、肝心の俺やレオ、シオ、そして新たに加わったアランがクエストで忙しくなる見込みだからである。ジルは魔法も剣も苦手なため不参加、リリーも同じ理由で不参加となった。肝心のネルだが、どうやら迷っている様子だった。
よって、放課後ネルと二人で帰ることになったので、もう一度クエストを受けるかどうか聞いてみることにした。
「なぁネル、やっぱり一緒にクエストを受けないか?」
「確か、報酬は山分け……だよね。魅力的だけどちょっと不安だな。ダンジョン攻略とかしなきゃだから、やっぱり危険だもんね」
「俺が守るよ」
「なっ……! クロードに守ってもらえるなら……いいかも」
「ネルがいないと寂しいぞ」
「なっ!」
ネルはソワソワしながら、俺と目を合わせてくれなくなった。何故だろう。そんなにクエストが嫌なのか……。
「クロードがそう言うなら、参加しようかな?」
「本当か? 助かる」
「私のいないところで怪我とかしたらって思うと、なんだか怖いし」
「そうなったら自分で治す」
「それはそうなんだけど……」
とにかく、ネルが参加してくれる気になったことで、俺のクエストに対するモチベーションは一気に上がった。前回の金貨十五枚のこともあり金には困っていなかったので、丁度やる気があまりなかったんだ。でも、彼女がいるなら別だ。
ちなみに、稼いだ金はどうしようか。何に使うのが正解なのだろう? やはり貯金が一番なのか。
「ネルは稼いだ金を何に使う?」
「うーん、貯金かなぁ」
「そうか……」
俺が学イチを獲って、ネルの学費を免除してもらうなどと息巻いていたが、蓋を開けてみれば俺はネルより順位が低かったな。
そういえば、ネルはなぜそんなに勉強が得意なのだろう。俺が魔獣だから実技が得意なように、何か特別な理由があるのだろうか。
「ネルは勉強が得意だが、いつそんなに勉強しているんだ?」
「えっ? 私? うーんとね、今学校で習ってる勉強の内容は、ほとんど幼い頃に本で学んだものの復習なんだ」
「そうなのか? 努力家だな」
「色々あってね、友達もいないし家族も一緒に遊んだりしてくれなかったからね……本が友達だっただけだよ」
俺は首を横に振った。
「いや、ネルは努力家だ」
「そうかな?」
彼女はあまり信じきれていない様子だった。学園で二位を獲った上で、まだこんな調子とは……人間とはなんて謙虚な生き物なんだ。いや、ネルがそうなだけか。この世には最強を自称するくらい自信過剰な奴がいるくらいだし……レオ、お前に言ってるんだぞ。
とにかく、ネルがクエストを受けてくれると聞いて、俺は安心していた。自分でも驚くくらいに。俺はそんなにネルと一緒にクエストを受けたかったのか。
もしかして……初めてのクエストで緊張していたのか? わからないものだな。




