試験の前日
試験の前日になった。レオと決闘したり、ネルを探し回ったり……色々あったが、とうとうこの日がやって来たんだな。これまで沢山開催された勉強会は、きっと無駄じゃないはずだ。
俺達は最後の勉強会のために図書館に集まっていた。そして、リリーの提案により全員の意気込みを発表することになった。
まずは俺が指名された。
「俺は、そうだな……やれることはやろう」
次にジル。
「学園に残れるように頑張るぜ」
そしてネル。
「学イチ獲れるといいなぁ」
リリー。
「ジルが心配だけど、私も去年を越えられるように頑張る!」
レオ。
「退学だけはごめんだ」
シオ。
「レオさんがんばれ」
レオが勉強会に参加するようになってから、シオもついてくることが多くなった。彼もまた、しれっと勉強会に参加し、レオと帰っていく……随分と仲が良いんだな。どうやって知り合ったのだろうか。シオに関しては、レオのことを尊敬しているみたいだし。
みんなの意気込みを聞いて、モチベーションが高まった。去年までの、目標ややる気のない試験とは違う。ネルやアランとの学イチの争奪戦、ジルとレオの退学回避……それぞれの思いが詰まった重要な試験だ。
解散の前に、俺はみんなに言った。
「試験、頑張っていこう。俺達勉強会組の努力を見せる時だ」
全員が強く頷いて、大きな返事をした。
試験当日になった。
内容はいつも通り、午前中に筆記試験、午後に実技試験が行われる。俺は面倒な筆記試験に少し怖気づいていたが、いざ受けてみるとネルに教わったことばかりだった。これが勉強会の力か……と、一人で関心する。
試験特有の静まり返った雰囲気が残る教室を出て、俺は食堂へ向かった。筆記試験を終え、昼食を取る。しっかり食べないと、午後の実技試験で力を発揮することはできない。
食堂には、既に俺以外のみんなが集まっていた。俺は日替わり定食を注文すると、勉強会組のいる席につく。そして、筆記試験の手応えについて聞いた。
ネルとリリーは自信がある様子だった。流石にこの二人は安心だな。次にジルとレオだが……彼らもなんとかなったようだ。シオはわからない。まぁ、大丈夫だろう。
そして、みんなで感想を語り合いながら日替わり定食を貪っていると、俺の目の前にアランが現れた。
「なんだ? 一緒に食いたいのか?」
「馬鹿な、勉強会組などという低レベルな集まりに混ざるほど暇じゃないんだ。こっちはお遊びじゃなくて本気で学イチを狙ってるんだぞ」
すると、レオが頭にきたのか強い口調で答えた。
「誰だお前? わざわざ悪口言うためにここに来たのか?」
「君はレオだっけか、有名な不良の。学イチの最下位版があったら君のものかもな」
「なんだと!? 今から決闘でもするか? このヒョロガリ野郎」
「大事な試験の日に喧嘩? 君の成績に関わるんじゃないか?」
「……クソが」
二人の争いを止めるべく、俺はアランに言った。
「で、用はなんだ? 俺達の飯を邪魔しにきたのか?」
「違うな。クロード、お前に決闘を申し込みに来たのさ。もちろん、そこのバカとは違って、試験の順位で決闘する」
「ほう?」
「俺と君、試験の順位が高いほうが〝なんでも言うことを聞く〟というのはどうだ?」
「学イチとは別に、お前に命令できるってわけか。いいだろう。楽しそうだ」
「もう獲った気でいるんだな。まぁ、せいぜい楽しみにしておくがいいさ」
アランはそう言ってその場を去っていった。正確には、食堂の奥へ行き、一人で日替わり定食を食べていた。可哀想なやつだ。あんなことを言っているから嫌われるんじゃないか。それとも一人が好きなのか?
アランが去ったのを確認してから、ジルはレオに言った。
「よく耐えたな、お前」
「まぁ、大事にはしたくなかったからな。しかし、頭にくる奴だったな」
「あぁ。俺までキレそうだったぜ」
ネルやリリーも少し心配そうにしていた。本当にアランの決闘を受けてよかったのかと何度も問われたが心配ない。俺がアイツに負ける未来が見えないからな……いやしかし、俺は挑発に乗りやすい性格だということがわかった。レオのときもそうだったな。
だが、勉強会のことを悪く言われた以上、黙って見過ごすことはできないな。
午後の実技試験は、魔力切れを起こすくらい頑張って取り組もう。




