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探す

 次の日の放課後、やはりネルは俺のところへは来なかった。流石に違和感を感じていた俺は、ジルやリリーとは別れ、ネルのクラスの教室に行った。いつもとは違う教室の雰囲気に少し新鮮さを感じていたが、今はそれどころではない。


 そして、そこにいた生徒に問いかける。



「今日ネルは欠席していたか?」


「え? いや、来てたはずだよ。丁度向こうの席で勉強してた気がする。昨日は丸一日休んでいたみたいだけどね」


「ほう。わかった、助かる」


「いえいえ」



 俺は教室を後にし、思い当たる場所をとにかく探し回ることにした。まずは図書館の例の自習室へ向かった……が、彼女がいるはずもなかった。次に、食堂を探してみたが、ネルの姿はなかった。


 一応のため日時計の広場なども探してみたが、やはり彼女はいない。



 俺は深呼吸して、走り回って乱れた呼吸を整えた。冷静に考えれば、もう寮に帰ってしまったのだろう。そうなると、俺にはどうしようもない。そうなると……明日また、授業終わりに走り回ろう。



 俺はその日、夕飯を食べずに寮に戻ってすぐさま眠りについた。




 そして翌日、ほとんど集中できない授業を終えてすぐ、ジルに伝言をした。



「ネルがもしここに来たら、俺が探し回ってて入れ違ったことを伝えておいてくれ」


「わかったよ。会えるといいな」


「あぁ。しかし、何故彼女は急に俺と会ってくれなくなったんだろうか」


「……そのへんはまぁ、そのうちわかる」


「?」


「今は彼女をとにかく探すことだな、行ってこい!」



 俺は教室を飛び出すと、寮までの帰り道になりうる道を行ったり来たりしながら走り回った。すべてはネルに会うため……もし、会って迷惑だと言われたらどうしようか。ネルに限ってそんなこと……いや、本当にそうなのか?


 しかし、彼女は俺のことを一週間探し回ってくれたことだってあるんだ。それに比べたら、俺はまだまだだな。



 俺はひたすら走ってみたものの、彼女に会えないまま日が暮れてしまった。




 また翌日、俺は彼女を見つけるべく学園内を探索したが、会えず…………そして、例の件から五日経った頃に、ようやくネルに会うことができた。下校中の彼女の後ろ姿を発見したのだ。


 夕焼けに照らされた彼女の小さな背中は、どこか寂しそうだった。いや、俺がそう思ってしまっただけなのかもしれない。


 そんなネルに話しかけようとして……俺は躊躇してしまった。もし、本当に嫌われていたらどうなるのか。彼女に限って、俺の正体をバラすようなことはしないだろう。しかし、問題はそこじゃない。


 俺はこれからもずっと、ネルと一緒に帰りたいし、夕飯も一緒に食べて、勉強会も開催したい。



 俺はネルの背中に向かって言った。



「ネル! やっと見つけた。魔法学園……広すぎて苦労したぞ」


「ク、クロード!? どうしたの……?」


「どうしたっていうか、俺はただ……」



 俺は息を整えてから言った。



「俺はずっとネルを待ってたし、探してた。なんで会ってくれないんだ?」


「えっと、それは……ごめん。ただその、気持ちの整理ができなくて」


「気持ちの整理? 何故そんなこと」


「それにほら! クロードの彼女にも悪いなーって……あはは」



 彼女は寂しそうに微笑んだ。



「彼女なんていないが?」


「……えっ! いないの!? 告白されたんじゃ」


「断ったよ」


「そうだったの!? なら、その……そう言ってくれればよかったのに」


「それが所謂、俺のミスってやつか……実はジルやリリーに相談していたんだ。そしたら何故か二人に怒られてしまって」


「あはは……二人には色々気づかれてるんだね」


「何を?」



 ネルは安心したのか呆れているのか、ふぅとため息をこぼした。そして、俺に向かい問いかける。



「ならまた、私と一緒に帰ってくれる? 今から……」


「もちろんだ。そのために探してたんだぞ」


「ありがとう……優しいね、クロードは。沢山走らせちゃってごめん」


「走るのには慣れているし、結構好きだぞ?」


「そっか。でも、今からはゆっくり歩こうね」



 彼女は嬉しそうに笑ってみせた。その瞬間、何故か胸が締め付けられる感覚がする。不思議だ……これは何かの病気なのだろうか。こんな症状は聞いたことがないぞ。


 しかし、そのことはネルに黙っておいた。が、こっそり自分に回復魔法をかけておいた。これで治るといいんだが……。

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