喋りすぎ
レオと決闘してから五日ほど経ち、また放課後に勉強会が開催されることになった。俺の座っていた机の周りにネル、ジル、そしてリリーがやってきて、今日勉強する範囲について話し合っていた。
すると、教室に入ってきたシオの存在に気がついて少し嫌な予感がした。こちらに駆け寄ってきて、彼は俺に言った。
「クロード、今日君たちは勉強会とやらをするんだよね?」
「そうだが……もしかして」
「そう、レオさんも誘ってあげて欲しいな、なんて。君たちの勉強会に参加したがってるみたいなんだ」
「嫌なんだが」
シオは俺の隣に勝手に座ると、不満そうに言う。
「でも、このままだとレオさんは退学になっちゃうんだ。勉強教えてあげれる人がいればなーってずっと思っててさ」
「なんなら、この前の決闘もこのことを視野に入れてただろ? だから金貨十五枚も惜しまなかった」
「鋭いね、君。やっぱりレオ・ファミリーに入ってほしいくらい」
「それは嫌だし、レオと勉強会もしない」
すると、ジルが言った。
「俺はいいけどな」
それに合わせるようにリリーも言った。
「ジルがいいなら私も大丈夫だよ。もともと、メンバーが増えたらいいなってぼんやりと思ってたし」
俺はそれを聞いて、ネルの方を見た。視線で「お前はどうなんだ?」と問いかける。彼女はしばらく迷ってから言った。
「うーん、まぁ。クロード次第かな。私としては、仲間が増えるのは嬉しいよ?」
「そうか……そうだな」
俺はシオの方を見て言った。
「仮入部だな。ひとまず今日、アイツに来てもらってそれから考えよう」
「良かった。君たちならそう言ってくれると思ったよ」
「シオ、お前はどうするんだ?」
「あ、僕は勉強できるほうだからいいや」
「なんだか鼻につくな」
「まぁ『実技のクロード』とか『座学のネル』にくらべたら全然だよ」
「ジルが言ってたやつ……浸透してるのか」
シオは立ち上がると、教室の出口を指さした。
「教室出てすぐのところでソワソワしたレオさんが待機してるから誘ってあげてね。じゃあ僕はこれで」
そう言ってシオは、別の出口から出ていってしまった。
俺達四人は教室を後にして、廊下の奥で壁にもたれているレオを見つけた。そして、近くまで行くと、皆黙ってこちらを見た。仕方ないので俺が代表して言う。
「おいレオ、行くぞ」
「……勉強会か?」
「そうだ。お前が参加したがってたってシオが言ってたぞ」
「……シオのやつ、喋りすぎだな」
「で、来るのか? 来ないのか?」
「行くよ」
すると、ネルがレオに言った。
「そういうときは『ありがとう』でしょ?」
「え? ……まぁ、ありがとう」
「うん、なら行こう」
俺は、ゾロゾロと人を引き連れて図書館を目指した。
途中、かなり多くの視線を感じた気がする。そのことをジルに話すと「有名人、それも意外なメンツが三人で集まっていたら、そりゃあ二度見くらいするよ」と言っていた。恐らくネルとレオ……後は俺のことだろうな。しかし、いつの間に有名になったんだ?
ふと、レオに聞いてみた。
「お前、俺から学イチの権利をもらってどうするつもりだったんだ?」
「なんでお前に言わなきゃいけないんだよ」
「気になったからだ。それがなけりゃ決闘だってしなくて良かったんだからな」
「……退学しなくて済むよう学園に頼むつもりだった。俺はその、勉強できるほうじゃねぇし」
すると、それを聞いていたジルが言った。
「なら、勉強会に参加できて良かったな。俺も、丁度この間退学させられそうになったが、なんとか免れることができたぞ」
リリーは頷いて、それに同意した。
「そうそう、ネル先生が教えるの上手だからね」
レオはそれを聞いて、しばらく黙っていた……が、しばらくしてからボソッと呟いた。
「助かる」
俺はレオの肩に手を置いて言った。
「ま、お前がちゃんと勉強するかどうかにかかってるがな。勉強会をサボるとか言い出しても止めないからな」
「なんだと!? やってやるよ、ちゃんと勉強してやるから見とけよ!」
「ほう、楽しみだ」




