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友達

 次の日の朝。隣の席にやってきたジルが、真っ先に俺に話しかけてきた。



「いいか、クロード。昨日の件は絶対に俺が解決するから、お前は気にすんなよ! リリーも悪気はなかったんだからさ。きっとなんとかしてみせる!」


「え?」


「だから俺に任せておけ! きっと大丈夫だ!」


「いや、その件は昨日シーナ先生に解決してもらった。だから大丈夫だ」


「えっ! そうなのか?」


「あぁ。ネルも気にしていないって言ってたぞ」



 ジルはポカンとしていた。しかし、彼も色々考えてくれていたんだな。流石は俺の友達候補だ……いや、もう友達なのか。



「ま、ネルさんが気にしてないならいいか……これにて一件落着だな」


「まぁでも、ありがとな。俺の友達なだけある」


「えっ!」


「……違ったか?」


「いや、クロードにしては珍しいこと言うなって思っただけだよ。なんだか変な気分だ」


「なんだよそれ」



 しかし、これでひとまず例の件は解決したようだ。リリーにも放課後このことを話して、また次の勉強会の日程を決めよう。


 勉強といえば、学イチについてジルに聞いてみることにしよう。何故か彼は成績のトップについてくわしいからな。



「なぁジル、今年の学イチは俺にもチャンスがあるって本当か?」


「お! ついに狙う気になったか! このスケベ野郎め!」


「いや、禁書コーナーには興味ないが」


「じゃあ何を頼むんだよ」


「それは秘密としよう」


「なんだと!? 友達の俺にも言えないのか!」


「あぁ」



 ジルは俺が何の目的で学イチを狙っているのか気になっている様子だったが、それは一旦無視しておこう。



「それで、さっきの話だが」


「あぁ、クロードが学イチを狙えるって話だろ? 学園の成績トップスリーが今年で卒業したんだ。それで、繰り上がる形でネルさんが二位、クロードが四位になる」


「ほう」


「お前のライバルとなる可能性があるのは、元四位のシアさんという謎の多い女子、それから美形であることが取り柄の元六位のアランという青年だな。二人とも同じ学年だぞ」


「なるほど……その二人とネルの成績を上回る必要があるのか」



 シアにアラン、名前すら聞いたことないが……俺に超えられるのだろうか。いや、そもそもネルには去年の順位では負けているんだ。試験の日までに沢山勉強しないとな。


 学イチを決める総合成績とは、試験の結果にプラスして普段の学校での提出物や実技の精度が評価基準となる。つまり、今この瞬間にも試験は進んでいるのだ。



「で、クロードに耳寄り情報だ。元四位のシアさんについてだが、どうやら不登校気味らしい。学校にあまり来ていない分、成績は落ちるだろう。実質、ライバルは二人だけになる」


「ほう? それならなんとかなりそうだな」


「そうだろ」


「というか、なんでお前はそんなに成績上位の奴らに詳しいんだ? 俺も含めてだが……」


「え? だって頭いい奴らのことをよく知っておいて仲良くなれば、勉強教えてもらえるかと思ってさ」



 これで、ジルが俺に対して積極的に関わってきた理由が分かった。また、ジルという人間の単純さもよく分かった。



「お前のその努力は勉強の方に向けられないのか?」


「無理だったから今に至る」


「なんで誇らしそうなんだよ」


「は? 誇らしくなんかないんだが」


「はぁ……」



 そうこうしているうちに授業が始まった。


 そして、ジルが珍しく教科書を持参していた。あまりの珍しさに授業の内容が三割ほど頭に入ってこなかった。いや、三割は流石に盛った。



 とにかく、ソワソワしているであろうリリーのためにも、授業が終わったらすぐさま事情を説明しよう。後はそうだな、次の勉強会の日程も決めないといけない。



 勉強会か。学イチを狙うためにも、きっと必要なことなのだろう。少し……いや、かなり楽しみだ。

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