平身低頭オオカミ...................................?
なんか、魔物の群れの奥から大分強そうなやつが出てきた。
そいつが吠えた、と思った瞬間、近くの冒険者たちがバッタバタ倒れていく。 つんよ。
...............................................流石ラスボスらしき魔物。
.........................あ、グレイブさん仕掛けた。
『ジェノサイド・プロミネンス』をその個体に放つ。
黒炭となって倒れていく取り巻きたち。 そして、その中心に立つ無傷の、濡羽の色をしたオオカミ。
上級魔法で無傷とか...........................。
千里眼で拡大してみると、薄い水のようなものを体にまとっている。あれで、炎を防いだのだろう。 上級魔法も防げるとなれば、魔法の扱いも達人級だ。
グレイブは驚いて声も出ない!
脳が理解を拒んで麻痺状態になっている!
数舜のスキができた!
濡羽色のオオカミのターン!
あ、オオカミが水の斬撃飛ばした。
あー、グレイブさんやられた。
体に裂傷ができている。 そこまで深くはなさそうだが、激しい動きはできなさそうだ。
...............................というか、あの瞬間でグレイブさん、手に持った杖を使って威力を受け流してたな。
杖は折れているが、そのおかげで威力が半減していた。 さすがA級。
それはともかくどうしよう、このオオカミ強い。
僕が何とか魔力でごり押せば倒せなくもないか? ただ、目立つマネは避けたいな...................................。
ただ、人の命がかかっている。出し惜しみをしている場合じゃないな。
精霊刀を鞘から抜いて構え、練った魔力をアイテムボックスから引き出す。 そして、目を合わせて相手の動きをかんさ..........................目が合わない。
なんか全力で目をそらされるんだけど。なんで?
体の向きも、心なしか僕の方向から逸らそうとしている気がする。
あ、ゆっくーりすり足で後ろに戻っていってる。
.................................................................。
逃がすかああああああああああああ!
身体強化を行い、急いで追いかける。
おおかみ は ぜんそくりょく で にげだした!
あおい は それ を おいかけた!
もりのなか で と〇そう〇ゅう を している!
あのオオカミ、中々速い。 ステータス2万越えで、簡単に追いつけないとか........................................。
まあ、だんだん距離は縮められてきている。 追いつくのも時間の問題だろう。 気を取り直して、練った魔力と精霊刀を用意してっと..................................。
おっと、濡羽オオカミが振り返った。ただならぬオーラを出している。 とうとうここで戦うのか。 僕にとっても目撃者もいないし、良い所だろう。
そうして今度こそ観察をしながら精霊刀を構える。
そしてオオカミが落とした行動とは.......................................................平伏だった。
..............................................................え?
こちら、視点変わって濡羽オオカミ。
ぎゃあああああああああああああああああ!
なになになに! なんで追いかけてきてるの! なんか俺やっちゃった!? 何かあの方の邪魔しちゃった!?
推定、十禍 のお方が、人間の街に入り込んでいた。 誇り高き十禍が下等種族である人間に化けるなど、この時点でもうわからない。
てっきり、人間の組織の内部からの壊滅を狙っているのだと思い、一番強そうなやつに怪我を負わせ、雑魚どもを気絶させておいたけど、俺の力でも鑑定ができない、なんか見るだけでヤバそうな武器とあり得ないほどの魔力密度の魔力が急に出現し、何か向けられてきた。 当たったら俺でも5発も耐えればいい方だろう。 とにかく怖い。
体のすべての魔力を身体強化にまわしているのに、それでも振り切れない。 しかも、相手は息切れの様子すらない。涼しい顔でぐんぐん距離を詰めてくる。これが...........................................この世界の頂点、十禍。 このような方々があと9柱もいるとは...........................................。
わからないことだらけだが、俺がしなければいけないことは明確にわかる。それは........................................全力であの方の機嫌を損ねてしまったことに対して拝跪を行い、命乞いをすることだ。 助かるには、これしかない。 とうとう後ろへ振り返り、体を地面にめり込ませるつもりで平伏をする。
頼む.......................................!
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