【ソイツ】の出現
あーおく晴れたそーらー、しーろーいー、雲ー。
そして、地上では魔獣の大群。これほど似合わない組み合わせはないだろう。
ん?何をしているのかって? そんなの、現実逃避に決まってるじゃないか。
千里眼で、魔物の群れを確認する。
その数は、500はゆうに超えるだろう。1000にすら届いているかもしれない。 しかも、そのどれもがシギを少し弱くしたくらいの強さ。 なかなかのエリート集団だろう。
「来るぞ!陣形を整えろ!まず守りに徹して少しでも数を削れ!」
それに対し、冒険者に指示を出しているのがA級冒険者のグレイブさん。
がんばれ、グレイブさん。
と思っていたら、詠唱を始めた。
「赤き熱波よ、我が魔力を糧に猛り狂え。不浄なる群れを包み、その骨の髄まで焼き尽くせ。戦場を焦土へ変える白熱の檻となれ!上級火炎魔法――『ジェノサイド・プロミネンス』!!」
....................................................あれー、無詠唱で打てるんじゃなかったっけ。
と思っていたら、どうやら無詠唱は、詠唱をした時より威力が少し弱くなってしまうらしい。少しでも多くの威力を出したいため、今は詠唱をしているのだと。 へえー。
今の魔法で、100余りの魔物が消滅した。 その中にいた、B級にギリギリ届かないくらいの魔物も、骨だけ残っており、他はすべて焼き尽くされていた。 流石上級魔法。
「今だ! 突撃ー!」
冒険者の勇猛な戦い。 次々と魔物が倒されていく。
「アオイ! 君も戦え!」
そうでした。
.............................................うーん、ここから狙撃できないかな。イメージは弾丸。
ファイアーボールを圧縮して、丸くする。 圧縮した分、魔法の威力は上がっている。
群の中にいる、そこそこ強そうな個体、ウルフ系統の魔物に当たった。 毛皮が燃え、倒れた。 その炎は、周りの魔物にも伝染していく。
「........................................おい、アオイ。ちょっといいか。」
あ、グレイブさん。
「なんですか?」
「今目の前で起きたことを、脳が理解を拒んでいるんだが........................。 まず1つ。あれは初級魔法のファイアーボールだろう? なぜあんなに威力がでる。」
「ああ、それは、魔法を圧縮したんですよ。 こう、ぎゅっと。」
「いや、普通出来ないからな。」
できた人がここにいます。
「魔法は、すべて完成されている。その完成されたものに余計なことをすれば、一瞬で制御を失い、爆発炎上だ。もしできるとすれば、全く新しい魔法理論で魔法を使っているか、それとも高度な魔法力で、力づくで制御をしているかのどちらかだ。」
あー.................................。僕って魔法力25000以上あるからな...........................。 無理やり制御をしている、の方か。それにしては抵抗を感じないんだけどな。
「はあ...............................まあいい。できるなら、今のを続けて打っていってくれ。」
「わかりました。」
ファイアーボールを打ち続けていく。 消費魔力は20もないので、魔力が26000以上ある僕にとってはゼロにも等しい。
「大気にあまねく熱素の灯。我が魔力は天の怒りとなりて降り注ぐ。燃え盛る星の破片よ、大地を埋める羽虫を叩き潰せ。悉くを焼き尽くせ。上級魔術――プロミネンス・レイン」
グレイブさんも奮闘中。
絨毯爆撃ね........................................そういう方法もあるのか。
上級魔法や冒険者たちの働きによってみるみる魔物が減っていく。
そして、突然戦場を 絶望 が支配する。
俺はグレイブ。A級冒険者だ。 滞在していた国に魔物の大群が攻めてきたため、現在上級魔法で殲滅をしている。 上級魔法はあと2発は打てる。いざとなれば、魔力回復ポーションもあるから大丈夫だろう。
アオイという規格外な冒険者もいるが、主にB級、C級の冒険者どもがまものと戦っている。 魔物の数は、最初の10分の1程度にまで減少している。
このまま誰もが魔物を殲滅しきれると思っているときだった。 突然、【ソイツ】は現れる。
【ソイツ】は、一見ほかのウルフ系統の魔物と似たような見た目だった。 だが、俺にはわかる。こいつは、強い。
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