とあるオオカミの最後 sideオオカミ
我は、とある森で生まれたオオカミである。
ある特殊な条件下から、他の魔物よりも強く生まれたのだ。他にも強い魔物はいたが、我は別格だと自負している。
生まれたばかりですでに1国を滅ぼせる程度には強いつもりだ。このまま10年も成長すれば、やがてこの世界でも最強の一角の座にも届くだろう。
そう、我はそれくらい強い。強い、はずだった.............。
生まれてから1年もたったころ。
森で休んでいると、ふと人の気配がしたような気がした。
そのあとすぐに周りを見渡したが誰もいなかったので、気のせいだと思ったのだが、それが間違いだった。
瞬間、突如切りつけられる。
!?
馬鹿な、気配もにおいもなかったのに!それに、我が常に展開している結界も切り裂かれただと!
急いであたりを見回すが、何の気配も姿も確認できない。なんだこれは?
そのあと、ばかげた威力のファイアーボールがぶつけられた。本来ならばよけられたはずだが、あまりの驚きで反応が遅れてしまった。
そして、もう一度神速とでもいうべき速さで、我が斬られた。致命傷だ。
なんだ?なんなんだこの気配も姿も感じられない生物は?
最後の力をすべて 神眼 に注ぎ込む。
人間の姿が見えた。
まさか、矮小な人間に我がやられたというのか?
そのあとすぐにその人間のステータスの一部が頭になだれ込んでくる。
............ハハ、なんだこのバカげたステータスは?
それに、気配も姿も感じられなかったのは、神が自ら作った最上位スキルを持っていたおかげか。
となるとこいつは勇者。
一瞬で真相にたどり着いた。しかし、もう時間は残されていない。必死で思考を加速させ、最後にするべきことを考える。
勇者となればこいつは魔物を倒しまくるつもりか。別に魔物同士で寄合をするつもりはないが、魔物が滅ぼされるかもしれないとあっては話は別だ。こいつにはそれをできる力がある。
最後にするべきことは............。魔物の統制か。近々人間が集まっているところに転移魔法で送り込むつもりだった魔物を突撃させれば、数百人の死者は容易に出せるはずだ。これが、勇者に対してできる最後の我の復讐.............。
このあたりにいる魔物すべてに特殊な波長を送り、国を滅ぼせ と命令する。かなり行為の我には、ほとんどの魔物が従うだろう。
ふふ、勇者よ、楽しみにしておれ.............。
それが、最後のオオカミの想いだった。
そして、力尽きる。
数千、数万の魔物がすぐ近くの国へ侵攻を開始する。
この騒ぎを引き起こしたある少年は、まだこのことを知る由もないのだった。
面白いと思った方は是非、ブックマーク、評価、コメントをお願いします! 執筆の励みになります!




