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第17話 さて、何作るか

「これだけ素材があると逆に迷うな…」


滅多に手に入らないはずの混沌側の機体のコア。

それがちょっと前までの常識だったが、今目の前にあるのは巨大脅威のコアの山。


「これ、売ると幾らになるんでしょうね…」

「聞きたいかい?」

「…これ以上胃にダメージ負いたくないのでやめておきます。とりあえず、武装の更新ですか?」


コアの基本的な使い方としてはワンオフの武装への強化素材。

一部のエリート兵のみに配給され、その配給量も絞られている。

本来は機体の強化に使った方が効率がいいが、そんな量を確保する手段がなかった。

そう、これまでは。


「なあ、境界の管理者」

「ん?ハルといったか?なんだ?」

「あんたらのいうデブリって、どういう性質を持っているんだ?」

「性質っていってもなあ。突然湧き出して、徒党を組んでどこかを目指す…今回のように境界の外に出ようとすることが多いな。また、“共食い”もよく起こる」

「共食い?」

「あんたらが巨大脅威と仮称した奴らみたいなものさ。コアが複数あるだろ?あれは元々別の個体同士が共食いして一つになった結果さ」

「なるほどな…と、すると、コアを機体にそのまま使うのはやめた方が良さそうだな」

「その方がいいだろうな。最悪、コアにお前達が使った機体が乗っ取られるだろう」

「武装に使うにも数を調整した方が無難か。今までの配給制限が結果的に安全弁となっていたのはなんとも言えないが…」

「ねえねえねえ」

と、調律者が2人の会話に割って入る。


「暴走するかもしれないって、そんなに心配すること?」

「…普通は心配することなんだが、お前達は言っても聞かなそうだな」


何せ、気づいた時には作っていたのだ。


コアのみで構成された機体を。


「…なんか禍々しい感じがするんじゃが」

「奇遇だね。ワタシも流石にこれはまずい感じがするね…」


あの普段冷静沈着なハカセMrーⅡですら、手にしているラノベをパタパタと開いたり閉じたりと忙しなく、冷静さを欠いているように見える。


「なあ、調律者」

「なあに?」

「あれ、コア、追加で食ってねえか?」


気づくと調律者が作り上げたモノはコアの山から徐に取り上げて、機体内部に格納を続けている。


「んー、お腹すいてるのかな」

「機体なのにお腹すくの!?」

「アイルだってコーヒー飲んでるじゃん」

「わたし?」

「いや、あの子は特別って言うか…」


不足の事態にミカのツッコミにも普段のキレがない。


「…止まったな」

動きを止めた、調律者謹製の機体。

その姿は、コアの色そのままに透き通っていて、配線ケーブルや武装に至るまでもコアをどう加工したのか、柔軟性や硬質感がそれぞれ上手く調整されている。


「…」

「…なんかこっち見てる気がするが、調律者、どうするんだ、アレ」

「ん〜、あ!いいこと思いついた」

「なんか今寒気がしたんだが…」

管理者が身をすくめる中、あっけらかんと調律者は言い放つ。


「境界の中に放置しよう!」

「おいい!!無茶言ってんじゃねえ!?俺たちにあれの管理させるってのかよ」

「いや、案外いい案かもしれん」

「…ハル、お前はまともな方だと思ってたのに…」

「まあ、聞け。お前達はデブリの処分に困っている。そして、デブリは共食いをする。さらに奴の主食?はデブリのコア。と、言うことは?」

「!?自動でデブリを処理してくれるということか!」

「多分な。試してみる価値はあるんじゃないのか?」


こうして、調律者のいつもの暴走により、コアのみで構成された機体は境界へと投入されることになった。

ーーーー

「大丈夫なんですかね?」

「さてね。少なくともアレを研究室に置いておく気はないからワタシは賛成だけどね」

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