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第四話:『ロマンの定義、そしてアイルの答え』

第四話:『ロマンの定義、そしてアイルの答え』


調律者たちは、まるで自分の魂を語るかのように、

それぞれの“ロマン”を熱弁していた。


「ロマン=自由!

 だってさ、空を飛ぶってだけでテンション上がるじゃん!」


「いやいや、ロマン=進化だよ。

 限界を超える瞬間こそロマンなんだって!」


「違う違う、ロマン=暴走だよ!

 制御できない力をどうにか乗りこなす、そのスリルがさあ!」


めちゃくちゃな理論のはずなのに、

なぜか筋が通っている。

むしろ、説得力すらある。


ハルは苦笑しながら肩をすくめた。


「……本当に。優秀ではあるんだよなあ……」


ミカがふと、ハルの横顔を見つめる。


「ねえ、ハルにとってロマンって?」


「ん?そうだなあ……」


ハルはミカを見つめ返し、

少し照れたように、しかし真剣に言った。


「“守るべきもの”を護れる力かな。

 共にあるために……」


「……」


「……」


空気が甘くなる。

ほんの一瞬、世界が二人だけになったような——


その時。


---


◆ 調律者、空気を読まない(読んでるけど読まない)


「あ、ずるーい!」


「!?」


「ロマンを二つ以上押すなんて……最高じゃん!」


「……そっちか」


ハルは脱力した。

ミカは顔を赤くしながらも、どこか嬉しそうだった。


調律者たちは、なぜか感動していた。


「守るべきものを護る力……いいねえ!」


「自由も進化も暴走も、全部まとめてロマンにしちゃうなんて!」


「ハルくん、ロマンの天才だよ!」


「いや、そんな称号いらない……」


---


◆ そして、アイルの“答え”


そのときだった。


合体機体の内部から、

柔らかい光が脈動した。


——……ゼンブ……


「え?」


ミカが息を呑む。


——……ロマン。

 ゼンブ、ロマン……


調律者たちは、満面の笑みで叫んだ。


「「「おお〜!さすが!お目が高い!!」」」


ハルとミカは同時に固まった。


「……アイル、欲張りすぎじゃない?」


「いや、むしろ正しいのかも……?」


アイルは、まるで誇らしげに光を放った。


“自由も、進化も、暴走も、守ることも——

 全部ロマンだ”


それが、アイルの最初の“価値観”になった。



---


『観測装置の危険性と、胃薬という名の救世主』


合体機体の調律が進む一方で、

もう一つの問題が静かに、しかし確実に迫っていた。


観測装置の“本当の危険性”。


それは単なる故障や暴走ではない。

観測そのものが、世界に“干渉”してしまう危険性。

観測した瞬間に、観測対象の未来が変質する可能性。


つまり——

「見るだけで世界が歪む」

そんな代物だった。


当然、扱いを誤れば大惨事になる。


そこで、なぜか調律者たちが首を突っ込んできた。


---


◆ 調律者、またしても参戦


「いや〜、観測装置ってロマンあるよね!」


「ロマンじゃない!危険なんだよ!」


「危険だからロマンなんだよ!」


「違う!!」


タケルは頭を抱えた。

彼はこの観測装置の担当者であり、

胃痛と戦う日々を送る男である。


そんな彼の前で、調律者たちは好き勝手に議論を始めた。


「観測による未来干渉か……これは厄介だね」


「でも逆に言えば、干渉の方向を“調律”すればいいんじゃない?」


「未来の揺らぎを安定させる……いや、むしろ“揺らぎの幅”を固定する?」


「それだ!揺らぎの幅を固定すれば、観測しても未来が暴れない!」


「いや、そんな簡単に言うなよ!

 そんな技術、どうやって——」


「あるじゃん」


「え?」


調律者の一人が、タケルの机の上を指差した。


そこには——

タケルの胃薬が置かれていた。


---


◆ まさかの救世主:胃薬


「……これがどうしたんだ?」


タケルは困惑する。


調律者たちは、なぜか誇らしげに胸を張った。


「タケルくんの胃薬、成分がすごいんだよ!」


「ストレスによる自律神経の乱れを抑える成分が入ってるでしょ?」


「つまり、“揺らぎを抑える”作用がある!」


「観測装置の揺らぎも、同じ理屈で安定化できるかもしれない!」


「いやいやいやいや!!

 胃薬で未来干渉を抑えるってどういう理屈だよ!!」


「理屈じゃないよ、ロマンだよ!」


「ロマンで未来を安定させるな!!」


だが、調律者たちは本気だった。


彼らは胃薬の成分を解析し、

観測装置の揺らぎ制御システムに応用し始めた。


タケルは震える声でつぶやく。


「……俺の胃薬が……世界を救う……?」


「そうだよタケルくん!君の胃は世界の生命線なんだ!」


「そんな生命線いらない!!」


---


◆ そして、奇跡は起きる


調律者たちが組み込んだ“胃薬由来の揺らぎ制御”は、

なぜか完璧に機能した。


観測装置は安定し、

未来干渉の危険性は大幅に低下した。


タケルは呆然とつぶやく。


「……なんで……?」


調律者たちは笑顔で答えた。


「ロマンだよ!」


「ロマンは世界を救うんだよ!」


「ロマンは万能だからね!」


タケルは天を仰いだ。


「……俺の胃薬、返して……」


---

---


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