二十三話 観測
二十三話 観測
整備区画に漂う緊張と興奮の空気が、
ふいに――凍りついた。
完成した《合体対応ゼロ・バース/1号機》の前で、
誰もがその巨大な影に見惚れていたその瞬間。
照明が一瞬だけ揺らぎ、
空気が“無音”に変わる。
「……っ、また……?」
「来たな」
調律者A「波形が乱れた!!」
調律者B「観測者だ!!」
影が、静かに“そこ”へ現れた。
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虚無観測者、完成品を“観測”する
影は、合体機体をじっと見つめる。
その視線は、まるで“評価”するようで――
しかし、何も語らない。
やがて、空気が震えた。
「――二つは、一つに至ったか」
ミカ「……!」
ハル「……どういう意味だ?」
影は、ゆっくりと形を揺らしながら続ける。
「境界を越える器は整った。
だが――
“試練”は、常に先に現れる」
レイナード「試練……?」
影は、遠くの空を指すように揺れた。
「――来るぞ」
そして、影は消えた。
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その直後、警報が鳴り響く
ウウウウウウウウ――!!
オペレーター「緊急警報!!
混沌側の一般機体が複数、境界外縁に出現!!
数は……五、いや、七!!」
「えっ……!?
一般機体なんて、最近ずっと出てなかったのに……!」
「……観測者の言葉通りだな」
調律者A「データ!!データ!!最高のデータが取れる!!」
調律者B「落ち着け!!死ぬぞ!!」
調律者C「でも行きたい!!」
レイナード「行くな!!」
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タケル、観測装置のテストへ(地獄)
ハカセが、いつの間にかタケルの背後に現れていた。
ハカセ「ほっほっほ。
ちょうどよいタイミングじゃな」
タケル「ひっ……!?
な、なんですかハカセ……」
ハカセ「タケルよ。
お主の“観測装置”、試すには絶好の相手じゃろうて」
タケル「ぜ、絶好じゃないです!!
あれ敵ですよね!?
普通に危険ですよね!!?」
ハカセ「大丈夫じゃ。
死なん程度に調整しておる」
タケル「死なん程度って何ですかぁぁぁ!!」
カザマ中尉「……タケル、覚悟を決めろ。
これも任務だ」
タケル「中尉ぃぃぃ!!」
レイナード「……私も同行する。
胃が痛いが、放っておけん」
タケル「胃薬飲んでください!!」
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観測装置、起動
ハカセがタケルの胸元に奇妙な装置を装着する。
まるで“目”のようなレンズが脈動していた。
ハカセ「よし、起動するぞい」
ピピッ……ピピピッ……!
タケル「うわああああああああああああ!!
視界が増えた!!
なんか“揺らぎ”が三重に見える!!
気持ち悪い!!」
ハカセ「正常じゃ」
タケル「正常じゃないです!!」
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そして、戦場へ
「ミカ、行くぞ」
「うん……!
でも、タケルくんも……大丈夫かな……」
「大丈夫じゃないだろうな」
「ハル!!」
「でも、俺たちが守る。
それで十分だ」
「……うん!」
調律者たち「データ取るぞーー!!」
レイナード「来るな!!」
カザマ中尉「全員、配置につけ!!」
タケル「うぅ……胃が……胃がぁ……」
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こうして、“完成品”の初陣は、
虚無観測者の予告とともに幕を開けた。
混沌側の一般機体が久々に姿を現し、
タケルは観測装置の地獄に放り込まれ、
ハルとミカは初めての“合体戦闘”へ向かう。
物語は、
ついに“境界踏破”の前段階へと進み始めた。整備区画の緊張がそのまま戦場へと流れ込み、
ついに――《合体対応ゼロ・バース》と《境界対応1号機》の“初陣”が始まった。
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