二十二話《合体対応ゼロ・バース/1号機》完成
二十二話《合体対応ゼロ・バース/1号機》完成
整備区画の中央。
数日前まで「ロマンだ!」「合体だ!」と騒いでいた調律者たちと、
黙々と端末を叩き続けていたハル。
その二つの“狂気”が、
ついに一つの形となって姿を現した。
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《合体対応ゼロ・バース/1号機》完成
ミカ「……本当にできちゃったの?」
ミカは、ぽかんと口を開けたまま、
巨大な影を見上げていた。
そこに立っていたのは――
二機の機体が、完全に“合体”した姿。
- 位相干渉ジョイントは安定稼働
- コックピット移動レールは滑らかに作動
- 二重コア安定化ユニットは脈動し
- 波形同期システムはミカとハルのデータを読み込んでいる
そして何より、
合体変形の3パターンすべてが実装されていた。
ミカ「……なんで全部作ったの……?」
調律者A「だって選べなかったんだもん!」
調律者B「全部ロマンあったから!」
調律者C「全部作ればいいじゃんってハカセが言った!」
ハカセ「ほっほっほ、ロマンは削れんからのう」
ミカ「削ってよ!!」
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ハルの“本気”が恐ろしい
ハルは腕を組み、
完成した機体を見上げながら淡々と告げた。
「……まあ、想定より早くできたな」
「早すぎるよ!!
数日って何!?
普通は数ヶ月とか数年とかかかるでしょ!?」
「調律者たちの技術力は本物だ。
俺の技術と合わせれば、この程度は当然だろ」
ミカ「当然じゃない!!」
調律者たちは胸を張る。
調律者A「いやー、ハルくんの技術、マジで意味わかんないよね!」
調律者B「解析しようとしても“観測不能”って出るんだよ!?」
調律者C「でもその“観測不能”がまたロマンなんだよ!!」
ミカ「ロマンで片付けないで!!」
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軍の三人(胃痛組)の反応
レイナード「……完成……してしまったのか……」
タケル「……僕、これの観測担当になるんですよね……?」
カザマ中尉「……胃薬、追加で頼んでおくか……」
三人は同時に深いため息をついた。
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ミカの複雑な気持ち
ミカは、
合体した機体を見上げながら、
胸の奥がざわつくのを感じていた。
「……すごい。
すごいけど……
なんか……怖いな……」
ハルはミカの横に立ち、
静かに言った。
「怖いのは当然だ。
でも――」
「……?」
「お前と一緒なら、
俺はどこまででも行ける」
「……っ」
ミカの胸が、少しだけ軽くなった。
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こうして、“合体対応機体”は完成した。
ロマンと狂気と技術が混ざり合い、
軍を巻き込み、
虚無観測者すら興味を示したこの計画は――
数日で現実になってしまった。
ミカはまだ不安を抱えている。
タケルは胃を押さえている。
軍は頭を抱えている。
それでも、
物語は確実に次の段階へ進もうとしていた。
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