1月8日 何のために
田井「えっ?何のためにかぁ」
俺 「はい」
田井「何のためにって、大学行きたくないのか?」
俺 「なんか、本当に行くべきなのかなって思ってしまってて」
昨日感じたことを素直に田井先生にぶつけてみた。
田井「まぁ、気持ちはわかるな」
俺 「先生は、どれくらい勉強したんですか?」
先生は、手を口にあてながら話をし始めた。
田井「何のためにって考えること自体がよくないんじゃないか?」
俺 「え?どういうことですか?」
田井「もちろん、俺の年齢になればさ、理由なんていくらでも後付けできるんだよ」
俺 「そうなんですか?」
この時は、まだ理解できていなかった。
田井「ああ。例えば、仕事のためとか給料のためとかさ、、、、。いろいろ理由はつけれるけど、そんなもの時間がたってしまえば、何のためにやってるかなんて意味がなくなってしまうんだよ」
田井先生の話は妙に説得感があった。
俺 「じゃあ、今する時はどうすればいいですか?」
田井「何のためにやるかじゃなくて、どうなりたいかそれだけを考えたらいいんじゃないか?」
俺 「どうなりたいか?」
田井は、ゆっくりと頷いた。
田井「今、日向がどれだけ勉強に意味をもたせたとしてもそれは無理やりでしかない。それだったら、どうなりたいかだけを考えて今の勉強に熱中するしかないんじゃないか?」
俺を鼓舞するかのように熱心に語ってくれる。
俺 「例えば、どういう風にしたらいいとかありますか?」
田井「そうだなぁ。例えばだけど、日向はずっと、ゲームしてたいんだろ?」
俺 「はい」
田井「だったら、一人暮らししたら、親の監視下からは外れてゲームたくさんやれるぞ」
俺 「ホントですね」
なぜが、そう言われるととても嬉しかった。
田井「でもな、ゲームするには一人暮らしが必要だ。ただ、お母さんが一人暮らしを許してくれるかぁ?」
俺 「それは、そうですね」
田井「だったら、ダメと言わせないような大学に受かればいいんじゃないかぁ?」
俺 「それは、そうですね」
田井「って考えたら、お前は勉強するしかなくなるだろ?」
田井の言う通りだった。たしかに、残された俺には勉強するという手立てしかないようだ。それをやるかやらないか、それだけであることが田井と話していて気がついたのだった。




