12月26日 第3クール(1日目)
勉強会に飽きてしまった俺は、休憩室でうつ伏せになっていた。あぁ、もうめんどくさいなぁ。帰ってしまったら、後でお母さんにいろいろ言われそうだしなぁ。なす術がなく、うろたえていた。"どうしたの?"。声とともに顔を上げる。そこには、髪の毛をくくった篠木七海がいたのだった。上手く反応できずにいると、再度俺の方を見てくる。
篠木「大丈夫?」
俺 「大丈夫じゃねぇよ」
篠木「まだ、あと2時間あるよ?」
俺 「もう無理」
篠木の言うように時刻は、まだ14時だった。
篠木「じゃあ、帰っちゃうの?」
俺 「いや、帰るわけにはいかない」
篠木「そうなの?」
俺 「うん」
ここで帰るのは違う。かといって、このままいてもなぁ。
篠木「じゃあ、どうするのよ?」
俺 「どうするも、ねぇよ」
篠木「えっ、どういうことよ」
俺 「とりあえず、今はやる気でねぇから、ここにいるよ」
もう、それしかない。俺の中ではそう思っていた。
篠木「それは、困るなぁ」
俺 「いいよ、それは」
すると、前方の扉が開く。教室の空気が変わる。廊下の空気や風音が静かに混じり、俺と篠木だけの世界が崩れ落ちる。二人だけの静かな空間は、男の足音が床を叩く。俺たちの視線は男の方に向く。男は、何も言わずに俺の方へと近づいてくる。誰だ、コイツ?どっかで見たことがあるような?ないような?綺麗に並んでいた空席に座ったのは、"荻野由馬"だった。どこかのクラスで見たことがあるような?ないような?
篠木「もう授業始まる?」
荻野「まだだよ」
篠木「何しに来たのよ?」
荻野「いや、だるいから抜け出して来たんだけど。ここ以外みんな勉強してるみたいでさ」
篠木と話をしているということは、コイツはSクラスか?
荻野「始めまして」
俺 「ああ、どうも」
コイツは、俺のことを知ってるのか?
荻野「白洲くんもサボってるの?」
俺 「まぁ、そんな感じかな」
篠木「そんな感じじゃないでしょ」
篠木は、お母さんみたいにいろいろツッコンでくる。すると、再び教室の扉が開く。今度は、男子たちが一気にやってくる。どうやら、荻野をめがけてきたのかもしれない。
荻野「わりぃな。邪魔して、俺は行くわ」
すると、すぐに荻野は座っていた椅子から立ち上がり動き始めた。




