事件と責任
こんにちは、相田如紗です。とても疲労感を感じながら今家の前に立っています。
一日にいろいろなことがあったなあ。
いろいろな…ことが……
「アホ!何考えとるんや私は…あんなん意識したらあかん、きっとなんかの事故やったんや…」
でもあの時、京くんは隙ありすぎって言ってなかった…?
「もうわけわからんわ…」
「如紗ちゃん!?関西弁誰!?」
「あ、加羅くん」
ドアの前で一人芝居をしていると、加羅くんがやってきた。
「お母さんが今日も如紗ちゃんのおばさんと話し込んでるみたいでさ。
ご飯どうするか聞きにきたんだよ。ところで今の似非関西弁はなに?」
「関西弁なんか私は話してないよ、もしかして加羅くんって見える人?」
「や、やめろよ!
もう寒くなってきてんだから怪談の時期はもう終わったろ」
「お化け嫌いは変わってないね」
「う、うるさいなあ…」
「まあとりあえず入ってよ、お母さん呼ぶんでしょ」
私は何事もなかったようにドアを開けた。
好きという思いはもうないけれど加羅くんと話していると心が休まる気がする。
…あの人よりも。
「如紗ちゃんどうしたの?」
「い、いや別に!なんでもないよ!」
私は慌てて下駄箱に寄りかかった。不思議そうな顔をすると加羅くんは中へ入っていった。
子どもの頃加羅くんと書いた結婚の約束(仮)…
なんでこんな後ろめたい気持ちになるんだろう……
ふと四醋剣をポケットから出して眺める。
そういえばまだ返せていない。
いや、もう返すつもりはない。
きっと私の知らない何かがあるはずだ。
「それじゃお母さん連れて帰りますわ〜如紗ちゃんもまた明日学校で!」
中からおばさんの手を引いて加羅くんがでてくる。
「うん、また明日ね!」
「今日も約束は輝いてんなあ」
笑いながらそれを手に取ると、急に加羅くんの顔つきが変わった。
「ごめんお母さん、先帰っといてくれない?俺ちょっと如紗ちゃんに言わなきゃいけないこと思い出したわ」
「あら、いよいよプロポーズかしら?」
「そんなんじゃねえよ。ほら帰った帰った。如紗ちゃん、公園まで行こうか」
「う、うん…」
それから二人で公園へと向かったがその間の会話は全くなかった。
公園に着くと適当にベンチに座る。そして加羅くんは話し始めた。
「もしかしてさ、如紗ちゃん四醋剣のこと知ってる?」
「な、なんで!?」
思わず単語が加羅くんの口から出て驚く。
もしかして加羅くんも四醋剣保持者?さっき顔つきが変わったのは仲間だと分かったから!?
「今モロ手に持ってるじゃん。それ四醋剣だよな?」
あ、そういえばさっき眺めてそのままだった。
他にも仲間がいたと嬉しくなった私は少し興奮気味に言った。
「これ私の四醋剣なんだ!まだ全然使いこなせないけど…でも、この前はBeなんちゃらっていう人も倒して…」
「今すぐ捨てて」
「…えっ?」
「四醋剣は如紗ちゃんが持つべきものじゃない。依存していなければまだ間に合う。早く捨てろ」
「どういうこと?捨てろって、四醋剣は別に悪いものじゃ…」
「悪いものだよ!!」
加羅くんは声を張り上げて叫んだ。そして荒々しくポケットから見たことのあるキーホルダーを出した。
剣の形をしたキーホルダー、四醋剣に似ていたが何かが確実に違った。
「分かったか如紗ちゃん。俺が持ってんのは四醋剣じゃなくて四季剣だ」
京くんの言葉がフラッシュバックする。
四季剣が正義なら四醋剣は悪、排除対象、殺傷…
「お願いだ如紗ちゃん、別にいじわるで言っているわけじゃねえんだ。危険な目に、合わせたくない…」
「で、でも契約しちゃったって…解放したらもう無理だって」
「それ誰から聞いた?」
ハッとなって私は口をつぐむ。もしここで京くんも四醋剣保持者だとバレたら…
「…憂間か。そういえばあいつもミロックでお尋ね者になってたな」
「み、ミロックって…」
「俺は実行務の候補生だよ。憂間からどこまで聞いてるかは分からねえけど」
実行務候補生…!?
「加羅くんも実行務になりたいの?」
「も?」
し、しまった…また口を滑らせて余計なことを…
「…なんとなく話の流れが見えてきたな。とりあえず如紗ちゃん、今からミロックへ来てほしい。その身体から四醋剣を切り離す」
「どういうこと…?」
「まだそこまで依存してないだろう。すぐに身体から離す」
四醋剣を、切り離す?
確かに私の中の四醋剣は、まだ恐怖心の方が大きい。期待なんてないし本当は人殺しの道具なんじゃないかと考えたこともある。
でも、それでも…
「…それはだめ」
「なんで!?見たところそんなに四醋剣を扱ってないだろ、執着する理由なんて…」
「だめなの!!」
もし四醋剣を失ってしまったら、私とあの人との約束を破ってしまうことになる。つながりがなくなるんだ。
私はそれが怖くて仕方なかった。
「はあ…とりあえずミロックへ連れていく。話はそれからだ」
「嫌だ、離して…!」
抵抗しようとするがやはり男の人の力には勝てない。
やだ、助けて…京くん……
「あら、加羅じゃない。こんなとこでなにやってんの」
「あなたはBe Quietの…」
あの時私たちを襲った女の人…!?
「実行務候補生だったわね確か。女の子はべらせてるなんて聞いたら優さんどう思うかしら」
「ははは、そんなまさか。俺はちゃんと仕事を全うしているだけっすよ」
「あらそう、なら口は挟まないわよ。私にも任務があるから。そろそろ黒ネズミ捕まえないと怒られちゃうし」
黒ネズミ…もしかすると京くんのことを言っているのかもしれない。ゴクリと生唾を飲む。
やるしか、ない。
「家に行っても誰もいないのよね、こんな時間にどこ行ってるんだか。加羅は知ってる?」
「知りませんよ、それを探すのがBe Quietの仕事でしょう」
「それもそうね」
家にいない…?だとしたらあそこにいる可能性が高い。
「さあ長話ももう終わり。如紗ちゃん、おとなしくミロックに…」
『四醋剣、解放!』
「如紗ちゃ…うわああっ!!」
この前同様、加羅くんは遠くへ吹き飛ばされる。
私の背後には禍々しいオーラを纏った人のようなものが出来ていた。
「容赦ないわね〜こんなとこで解放しちゃうなんて。あんまりするとあんたもお尋ね者になるわよ」
そんなことはどうでもいい、耳を貸してはいけない。
今はとにかく、あの病院からこの人たちを出来るだけ離さなければいけない。
私はなにも言葉を発さずに加羅くんに追い打ちをかけようとした。
加羅くんは体制を立て直そうとするが間に合わない。
私の攻撃が入る前に、Be Quietの女の人がそれを塞いだ。
「あんたほんと悪魔ね。そこまでして守りたいものってなんなのよ」
「夢、です」
私はそうとだけ告げるとさらに距離を稼いだ。後ろに押せ、出来るだけ京くんに近づけさせるな。
何度も何度も二人は後ろへ飛ばされる。加羅くんが何か言っているように見えたが、私は止めなかった。
ただひたすら剣を振るった。
もう少し、もう少しであいつらは…
私の瞳に光は宿っていなかった。
「如紗、やめろ」
あと一振りというところで腕を掴まれた。
「京、くん…」
止まったのを確認した京くんは気絶している加羅くんたちの元へ歩いて行った。
「こいつもアホかよ、これくらいの四醋剣なら避けられるはずだろうにわざと受けやがって」
命に別状はないと分かった京くんは二人を担いで戻ってきた。
「救急車呼べるか?大事には至っていない。ただ万一のことを考えると早めの処置をした方がいい」
「あ、うん…」
「三宅はいいとしても、この女はミロックに連れて行かないとだな。さすがにこっちで手当てするのは…」
「だ、だめ…ミロックはだめ」
「え?」
「ミロックに行くと、四醋剣を取られちゃう…嫌だ、嫌…」
「…そんなこと俺がさせないよ」
京くんと会話している間に私は正気を取り戻しつつあった。
目の前にいるのは京くん、そしてその肩に担がれているのは頭から血を流しながらぐったりとしている加羅くんの姿。
そしてその足元には腹部に大きな切り傷がある女の人…
徐々に記憶が戻ってくる。
「如紗、救急車を呼び」
「これ、私がやったの?」
「如紗?」
「私が、私が、ああっ…」
頭を抱え座り込む。
「気をしっかり持て、お前は悪くないだろう」
「あ…ああ……」
「おい何してるんだやめろ!!」
気がつくと私は自分に四醋剣を向けていた。
そして残っている全ての力を込めて、自分へ突き刺した。
遠くで救急車の音が聞こえる。
野次馬たちが群がってざわざわしている。
私が目を覚ましたのは自室のベッドだった。
「如紗!はあよかった…目が覚めたのね…」
「お母さん…?」
「とりあえず何か飲むもの持ってくるわ」
バタバタとお母さんが部屋を出て行く。私はゆっくり起き上がると、窓の外を見た。
加羅くんのお母さんが担架の近くで必死に叫んでいる。頬には涙が流れていた。
そうだ、これを引き起こしたのは私…
「如紗…?」
お母さんとは違う声が聞こえる。
振り向くとそこには京くんが立っていた。
私と目が会うと京くんは慌てて私に駆け寄ってきた。
「大丈夫か!?具合はどうだ、熱とか吐き気とか。痛いところとかあるか?」
「…あるに決まってるじゃん」
「はあ…ほんとにバカだろお前。あの後すぐに気を失ったから止められたものの、四醋剣を直で受けたら即死だぞ」
止めてくれたんだ…。
京くんは少し口調は怒っていたがそれでも心配そうな顔をしていた。
「どこが痛い?すぐになんか手当てするものを…」
「京くん」
「ん?」
「私、何がしたいんだろうね。夢を叶える手伝いをするとか言って、迷惑かけて結局人を傷つけてる」
「如紗…」
「もう、どうしたらいいのか分かんないよ。心が痛いよ京くん…」
京くんは静かに涙を流す私をそっと抱きしめてくれた。
「ミロックへ連れていく途中であいつから聞いた。お前は俺がいるところから遠ざけようとしていたこと。お前に全て責任があるわけじゃない」
「でも直接手を下したのは」
「如紗、これが見えるか?」
京くんは私の目の前に四醋剣を出してきた。その四醋剣の持ち手のところに、緑の宝石のようなものが埋め込まれている。
「緑は癒しの効果が使える四醋剣の証なんだ。これが俺の四醋剣の力だ」
「どういうこと…?」
「この前話しただろ、四醋剣は人を選ぶ。この癒しの四醋剣は俺を選んだんだ。俺はこの力を如紗のためだけに使う。これから一生な」
「京くん…」
「とりあえず鼻水拭いて」
照れくさそうに京くんはティッシュを差し出してくれた。
「ほんとにいいタイミングだった。この力のおかげで三宅はすぐに復帰出来そうだよ」
「加羅くんにも使ったの?」
「ああ、気は乗らなかったけど」
「お母さんたちにはこの騒動、何て言ってるの?」
「傷害事件で通ってる。お前と三宅は不審者にやられた、んで三宅の方は重体だったと」
「そっか…私が倒れたのはもっとバカみたいな理由なのにね」
乾いた笑いが出てくる。
「あまり深く考え込むな。それに今日はもう休め、時間も遅いし」
「ありがとう京くん」
「それじゃあね。何かあったらまた電話してきて」
「うん…」
京くんの後ろ姿を見送る。
もう、四醋剣を使うのはやめよう。
誰かを守るために誰かを傷つけなければならないのはおかしい。もっと他の方法があるはずだ。
京くんの四醋剣は人を助けることが出来る。それに比べて私は…
「もう、寝よう…」
未だに鳴り止まないサイレンに耳を塞ぎながら私は布団に潜り込んだ。
傷害事件があった翌日、加羅くんは学校に来ていなかった。京くんは来ていたがお互い何も言わなかった。
四醋剣は家に置いてきてもう身につけてはいない。
これで、いいんだ。
窓の外を眺めながらそんなことを考える。
学校終わったら加羅くんに会いに行こう、怒られるかもしれないし殴られるかもしれない。
それでもちゃんと伝えなきゃ、今の思いを。
「すみません、憂間京はここのクラスですかね」
「あ、はいそうですが」
終業まであと三十分という時、教頭先生が教室へ入ってきた。
話を終えると担任は言った。
「憂間、すぐに荷物をまとめて病院へ行きなさい」
そう言われた京くんは荷物をまとめると先生に連れられて教室を出て行った。
その時、どんな顔しているのか私は見てしまった。露わにはしていないが、焦りの色が見えた。
もしかして、お母さんに何か…
加羅くんの様子を見に行こうと思っていたが、学校が終わると私は一目散に病院へ向かった。
加羅くんのことも気になったがそれどころではなかった。きっとおばさんの体調が…
受付で名前を聞き、病室へ駆けつけると京くんは病室の前で座っていた。
その病室のプレートには緊急治療室と書かれていた。
「…さすがに何でいるんだよってもう驚かないよ」
「ごめんまた勝手に来ちゃって…」
京くんは下を向いたままだった。そっと私はその隣に座る。
「もう長くないんだってさ。これ以上治療による苦痛に耐える姿も見たくない。だから…」
そういえば昨日も京くんは病院に行っていた。きっとそれがそうなのだろう。
こういう時、なんて声をかけるのが正解なのか私には分からなかった。
そんなこと言わないで、大丈夫絶対助かるよ!と励ますのが一般的なのだろうが逆に追い詰めてしまうこともある。
私は何も答えなかった。
「あっいたいた!おーい!」
重苦しい空気を破ったのは、私でも京くんでもない第三者だった。
ショートより少し長めで薄い緑色の髪をしている女の子は私たちに向かって走ってきた。
「私、望月仁奈って言うんだけど知ってるかな?」
「聞いたことあるかも、確か隣のクラスの…」
「うん、如紗ちゃんに京くんだよね」
ニコッと望月さんは笑った。
「待て、お前の名字は望月なのか?」
「そうだよ京くん」
「どうしたの、なんか心当たりでもあるの?」
「望月ってこの病院の名前じゃねえか…」
「………はあ!!?」
「如紗ちゃんっていいリアクションするね」
ということは望月さんは医者の娘…!?
「といっても私は医者の娘じゃないよ。ここは私のお父さんが買い取っただけ」
「買い取った…??」
「噂で聞いたことがあるが、お前生粋の金持ちだったな」
「そういうこと。だからね京くん、私が言えばお母さんを一発で治してあげられる医者くらい雇えるよ」
京くんは考え込んでいる。おそらく助けて欲しいという気持ちとなぜ手を貸すのかという不信感があるのだろう。
「その見返りはなんだ?」
「…見返りなんてとんでもない。私は本当に助けてあげたいだけ」
「京くん、気持ちは分かるけど選択肢なんてないよ。私だって京くんのお母さんをこのまま見過ごすなんて出来ない」
何か裏があるという思いを拭いきれないんだろう。京くんはなかなか頭を縦に振らなかった。
「少し、考えさせて欲しい…」
「私はいつでもいいよ。でもタイムリミットがあるのは忘れないでね、手遅れになる前に決断して」
そう言い残すと望月さんは来た道を戻って行った。
「京くん…」
「お前ももう帰っていいよ。俺はちょっとお母さんの様子を見てから帰るから」
私もついて行くとは言えなかった。京くんは振り返ることなく病室へ入っていった。
「だから嫌だってば!」
「なんでだよ!俺は如紗ちゃんのことを思って…」
加羅くんの体調が戻り学校へ行くようになったのは良かったのだが、あれ以来顔を合わせると四醋剣の話ばかりだった。
「加羅くんが思ってるより四醋剣は変なもんじゃないよ!」
「それはまだ如紗ちゃんが何も分かってないからだろ!?」
「うっ…」
何も言い返せない…。
まだ京くんから間接的に話を聞いただけだし、今回の事件を起こしたのは紛れもなく私だ。
「で、でも加羅くんが今こうして立ってられるのは京くんのおかげなんだよ!?」
私がそういうと加羅くんはピタッと動きを止めた。
「憂間のおかげ…?それどういうことだよ如紗ちゃん」
「京くんが四醋剣を使って加羅くんのケガをんぐぅっ!?」
「そこまで」
後ろから来た京くんに口を塞がれる。
手ですよ手、勘違いしないでくださいよ全く。
「こいつに助けられたとか胸糞悪すぎるんだけど」
「誰もお前なんか助けていない」
「おはよう、みんなおそろいね」
わちゃわちゃしているとさらに望月さんがニコニコしながらやってきた。
「初めまして三宅加羅くん。私、望月仁奈といいます」
「初めまして…?やけに白々しいな」
「えっ二人は知り合いなの?」
「知り合いも何も、こいつBe Quietだぞ。しかもクラス同じ」
「「はあ!?」」
私と京くんの声がハモった。
望月さんがBe Quiet…!?
「こう見えてもあのガーネさんの元で任務をこなしてるんだからね」
「ちょ、ちょっと待て望月。お前一体どこまで…」
「うん?京くんと相田さんが四醋剣、加羅が四季剣を持ってて実行務候補なところまでは。あ〜、あと京くんが実行務になりたいってのも知ってるよ」
「ほぼ全部やないか!!」
「如紗ちゃんって焦ると関西弁が出てくるのか?」
かもしれないですね。
その隣で京くんは肩を震わせていた。
「お前、このこと知ってて俺たちに近づいたんだろう。隙を見て四醋剣を奪い取るために」
「さあね。私がそんな人に見えるならそうなんじゃない」
望月さんはそっぽを向きながら言った。
見えない火花が散っている…。Be Quietのメンバーだということは必然的に四醋剣保持者である私たちの敵ということになる。
そう考えていると何か視線を感じて振り向く。その視線の主は望月さんだった。
望月さんは私が気づいたのを確認するとニヤリと笑って言った。
「私、憂間くんのことが好きなの。だから別にそっち関係でやましいことなんてないわ」
「…何それ、本気で言ってんの?」
京くんは若干引いている。
「仁奈はもともと大人しいタイプだし、まあお似合いなんじゃねえの?憂間も根暗だしよ」
「は?お前喧嘩売ってんのか?」
「俺はいつでも喧嘩売ってるけど?」
二人は睨み合う。
望月さんが根暗?これで??
「まあ人格はいっぱいあった方が楽でしょ。あ、あと私のこと仁奈でいいよ。望月さんって固くてキライだから。それじゃあね如紗、京」
「なんて勝手な奴なんだ…」
「でもまんざらでもなかったんじゃね?仁奈、確かに地味で目立たないけど普通に可愛いと思うし」
「ならお前が狙えばいいだろう」
「いやあ、残念な部分が今露呈しちゃったからねぇ。男の趣味っていう」
「…テメェもっかい言ってみろハゲ」
「この綺麗な金髪がお見えでない?」
「そうそう、三人とも早く行かないと遅刻するよ〜?」
「「「や、やばい!!?」」」
「それじゃあまたね〜」
望月さん、もとい仁奈は高そうな車に乗ってブーンと行ってしまった。
あれ、ポルシェかベンツだろうか…いまいちよく分からない。
…ってそんなものあるなら乗せて行ってよ!!
「おい如紗ちゃん、走るぞ!今日の当番は生徒指導の中村だ。あいつに捕まったらやべえ」
加羅くんの合図で私たちは走り出した。その間も京くんと加羅くんはヤイヤイ言っていたが、もうここまで来ると気が合うんじゃないかと思えてきた。
結局時間には間に合わず、私たち三人はめでたく(?)説教を受けたのでした。




