魔王と勇者③
「なるほどね。ユシャはそんな生活を送っているのか」
「はい!!」
会場へ向かう途中、何もはなさないのもと思い、ユシャにこちらでの生活についていくつか質問していた。
ユシャは、日本人とロシア人のハーフだが、日本生まれ日本育ちであり、ロシア語のは一切話せないらしい。
両親は優しく、弟もいるらしいが、弟は反抗期らしい。
日本人ばなれした容姿に、人と接する際の距離感がわからず、常に空回ししているせいか、学校ではあまり友達がいないらしい。
こんなこと言うのもあれだが、可愛すぎて高嶺の花ってのもありそうだが。
さっき私にむけてやった、壁ドンと股ドンも話を聞いてもらうにはどうしたらいいかを考え、少女漫画で見た知識を使ったと言っていた。
現世の私は少女漫画はあまり読んでいないので、知識は乏しい方ではあるが、壁ドンと股ドンは間違っていることだけは私にもわかる。
それなのに、ユシャにとっては違和感ではないということだ。
そんな話を聞いていて、私は理解した。
ユシャは”天然”なのだと。
「それで、ユシャはなんでアイドルを目指そうと思ったの?」
「それはですね」
前世では私と同じ男だったものが、どうしてアイドルを目指そうと思ったのか。
しかも話によると、私と違ってユシャが前世の記憶を取り戻したのは4歳の頃と早く、ほとんど人格を形成されたのは前世の記憶といっても差し支えないらしい。
私みたいに現世の自分が望んだことで、流れで行動している私とは違い、明確にアイドルを目指しているユシャ。
気にならない訳がない。
「私、前世の頃可愛いものは好きで」
あんなごっつい鎧来てたのに!?
「とはいっても、前世ではそういうのは規制されてて、あまりふれる事はなかったんですけど」
そりゃ、勇者が可愛いもの好きって、イメージ的に締まりがないものな。
「そういった抑圧されてたせいもあってか、こちらの世界にきてアイドルに出会い、こんなキラキラ輝いた可愛い子達みたいになりたいなって思ってたんです」
確かに、私も甘いものが凄く好きだったのだが、『あまくておいしー!!』とかはしゃぐ姿は絶対にみせられない。
そんな魔王としての尊厳を守るために、自分のなかで甘いもの禁止とにしてたっけ。
まあ、耐えられず、配下の眼を盗んで食べてたけど。
「お互い、元男として色々大変だな」
「え? 私、元から女ですよ?」
「…え!?」
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