入れ替わり
目が覚めたら、知らない天井が見えた。
…………あれ、私…………
なんで、ここに…………?
「……ふぁあ。」
それにしてもよく寝たなぁ。
でも、すごいリアルな夢を見てた。
仲のいい侑斗と屋上から転落しちゃう夢。
そんな気味悪い夢やだよね。
せっかく目覚めいいんだから…………気分よく起きないと。
あ、髪の毛ぼさぼさかも。
くし…………くし…………
…………あれ?
いつもポケットに入っているはずのくしが、今日はない。
落とした…………?
しょうがない…………手ぐしで…………
と思って自分の頭に手をやった。
……え?
…………えっ……?
普段ロングある髪の毛が……ない?
ううん、ないんじゃない…………短、い……?
なんで……短い…………?
えっ……と、とりあえず落ち着こう…………
そう思って、ベッドから起き上がり立った。
どうやらここは病院みたい……なんでここにいるんだろう?
「あら?目が覚めた?よかったわ〜
あなたね、女の子と一緒に屋上の下で倒れていたのよ」
「あ、ありがとうございます…………って、え?女の子と一緒に……?」
女の子?って、誰……?
「そうよ?確か、斉藤莉奈ちゃんっていう子と倒れてたわよ。あなたは佐野侑斗くんよね?」
と言われて、私の思考はわからなくなった。
「……ん……」
という声が聞こえた。
「あらっ!莉奈ちゃん!起きたのね!」
看護師さんのそんな声。
「……莉奈……?俺、なんでここに…………
う、うわぁぁあ!?」
突然叫び始める女の子の声。
でもその声は明らかに「私」の声そのものだった。
「かっ……髪の毛がある……!?」
「何言ってるの莉奈ちゃん!ほら、この男の子と一緒に倒れてたでしょ?」
すると、突然カーテンの中に入れられた。
ベッドの上にいた女の子と目を合わせた。
…………それは…………
明らかに、「莉奈」の姿だった…………
「…………え?俺?」
「……っ?私……?」
ふたりして間抜けな声を出した。
「なんでっ……俺が」
「なんで……私が」
『ふたりになってるの!?!?!?』
そんな驚きのハモリは、外まで聞こえたと思う。
驚いてふたりして鏡を見た。
……すると…………
鏡に映っていたのは、「莉奈」の姿ではなく、「侑斗」の姿だった。
『えぇぇぇぇえっ!?!?』
またしてもふたりで驚きの声を出した。
「いや、まさか…………」
「まさ、か………………」
「俺達は…………屋上から転落したときに……地面に叩きつけられる前に何かが起こって……入れ替わったってことか…………?」
「莉奈」の声、姿をした侑斗は言う。
「そういえば…………屋上から転落する夢を見て…………そのときに…………侑斗となにかがあった気が、するの……」
自分がしゃべる声が侑斗そのもので寒気がする。
『入れ、替わった……!?!?!?』
あのときに似た大きな風が、今は外で吹き荒れていた。




