転落
「……それでね、田原くんに告白されたんだ……どう返事すればいいと思う?」
私は男子で仲がいい佐野侑斗に相談していた。
侑斗もかっこよくて、男女問わず人気がある。
「どう返事すればって……んなのOKすりゃいいんじゃねぇ?田原同じ部活だけどめっちゃうめぇしイケメンだし、彼氏としては申し分ないぞ。俺が付き合いたいくらいだよ」
「なっ…………侑斗きもい!」
「ははっ、でもな、田原はほんとにすげぇ奴だしさ。前向きに考えろよ」
「えー……でもね、田原くんのは恋愛感情じゃないの。なんかね、こう…………」
美由紀の言う通りだ。
「うーん…………」
考えても考えても分かんない。
「そんな考え込むなよ。お前の好きなようにすればいいんだよ。」
その好きなように、が分かんないから聞いてるのに…………
「……だって……分かんないもん……」
全然わかんなくなってきて、私は気付いたら泣いていた。
「あっ!?おま、泣くなよ!落ち着けよ!悪かった!お前天然だしな、考えても分かんないだろうに…………」
美由紀と同じこと言ってるし…………
「だっ……て、考えても考えても分かんなっ……」
「あーほら!ここで泣かれてもあれだし……屋上行くぞ!」
そうして、私は侑斗に手を引かれて屋上に連れていかれた。
「……落ち着いた?」
「ん、多分…………」
屋上の風にあたりながら柵に手を添えていた。
そうしながら侑斗を見ると、優しげな瞳で私を見ていた。
「……っ」
ドキッとした。
なんだろう、この気持ち…………
よく、分かんないけど……しゅわってして、なんか…………なんか……
「……莉奈」
「あっ……うん」
「あんまり、考え過ぎなくていい。お前が田原に会ったらどう思うかで、告白の返事を決めろ。」
真っ直ぐな侑斗の瞳。
なんだか大丈夫な気がしてきた。
「侑斗、ありがとう…………」
やっと心からの笑顔でそう言えた。
「おう!」
侑斗は、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
すると、いきなりごぉっと強い風が吹いて、私は柵の外に出てしまった。
「莉奈っー!」
侑斗は私を助けるために柵の外に出た。
すると、また大きな風が吹いて、私たちは落ちてしまった。




