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両手剣士ケインの奮闘 ~始まりはだいたい宿屋から~  作者: ペンネーム宇津井健


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第3話 パーティーネームが決まった

 この世界のギルドは全て繋がっているのでどこで申請しても全世界で通用するシステムになっている。だから故郷で申請しても良いしここで申請しても同じだ。ただ登録地独特のルールもありそれを嫌うやつは別の地で申請する必要がある。とはいえ最低限のルールはどこも同じだし独自ルールはそれに産毛が生えた程度なのでパーティーリーダーが細かい奴だと登録申請地をこだわることも中々ある、俺は気にしないからここでするけどな。ニャームと相談せずに決めるのはいけない事なので相談するために宿屋でコーヒーを飲みながら雑談しつつ、だ。


「ニャームは普段からあんまり食わんのか?」


「いえ、食う時は食いますよ。さっきはその……やっぱりお金なかったですし……」


「だから俺といるときは気にすんなって。俺がいないときは逆に気にしてくれよ?報酬はちゃんと平等に分ける。俺は贔屓が嫌いだ、そんなケチな奴と組みたくない」


「じゃあ、もし私がけちんぼだったらどうします?ちょろまかしちゃうかもしれませんよ?」


「だったら俺の目が曇ってたってことだ。ニャームはあんまりそういうことしたくないから目立ちたくないんだろ?」


「……そう言ってくれる人は初めてです。今までずっとちょろまかされてきたし、平等でもなかったし、なんならちょろまかしてるだろって疑われたりもしました」


「ああ、ちょろまかすのは『俺に対しては』構わないぞ。俺から搾り取ってやるくらいの考えでいいんじゃないか?」


「そんなのできません!」


「だよな、そういう性格だったらニャームの生き方はもっと楽だったはずだ。だからこそこの出会いに感謝しなきゃだ」


「あれ?私プロポーズされてます?」


「あと10年俺が若ければなあ」


「今からでも遅くないと思いますけど」


「やめとけやめとけこんなおっさん。パーティーだけでも充分ありがたいんだ、これ以上は望むと罰が当たっちまう」


「それで、休憩は終わりですか?」


「本題はここからだ。パーティーネーム、何がいいと思う?ゆくゆくは大所帯にしたいと思ってるんだが」


「うーん、ケインさんって普段何を狩りますか?」


「俺の話か?普段は兎やら鹿やら熊やらが主だな、野草を狩る任務も結構やるぞ」


「基本的に戦うというより食べるためですかね?」


「そういや食材ばっかり狙ってるな」


「だったらZutatenunterwerfungなんてどうですかね?直訳すると食材をねじ伏せて討伐させるって意味なんですけど」


「食材討伐か、いいなそれ。申請通ると最高だな」


「ホーンラビッツってパーティーネームもありますし、大丈夫じゃないですかね」


「食材まんまの名前じゃねえかそれ、よく通ったな」


「紛らわしいって難色示されたそうですけど最終的に押し通したって言ってました」


「それは所属してたパーティーか?」


「です」


「ならそいつらを圧倒する意味でもパーティーネームごり押しするしかねえな」


 パーティーネームは結構あっさりと決まった。問題は申請が通るかどうかだ。場所によってNGネームもあるので今日から名乗りますはいそうですかとは行かねえのがちょっと理解に苦しいところだ。理由も受付者によって変わるらしく中々苦労すると昔臨時パーティー組んだ時に言ってたな。まあせっかくニャームが考えてくれたネームだから無理矢理でも通させる気で行く。






 この町のギルドに到着し受付に申請しに行く。昨日の二角熊以来だが久しぶりでもなければ2回目のギルド訪問なのでまだまだ新鮮味がある、ましてや今はニャームが隣にいる。パーティーとして隣に立たれることが珍しいのでそちらでも新鮮味がある。


「こんにちはニャームさん、それとお隣は」


「ケインだ。パーティーネーム申請に来たんだが」


「パーティーネームですか、登録に5万ジル頂戴しますがよろしいですか?」


 問題ない旨伝えて5万ジルを払う。申請用紙を出されてメンバーのサインとパーティーネームを書く。さて、申請は通るだろうか。


「うん、問題ないですね。ではパーティーネーム『Zutatenunterwerfung』(ツータテンウンターヴェルフング)で登録します。変更するには解散するしかありませんのでご承知おきください。今パーティーカード作成しますので……1時間いただけますか?」


「問題ない、1時間後にまた来る」


「はい、では作成してきますね。ちなみにこのネーム、ここの言葉でなんて言うんですか?」


「食材討伐、だな」


「安直ですがいいネームですね。ここで登録したパーティーに喧嘩売るような素敵なネームだと思います」


「嫌味か?」


「ケインさんに喧嘩売れるパーティーこの町にいませんよ、なんたってBクラスですもの『ここだけの話、私この町のパーティーほとんど好きじゃないんです、ニャームさんを不当に扱うことばかりなので』」


よかったなニャーム、味方は俺だけじゃないぞ。ギルドに味方がいるってのは大きいな。冒険者たちは楽しそうだったがパーティーになると話が変わってきちまうのか、俺はそうならないように気をつけよう。

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