表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

ユーム聖伝3 〜ユーム西行

その日もユームが眠る、帝国最東部の村の、ヨハンとケナの家には人びとが集っていた。


 ユームが発する、目には見えない穏やかな光に包まれて、人びとは思い思いに幸福感に包まれた時を過ごしていた。


 その人びとの中で、

ユームの目が開いた。

 ユームは立ち上がった、

 ユームは、おのれの両親、ヨハンとケナを見た。

そのもとに歩み寄り、ふたりを胸に抱いた。


 ユームは歩み始めた。帝国の都に向かって。

 そこに集っていた人びとは、全てユームに従い、そのあとに続いた。


 ユームは歩き続けた。ユームが歩を進めていくその村村で、その地方で、新たな人びとが、ユームに従い、その列に加わった。


 ユームに従う人は、千を超え、万を超え、十万人を超え、さらに増え続けた。

 ユームがその村を通過したとき、スオウとメイリンもその列に加わった。


 ユームは思う。

 ラサリオンとエルサーナに会わなければならない。

 先日到達した思いを、ふたりに告げなければならない。

いや、あのふたりはもう分かっているだろう。

 ふたりが同意した時、この世界は終わる。


 そして、全ての生きとし生けるものは、あの超越の世界に飛翔する。

大いなる価値の存する、あの理想の世界へ。

完全な世界へ。



 帝国東部から数十万人の民衆が、この都に向かって、歩みを進めている。

 その知らせが、もたらされた時、ラシアスは、帝国宰相に任じられてから、初めて自らの意志でラサリオンの居室を訪れ、どう対応すべきか、その判断を仰いだ。


「その集団の先頭にいるのはユームという若者だ。予に会うのが目的だ」


 殿下は、やはり全てをご存知だ。

ラシアスは一礼して、踵をかえそうとした。


「ラシアス」


ラサリオンが呼び止めた。


「は」


「エルサーナも都に向かっている」 


「あの草原を統一されたという方ですね」


「うむ、やはり予に会うために向かっている」


 何が始まろうとしているのだろう。

ラシアスは、思った。


「ラシアスよ」


「は」


「ルーレアートも同行している。到着したら会うがよい」


「殿下とエルサーナ様が会われる時、同席をお許しいただける、ということでしょうか」


「いや、エルサーナとは、ユームが到着してから三人で会う。

都への到着は、ユームよりもエルサーナが一日早い。その日にお前はアル・ラーサとともに会うがよい」


 エルサーナの一行が、都に到着した。

 エルサーナの姿を見た瞬間、ラシアスは、ラサリオンと同じ世界におられる方であることを理解した。



 ラシアスの紹介により、アル・ラーサとルーレアートは、初対面の挨拶を交わした。

 一行には、エルサーナの異母弟、嫡子エルラシオンと、同母妹セレナもいた。

 穏やかな風貌をした十一歳の少年が、極めて聡明な少年であることは、ラシアスには直ぐに分かった。


 十五歳のセレナの美しさもまた、ラシアスとアル・ラーサを驚かせた。

 運命の人に出会った。

アル・ラーサは、そう思った。

そして、セレナも同じことを感じていた。


 翌日、ユームが都に到着した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ