表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

ユーム聖伝2 〜思索者ユーム

ユームの思念はついにアナイオンに至った。

ユームはアナイオンに座すアルセラフィーユ、アイラルフィンを相見た。


 ラサリオンとエルサーナが私を呼んでいる。

ふたりが私を求めている。


 ユームは、感じた。


 その瞬間。

ユームには分かった。

自分がこの世界に生を受けて以来、ひたすら思索を続けていたことのその答えが。


 産まれおちて直ぐに、ユームはおのれが存在することになったこの世界の全容を理解した。

 それは、自分が世の常の人とは全く異なる人間であることを理解することでもあった。

 自分は何か大きな使命を持って、この世に生を受けたのだ。

ユームには、それが分かった。


 ユームは、やがてこの世界の根源に疑問を持った。

 この世界はどこから来たのか。

我々は何ものなのか。

この世界は、何処へ行くのか。


 この世界は時間と空間で構成されている。では、この時間と空間を創造したものは、誰なのか?


 誰?

ひとはその創造者を神と名付けた。

そして様々な宗教を造り上げた。

だが、それは時間と空間をもとにして、言葉というものを使ってでしか思考することが出来ない、人間の想像力を限界いっぱいまで使って作り上げた物語に過ぎない。


 そして我々が存在するこの世界は、何と不完全な世界だろう。

 時空という制限があるだけではない。

この世界には、生命というものが存在する。

そしてその生命は、他の生命を奪うことによってでしかその生命を継続し成長させることが出来ない。

 そしてこの世に存在する、悪、偽り、不幸。

 なぜ、何のためにそのようなものがあるのか。


 だが分かった。今、分かった。

この世界は、

この世界は、


 アナイオンと、アルセラフィーユ、アイラルフィンに連なる超越者のゲームだ。


 そして超越者のゲームは、この世界だけではない。

 超越者は世界をいくらでも、人の言葉で表現すると無限と言うしかないが、無数の世界を創造している。

 世界という概念では表現出来ないものも創造しているであろう。

 この世界は、人間の感覚で言えば永遠に等しい時間と、無限に等しい空間で構成されている。だが、それはあくまでも人間の感覚だ。


 超越者にとっては、永遠だろうが無限であろうが、その中に内包するほんのちっぽけなもの。超越者は、この宇宙誕生以来のどの時間であっても、どの空間であってもそれを超えたところに存在する。


 では、その超越者のゲームの目的は?

 それは私だ。


 この時間と空間で構成された世界を創造し、その中に生命というものを誕生させ、その生命の進化の果てに、おのれの存在に疑問をもつ知的生命体を誕生させ、その存在の意味に答えを見いだす。

 その過程を観察するためのゲームだ。

 そして、今、答えが出た。この私によって。

 答えが出たのならば、ゲームは終わりだ。

 

 この世界は、終わる。


 この世界に、過去存在した全ての生きとし生けるもの。

今、この世界に存在する全ての生きとし生けるものは、

 この世界から超越した世界に飛翔する。


 時間も空間も、生命も。真も偽も、善も悪も、美も醜も、幸福も不幸も、あらゆる価値が昇華された、大いなる歓喜、そして神聖に包含された超越世界に飛翔するのだ。


 それが、今、この世界に、この私が、そしてラサリオンとエルサーナが生まれ出でた意味だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ