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右腕が疼くので、ちょっと世界救ってきます。 ―黒焔の黙示録(アポカリプス)―  作者: 針々


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第二節 白銀の監視者《ホワイトアウト・ジャッジメントドラグーン》


「う、いてて」

女神ソフィアに異世界へと飛ばされた俺こと宵ノ宮(よいのみや) 絶影(ぜつえい)は

召喚と同時に地面に突っ伏していたからだをゆっくりと起こす。


「おっと、いけないいけない。」

右手に巻き付けてある、封印(包帯)のゆるみを確認した。

これは現世での戦いの際、俺が背負ってしまった罪(カルマ)を封じている。

この封印が解けた瞬間。この世界は――


滅びる――。



封印を施しなおしたところで、立ち上がり、周りを見渡す。

「ここが我の新しい世界か…しかし、少々空気が澄みすぎているな。

 現世の悪瘴気(イビル・ブラック・エア)を喰らいつくした我には少々堪える。

 フッハッハッハッ!」

新天地を前に高らかに高笑いする俺、カッコイイ。


「一人で何をやってるんですか…」


「ふごぶひぃ!?」

突然、背後から急に声を掛けられたため、

我としたことが少々動揺してしまった。


後ろを振り返るとそこには、

――白。

肩までかかる白髪、雪のような肌、そして大きな瞳。

いうなれば、我をこの世界に召喚した女神ソフィアの妹、

そういう表現がぴったりの少女がそこにはいた。


「いつのまに我の背後に…

 はっ!貴様もしや終焉ノ――。」


「私は終焉ノ黒翼《ダーク・ジ・エンド》の構成員ではありません。

 あなた、毎回これやってるんですか?気持ち悪いですね。」

突然現れた少女は、開口一番辛らつな言葉を投げつけて来る。


「フッフッフ、小娘にはまだわからんだろうこの魅力が…

 して、貴殿は何者だ?」


「私の名前はセレナ。

 ソフィア様の命令で貴方のお目付け役に任命されました。

 貴方がこの世界を救うまでの間、同行させていただきます。」

そのセレナという女は、冷たい声色で説明した。


「なるほど、してセレナ嬢よ、

 我はまず何をしたらよいのだ?」


「このセレスティアで、世界中を旅するためにはまず初めに冒険者登録をしていただく必要があります。

 近くにアルフという街があります。まずはそこで冒険者登録をすることがよいかと。」


「なるほど、では共に行こうではないか!

 約束の大地《ネバーエンディング・ヴァース》へ!」


「街の名前はアルフです。」


==============================


マッハ3000の速さで移動した我々、

《黒焔の魔王》(ダークネスヘルフレイム・ロードオブダークネス)は、

アルフにある冒険者ギルドへと到着した。


「ようこそ、冒険者ギルドへ!」

元気いっぱいの受付嬢が、満面の笑みでギルドに入って来た俺に笑いかける。


(どれ、手始めにあの受付嬢にでも話しかけてみるか。)


「失礼する、我の名は宵ノ宮 絶影、この世界の救世主となるためにここに参上した。

 手始めに冒険者の登録を行いたい。頼めるか?」


「か、かしこまりました。

 では登録料3銅貨になります。」

受付嬢は、俺の魅力(オーラ)に動揺をみせながらも

金を徴収しようと木製のトレーをよこしてくる。


(なるほど、恐らくこの世界の通貨は

 銅貨、銀貨、金貨の順で価値が上がっていくのだろう。  

 えっと、さいふさいふ。)


バリバリッ


ポケットをまさぐり、日頃から愛用している欲望の器(財布)をとりだし、

マジックテープをびりびりとはがして硬貨をとりだす…が。


「我としたことが、この世界の通貨を持っていないではないか!」

初期費用がないという、肝心なことを失念していた。

愕然としていると


「ちゃりん」

木製のトレーに銅貨3枚が置かれた。

銅貨を置いたその主は、冷めた表情でこちらを見つめている。


「セレナ嬢…フッフ、まあ我の従者としては及第点といったところか?」


「なんで上から目線なんですか、本当に救いようがありませんね。

 まぁ、いいです。」

息を整え、セレナは言葉を続ける。

「この世界で生活する上での初期費用は預かっています。

 入り用であれば、私にお申し付けください。」


「これが勇者に与えられし、強欲(アドバンテージ)ということか

 女神ソフィアもなかなかやるではないか、はっはっは!」

高笑いする俺とドン引きするセレナ、その会話をきいていた受付嬢は驚いた表情をしている。


「女神ソフィア様?

 え、あの?宵ノ宮様は女神様の使いの方なのですか?」

羨望、憧れ、そのような期待を持つ瞳で俺を見つめる受付嬢。

参ったな、どうやら俺のスキル、失堕の恋(フォールディング・エンジェルラバー)が発動してしまったらしい。


「いかに…」


「いいえ、みての通りこの方は、妄言を吐いてしまう病を患っています。

 気にしないでください。」

声色を一切かえず、業務的に説明するセレナ。


「あの…別に俺はびょうきじゃ…」


「あ、やっぱりそうだったんですね、安心しました!」

心底ほっとしたように微笑む受付嬢。


「や、やっぱり?あ、安心!?」


「失礼しました。

 冒険者への手続きはこれで完了です。

 クエストの受注は、受付嬢にお聞きなさるか、壁に貼ってある依頼書をご確認ください。

 開始ランクはF、ランクアップしてより高位のクエストをうけられるよう

 頑張ってください!」

両手でガッツポーズをする受付嬢。

少し気になる言動もあったが、

その元気さに免じて、とりあえず今日のところは許してやろう…


「ふはは、手間をかけたな。

 ではこれで失礼するぞ!」

華麗にターンを決めてギルドを後にしようとする俺、カッコイイ。

その時、不意に声を掛けられた。



「おいおい、ちょっと待てよ、ねーちゃん!」




 

 




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