大和との再会
茜の心の傷が漸く癒えた頃、大和は日本に帰って来た。
大和は、帰国してから後に再び海外赴任して本社勤務を経て、また海外へ赴任した。
そのような勤務を経て大和が茜の上司として姿を見せた時、二人は40歳を過ぎていた。
大和は統括本部の副部長として戻って来た。
茜は副部長室へ呼ばれた。
「細川副部長、お呼びでございますか?」
「あか…………中森さん。
………君には統括本部長の秘書として辞令が出される。」
「……はい。」
「本部長の秘書として力を発揮して頂きたい。期待している。」
「ありがとうございます。」
「頑張って……………。」
「はい、懸命に務めさせて頂きます。
………お話しは辞令についてだけでございますね。」
「う……うん、そうだ。」
「では、失礼致します。」
「………待って!……少し話がしたい。」
「何でございますか?」
「茜は……今、誰かが傍に居てくれてる?」
「………いいえ。」
「………そうか…………今、茜は………幸せ?」
「はい、仕事は裏切りませんから………その仕事に幸いにして恵まれました。」
「……………そうか………。」
「お話が終わったようでございますので、これにて失礼致します。」
「う………うん。
…………茜!………何かあったら相談に乗るから………忘れないでくれ。」
「ありがとうございます。失礼致します。」
部屋を出た時、茜は顔を伏せた。
そして、次に顔を上げた時には小さく両手で両頬を軽く叩いた。
それを見ていた女子社員が「気合入ってますね。」と笑みを見せて言った。
「そう、頑張るわ。」と茜は微笑みながら返した。
そして、心の中で「仕事は裏切らない。」を繰り返していた。




