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22歳の別れ  作者: yukko
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16/24

大和②

カプセルホテルで泣いていたら電話が架かって来た。

大和の電話番号を削除した茜は、その番号を大和だとは分からなかった。

電話番号を覚えていなかった。


「茜……俺……切らないでくれ!

 服のことだから………。

 住む場所が決まったら教えてくれ。

 そこへ送るから……あのトランクルームは、もう解約したんだ。

 だから……茜の住所に送るから……

 ………聞いてる?」

「送らなくていいわ。捨てて!」

「茜!」


⦅ツーツーツーと大和の耳に通話を切った音がしているはず……終わった。⦆と茜は思った。

どのくらい泣いたか分からない。

茜は⦅3連休の初日で良かった。⦆と思った。

早く住む場所を探さないといけなかった。

泣くのは今日で終わりにしようと茜は決めた。


どうして二番目なんだろう?

どうして愛されないんだろう?

どうして捨てられるんだろう?

どうして?…………どうして?………どうして………。

愛されたかっただけなのに……愛されないのは、いつも私。

結婚したかった。

大和と家族になりたかった。

私には家族を求めることさえも贅沢なんだろう。

両親は亡くなっている。

兄弟は居ない。

親戚は遠くに住んでいる。

家族との縁が無いんだ。

この恋は、二度目の恋で最後の恋だったのに……また、終わった。

私の恋は叶うことは無いんだ。永遠に………。


◇◇◇◇

大和はスマホを見つめていた。

涙が出ていることさえ分からずに、通話が消えたままの画面を見つめていた。

分かっている。

誰が悪いかは、分かっている。

せめてもの償いの為に電話を架けた。

芦田早苗に……茜のことを頼む電話を架けた。


「あらっ? どうしたの?」

「お久し振りです。」

「まぁ、久し振りかな?」

「その後、如何ですか?」

「あぁ、あの子のことね。

 まぁ及第点かしら?」

「あの………もう一人入れて頂けませんか?」

「えっ? 誰を? 何に為に?」

「………中森茜を芦田さんの所に入れて頂けませんか?」

「ちょっと、待って。

 私が入れたかった中森さんを推薦するの? それも今になって……。」

「………はい。」

「貴方、言ったわよね。

 中森茜を推薦できません!って……。」

「………はい。」

「何かあったの? 二人の間で。」

「…………別れました。」

「はぁ~? 何て言ったの。」

「別れました。」

「貴方、彼女を推薦しなかったのは、結婚するからだと言ったわよね。」

「はい。」

「婚約解消したの?」

「………はい。」

「どうして! 彼女は二十歳の女の子じゃないのよ。」

「………はい。」

「はぁ…………理由、教えて。

 この電話を架けて来たってことは、原因は貴方でしょう。」

「………はい、そうです。」

「何で捨てたの!」

「………私は……離婚した妻と縒りを戻すことに決めました。」

「え………元の鞘に収まるの?」

「はい。」

「元奥さんが原因で離婚したのに?」

「そんな話まで、芦田さんに私は話してたのですね。」

「貴方、プロポーズは元奥さんからだと言ったわよね。」

「はい。」

「でも、結婚してからは逆転したのね。」

「逆転、ですか。」

「貴方の方が夢中になったってことよね。

 元奥さんから元の鞘に収まりたいって言って来たの?」

「……まぁ、そうです。」

「愛した方が愛された方よりも無理をするものだわね。」

「私は………子どもの為に………。」

「違うでしょう。自分の為よ。

 元奥さんを愛してるから戻るのよ。

 愛してなかったら戻らないわ。

 子どもも元奥さんの再婚相手を父親だと思ってるんでしょう。」

「はい、そうです。」⦅実際に実父だと思うけど……。⦆

「じゃあ、子どもにとってはステップファミリーだわね。

 難しいわよ。」

「覚悟してます。」

「そ…………今更、私なんかが止められないけど……そんな立場じゃないし……。

 ………はぁ~、中森さんは貴方達夫婦の犠牲になったのね。」

「あ……………はい、そうです。」

「この話って貴方の償いの積りなの? 中森さんの転職。」

「はい。」

「償いにならないって分からないの? 馬鹿なの?」

「芦田さん………私は……これしか思いつきませんでした。」

「償いなら慰謝料でしょう。

 相場は知らないけど、慰謝料を払いなさい。

 今更、転職の話は会社から中森さんを出すためにしか見えないけど?

 それに………うちは、もう人を求めてないの。

 だから、無理よ。」

「…………そうですか………。」

「慰謝料を支払ってあげなさい。それしか無いのよ。

 いいわね。せめて慰謝料くらい払ってあげて。」

「はい、分かりました。」


大和は仕事でも償いたかった。

だが、茜が望んでいた未来を大和自身が曾て奪っていた。

大和は慰謝料の相場を調べることなく、300万円を茜への慰謝料に決めた。


花奈との再婚を決めたのに、大和は幸せではなかった。

そんな気分では無いまま、花奈を支えると決めたことを実行した。

ただ、花奈の夫の失踪を警察に届け出て、それから3年後に家庭裁判所へ離婚裁判を行った。

それらを弁護士に依頼したのは大和だった。

花奈にはその費用が無かった。

3年半後、裁判所での判決で離婚が決まった。

生死不明だったので、離婚出来た。

その頃、大和にアメリカへの赴任が決まった。

大和へアメリカへ一人で行った。

花奈は離婚成立してから大和と再婚しなかった。

花奈には別の新しい男性が現れたからだった。

大和よりも経済的に裕福な男性だった。

相手も再婚で、妻と死別した男性だった。

亡くなった妻は病床に臥している時間が長かったので、子宝には恵まれなかった。

子どもを産んでいる女性なら、不妊症ではないだろうという理由で花奈は選ばれた。

跡継ぎを欲する家柄の男性の元へ花奈は子ども二人を連れて嫁いで行った。

大和がその報を受けたのはアメリカで暮らし始めて2ヶ月経った時だった。

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