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22歳の別れ  作者: yukko
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13/24

花奈①

考えあぐねている茜が会社を出た時、見知らぬ女性から声を掛けられた。

隣に小さな男の子が居る。


「貴女ね。」

「はい? あの何方(どなた)でしょうか?」

「まーくん、このおばさんよね。」

「うん、そうだよ。おじさんが写真をくれたんだ。

 ほら、これ………。」


子どものスマホに大和とのツーショットが見えた。


「話があるのよ。」

「分かりました。お子さんと一緒に入れるお店がいいですね。」

「え………ええ、そうね。」

「お宅は何方(どちら)ですか?」

「何でよ。」

「お子さんがご一緒です。

 ご自宅に近い方が宜しいのではございませんか?」

「あんた……………。」

「遅くなるとお子さんの睡眠に影響が出ると思います。

 少しでもお近くで、と思いました。」

「あんた………子ども、居るの?」

「いいえ、おりません。

 でも、友人や後輩達には子どもが居ますので………。」

「そ……そう……。」


茜は大和の元妻らしき女性とその息子の二人を連れて、彼女の最寄りの駅の一つ会社寄りの駅で降りた。

駅前は閑散としているが、小さな古めかしい洋食屋があった。

そこに入ると、直ぐに男の子は「お子様ランチ」を注文した。

お子様ランチが目の前に置かれると男の子は目を輝かせて「ママ、食べていい?」と隣に座っている母親に聞いた。

「いいわよ。」と母親が言うと、男の子は嬉しそうに大きな声で「頂きます!」と言って食べ始めた。

その姿が可愛らしくて茜は目を細めて笑みが零れた。

大和が愛している息子。

大和に少しも似ていない血が繋がらない息子。

愛されるのが茜には分かった。

愛らしいのだ。全てが………。

運ばれて来た料理を前にして「頂きましょう。お話を伺います。どうぞ、お話し下さい。」と茜は花奈に話した。


「大和と結婚して欲しくないのよ。」

「はい、彼から伺いました。」

「でっ、分かってくれたの?」

「離婚されて再婚されたのに、どうして彼の再婚を認めないのでしょうか?

 その理由をお教え頂けませんか?」

「そ……それは………養育費が途絶えたら困るのよ。

 養育費は子どもの権利でしょう。

 貰って当たり前なの。

 でも、大和が再婚したら途絶えるかもしれないじゃないの。」

「養育費はお子さんの権利です。

 だから、彼が結婚してもしなくても当然のこと、お支払いすると思います。

 そういう人です。」

「でも、子どもが生まれたら変わるかもしれないじゃないの。

 困るのよ。うちの人の稼ぎは少ないから、途絶えたら生活が困るのよ。」

「このことは、もう少し私達で話し合う時間を頂けませんか?

 今、この場で私が結婚しないと言っても、それは彼の気持ちを確認していませ

 んので………お時間を頂戴したく存じます。」

「期限をつけるわよ。」

「はい、勿論、結構でございます。」

「1週間後、よ。」

「承知致しました。」


茜は結婚に拘ってはいなかった。

その事も含めて大和と話し合わねばならないと思った。


◇◇◇◇

大和に花奈から電話が架かって切ることが増えた。

メッセージもほぼ毎日届くようになった。

大和はいい加減、嫌になって来た。

いつもの日、家に帰っても茜の姿は無かった。

茜に⦅残業か……?⦆とメッセージを送った。

そのメッセージの通知があった頃、茜は花奈と会っていた。

大和は何度もメッセージを送った。

やっと既読になって、直ぐに茜から返信メッセージが届いた。


「貴方の別れた奥様とお子さんと会った。

 会社の前で私を待たれていました。

 どんな内容かは会ってから話すわ。」


茜から届いたメッセージを見て大和は固まった。

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