再婚のハードル
大和は4歳の息子との面会時に元妻・岡村花奈に「結婚する。」と話した。
そして、息子にも「おじさんは結婚するんだ。今度、その人に会ってくれないか?」と話した。
息子に「おじさん。」と呼ばせているのには訳がある。
花奈から「パパが二人だと混乱するから、大和のことは『おじさん』と呼ばせるから。」と言われた。
何もかも花奈の要求を通してきたのが大和だった。
付き合うのも結婚するのも花奈から、そして離婚も花奈から……。
そんな大和が一度だけ花奈に知られぬように行ったのが息子とのDNA鑑定だった。
離婚後直ぐに再婚した花奈の再婚相手に息子が日に日に似て来たからだった。
鑑定の結果、息子は大和の親子ではないと突きつけられた。
大和は辛かった。
その頃、出逢ったのが茜だった。
傷ついた男女が惹かれあったのだと大和は思っている。
再婚のための茜との面会を息子は「いいよ。」と返事をした。
理解しているのかどうかは定かではない。
そして、面会時間が終わり花奈に息子を返した。
その時、花奈から「再婚しないで欲しいんだけど!」と言われた大和は、呆然と立ち尽くした。
「何でなんだ。花奈、お前は直ぐに再婚しただろう。
何で俺は駄目なんだ。」
「大和が再婚したら、この子を捨てるでしょう。」
「へ?…………否、待ってくれ。
捨てるって、どういう意味なんだ?」
「養育費を払わなくなるに決まってるわ!」
「待ってくれ。支払わないと言ってない。」
「相手の女が支払わせないわよ。
そっちで子どもが生まれたら、その子を大事にして、この子のことなど忘れるに
決まってる。」
「何で勝手に決めつけるんだ? 茜はそんな女じゃない!」
「そっちこそ勝手な事しないでよね。」
「花奈、お前って…………自分の身勝手は削除するのか?」
「兎に角、再婚しないで! それだけよ。帰って!」
大和は頭が痛くなった。
言い出すと叶うまで絶対に折れないのが花奈だからだ。
養育費の支払いも、血が繋がって居なくとも可愛いと思って面会して来た息子だから支払い続けている。
これからも支払うと決めているし、茜はそれを嫌がらないと分かっている。
茜は息子を受け入れてくれる――という自信が大和にはあった。
◇◇◇◇
茜に息子との面会での花奈との会話も、息子との会話も全て伝えた。
静に聞いていた茜が一言「………分かった。」と言った。
「茜………息子に会ってくれるよね。」
「会えるの? 無理じゃない?」
「会うんだ!」
「でも、再婚すること花奈さんは………。」
「会う! 花奈など無視すればいい。」
「それは………問題を複雑にするわ。」
「複雑にしているのは花奈だ。」
大和に強く抱き締められている茜は、その腕の中でそっと涙を流した。
前の恋の終焉を思い出した。




