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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(82) たつのみやの服

 わたじが乾いたままの白い湯帷子(ゆかたびら)を軽く羽織ると、さほど広くない部屋に案内された。つぐ姫(ひ)も、同じように湯帷子(ゆかたびら)を身拭いとして羽織って続く。

「ゆっくりしていただけるように、わたじのために、つぐと舞緒(まいお)が仕立てたのよ。貴族風の服では窮屈でしょう」

 六人の兄妹達は遥か西の島から、隣の大国セリカを通って来たと言う。南のオリエンスやヒンディアも、かつての兄弟が住む土地だから、沢山の知識を持っているのだと言う。舞緒(まいお)は貴族の堅苦しい決まりに縛られない、そして西国のゆったりと自由な服を参考に、つぐ姫(ひ)が、わたじに似合う色を選んだそうだ。

 つぐ姫(ひ)の普段着も、オリエンスと着物の要素があるらしい。

 着付けはつぐ姫(ひ)自らが行い、星来(せいら)も手伝う。わたじは、にこにこしながらも、意外に力強いつぐ姫(ひ)に裸に剥かれて、なすがままに任せるほかない。

 素材は、柔らかい絹なのだろう。わたじは触れたこともない。色は海のような藍色に鮮やかな赤紫の差し色。派手過ぎて恥ずかしくなる。

「似合う似合う!」

 つぐ姫(ひ)は、無邪気に満面の笑みで、飛び跳ねて喜んだ。

「つぐも着替えるね」

 彼女は身拭いの湯帷子(ゆかたびら)を脱いで、軽そうな服に着替える。わたじは、話に聞く天女の羽衣だと思った。すると、つぐ姫(ひ)は天女なのかもしれない。


挿絵(By みてみん)

(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)

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