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(74) 龍神の報い
村人らが狗児と呼ぶ、役人のごろつきのひとりがこの村で怪我をして、亡くなり、わたじが濡れぎぬをかけられそうだという噂は、ここにいる人達は知っていた。近いうちに見聞に来るという噂も広がっている。
わた助は、解決のために自分の村の人だけでなく、この近隣の村人全てを目撃者にしようと企てた。
『わたじは、罪を犯した。その報いで、海の神、龍神に連れ去られた。自分の村人が口裏を合わせたのではない。皆がそれを目撃したのだ。村の舟は一艘も減ってはいない。逃がしのでも、逃げたのでもない。龍神の罰を受けた』
誰ひとりとして、わたじが罰を受けたとは思っていない。
「わたじは龍に連れ去られたのを、皆は目撃した。きっと、龍神の罰を受けたのだろう」そう証言すればいい。
神罰は既に下っていた。役人達も、それ以上は面倒な手間をかけなくてすむ。
わた助の企みは、思い通りに上手くいった。
しかし、この歌垣の夜に、もうひとつの事件が起きていた。




