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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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⑺ 楽しいこと

 日は傾いてきたけど、人混みは相わらず多い。

 それでも、協賛している企業のフォトブースや物販コーナーは、片付けを始め、売り物がなくなったキッキンカーも閉店の準備を始めている。


 ターミナル駅から少し離れた公園は、コスプレイヤーの荷物用の特設のロッカー村となっているので、一般の人は少なかった。

 海澪(みお)は、そんな公園のベンチに座り、星来(せいら)も本来の姿に返っていた。ただ、まだ用心深く、普通の人には見えないモードにしている。

 差し入れにもらった、ハンバーガーを二人で分けて、口にした。

「美味しいね」

「うん」

 二人でいると、口数が少ないのは、いつものことだ。 


「ねぇ、可愛いね。ひとりなの?」

 声をかけてきた若い男性がいた。

 星来(せいら)は思わず、依代の黒いぬいぐるにに隠れた。

「家出してるんでしょ? 助けてあげましょう」

 男は手を差し出した。

『せいらちゃん、私達って家出なの?』

 海澪(みお)は聞こえない声で、星来(せいら)に尋ねた。

『そういうことになるかなぁ』

『人って、みんな優しいんだ』

 海澪(みお)は、黙ってその手を取って立ち上がった。

「楽しいことしようね」

 男は、優しい微笑みを作って言った。

    

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