(62) 懸守(かけまもり)
わたじは、わた助と父親にも相談したが、二人とも、あの娘は知らないという。しかし、不思議なあの娘に掛けてみようと思った。
「あと三年もすれば、お上と一緒に例な狗児の連中も帰る。あとは、村中で口裏を合せておくどこの国の娘か知らんが、三年辛抱してくれ」
「村に迷惑がかかることだけが心配だ」
「心配するな。あいつらの横暴さは村中が迷惑していたんだ。皆、協力してくれる」
と、わた助は言う。
「そうだ、おまえにこれを預けよう」
わた助がいつも着けている首飾りをわたじに渡した。
わた助が成人式である褌祝いの時に父親から譲り受けた物だ。浦の家では長男、跡取りの印だった。
浦のそんなに遠くない先祖は、修行者、山伏だったらしい。還俗して、この村に落ち着いた時に持っていた物と聞いている。
碧色の勾玉のようだが、背中にたてがみのような模様がある。〝|玉胎龍《》ぎょくたいりゅう〟玉の胎内ではぐくまれている龍という意味と聞く。
「これは、代々跡継ぎの印。そんな物はいただけない」
「これは跡継ぎの印なんかではない。〝一番大切な人〟を守ってくれる懸守だ。それに譲るのではない。必ず、必ず生きて返しに来い」
(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)




